悪魔がウチにおりまして・1204
ウチには悪魔がいる。
サムライかつらを被っている悪魔。
「お控えなすって。手前ミミと申す不埒者」
その名乗りはダメじゃないかなぁ。
「ご存じの方は左側」
若干売り口上入ってるのはサムライじゃなくなるよー。
「いつものことながらどうしたの?」
「この前、時代小説を読みまして」
本当に影響を受けやすいったらありゃしない。
「そこで町の人に紛れて入札する正義のサムライを見たのです!」
どちらかと言うと暗殺者だけどそれはいいの?
「で、これからボクは味噌売りとして身を隠すのです」
あんまり隠れてないんだけどなぁ。
「これが本当の手前味噌」
シバいたろか。
「なのでニンゲン、大豆を下さい」
本気で仕込むつもりなの!?
「スーパーに売ってない?煎り豆」
「ニンゲン、それで味噌仕込めるとお思いで……?」
引くような目をするんじゃありません。
「暗にその豆でも食べて頭冷やしなさいって言ってるの」
思い付きの方向がズレてるんだから。
「そういえば間もなく節分。ミミ殿、おじ上はいらっしゃらないので?」
和紙を切っていた狐が手を休め尋ねてくる。
おじさんって、あのナマハゲ?
「来ないですー、今年は雪が深くて外に行ってるヒマがないと言ってました」
怪異も雪には勝てないのね。
「おじさん、副業で除雪もしてるので。毎日2時起きだそうです」
地域密着のナマハゲ、すごいなぁ。
「おじさん、200の手習いで免許取ったですー、教習所のヒトが昔泣かした子で気恥ずかしかったそうで」
覚えちゃいないでしょ、相手は。
「そういえばミミ殿の方が若いのにおじ上と呼ぶのは?」
考えたらそうね、200ってことはアンタのが50倍くらい上でしょ。
「話せば長くなる候」
「じゃ、いいや」
絶対、候の使い方間違えてるし。
しかし悪魔は私の足に引っ付いて。
「そうろうー……」
話したいならそう言いなさい、面倒くさい。
「では改めて。あれは雪の深い夜でした……」
「かいつまんで」
「おじさんの生まれ変わりなんです」
それもそれで予想外。
「……あぁ、昔居まちたね。某に会うたびにヤーパンに生まれたかったって言ってた変なのが」
狐がこんな口悪く言うんだから相当だったんだろうなぁ。
「ですねぇ。で、取引して無事ナマハゲに」
そんな望んだ通りの転生あるもんだねぇ。
「ミミ君、なんか間違って届いてました。新巻鮭です」
羊が鮭が入っているには大きすぎる箱を持ってきた。
「たぶんおじさんのですー。いつも自慢してくるですー」
相変わらず鬼が良いことで。
ウチには悪魔がいる。
「おじさん、いつもありがとうですー」
お礼の電話を掛けている悪魔が。




