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悪魔がウチにおりまして・12

ウチには悪魔がいる。

友だちの天使を連れてくる、悪魔が。


「ただいまー」

「早かったな」

仕事(唐突の半休)から帰ると部屋にはあぐらを掻いて腕組みした天使が居た。

「…なんで居るの?悪魔は?」

「ヤツは仕事だ」

ウチのセキュリティはどうなっているのか。

警備会社と契約しようかと思い立つが、こいつらに警報が反応するとは思えなかった。

それよりなにより。

「悪魔って仕事してたのね」

「何気に無礼だぞ」


天使は私に危害を加えるつもりも無いようで部屋に鎮座していた。

正確に言うと部屋のど真ん中に、だ。

…ちゃぶ台出せない。

「少しズレてくれません?机、置きたいので」

ちょいちょいと肩をつついて天使を動かそうとする。

そのことに眉を顰める天使。やはり微動だにしない。

「人の仔…。貴様何者だ?」

「それを聞かれても答えられないのはお互い様でしょ?あなたも名乗らないし。悪魔もそうだから」

あの子も名前を聞いても名乗らなければこちらのことを「ニンゲン」としか呼ばない。

良いではないか、お互い種族名でも。

「そういう意味ではない。なぜ私に触れられる?もっと言えばなぜ私の姿が見える、なぜ声が聞ける?」

…どゆこと?

「邪魔した」

それだけ言うと天使はスッと消えてしまった。

なぜ見えるか?悪魔のことも普通に見えたから気にしたことが無かった。


「ただいまですー」

悪魔が部屋の真ん中の畳をひっくり返して帰って来たのはその時だった。

…そこから出入りしてたの?

「ねぇ、悪魔」

「なんですか?ニンゲン」

床下から這い出しながら首をかしげる悪魔。

「…ううん、何でもない」

いろいろと聞きたいことはある。

だけど、今そのことを聞いてしまったらこの世界が無くなってしまうような気がして。

この悪魔と過ごす普通とは言い難い、のんびりとした日常。

いつか終わってしまうかもしれない、非日常。

そのことを考えるのが、今の私には少し怖い。


ウチには悪魔がいる。

ウチには悪魔がいる…それでいいのだ。

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