悪魔がウチにおりまして・1183
ウチには悪魔がいる。
布団で宙を飛んでいる悪魔が。
「どうしたの?ストレス?」
コイツ、たまにストレスで空飛ぶからなぁ。
「聞いてくれますか、ニンゲン!」
「長くなる?」
「ココアでどうでしょう!」
いつも今回くらい物わかりがよければ良いのに。
天井からクモが下りてきて手をあげている。
「悪魔、クモもだってー」
「承りっ」
テンション高いなぁ。
キッチンからはシュンシュンと湯が沸く音が聞こえる。
穏やかな状況、このあと悪魔の相談に乗ることが無ければ完璧なのに。
「ココア、あがりっ」
声の勢いに反して悪魔はそろりとココアを持ってくる。
並々注がれたそれは話の長さを物語っている。
「いただきます、あれ、クッキーは?」
「持ってきますっ」
ココアには糖分控えめのバタークッキーが良いでしょう。
甘いのに甘いのを重ねるのはいけません、味が混ざります。
「クラッカーです!」
良いチョイスだねぇ。
「ほら、クモも食べる?」
四角いクラッカーをクモに渡すとお皿にココアを満たしてそこに浮かべる。
「クモちゃんは食べ方がなんか可愛いです」
それには同意。なんかゆるキャラ属性がある。
「でもそうしちゃうとココア冷めちゃいません?」
悪魔の問いにクモは首を振った。
『ちょうどいい』
この子熱いの苦手だったっけ?
「このクラッカー、美味しい」
「でしょう!?べっちゃんお勧めのお店で買ったですー!」
お歯黒が美味しいクラッカーのこと知ってるのイメージないなぁ。
「……何か、忘れているような」
「気のせいじゃない?」
思い出すな、思い出すな。このまま平和で終わってくれ。
「……あっ!この前羊さんからスコーンとクリームチーズ貰ったです!」
記憶力が食い意地方面に特化してて良かった。
「この前牛が持ってきた桃のジャムも使う?」
「ニンゲン、天才です!」
スキップしながらキッチンに向かっていく。
本当にこれで悩み消えてるのだろうか、逆に心配になる。
クモへ視線を下ろす。ゆっくり首を振っていた。
ウチには悪魔がいる。
「このスコーンにですね、たっぷりとクリームチーズを……」
幸せそうにスコーンを頬張っている悪魔が。




