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赤髪の少女は戦士に転職する。

アルファポリスにて掲載してます。なろうは備忘録的に使っており更新を忘れることがあります。


アルファポリスの方もお気に入りしていただけるとモチベーションが上がります。

「キャハッ、やっぱり失敗したんですか(笑)」


 俺がなんの成果も無しに帰ってきたのがおかしいのか、受付嬢は受付の台をバンバンと叩き腹を抱えて笑っている。


「いや、先に戦っている人がいたんですよ。ダブルブッキングじゃないんですか」


 そう言われ、受付はペラペラと書類をめくる。一瞬”あっ”と言う表情をしたが、すぐにニヤリと笑うと俺を見る。


「ただの戦士が勝てるわけ無いですから、戦いとはどう言うものかを分かってもらうためにやったんですよ。死ななくて良かったじゃないですか、これからは身の丈にあった依頼を受けてくださいね」


 殴りたいこのニヤケ面。


「分かりました」


 この町もダメか。受付はギルド内で絶対的な権力を持っている。それは受付が許可をしないと依頼をこなすことができないからだ。

 これは昔あれくれた冒険者たちが受け付けに無理難題を言ったせいで、こういう処置がとられたのだと言う。


 そのせいで受け付けは傲慢な人間が多いのだ。


 俺はギルド併設のレストランでお昼を頼んだ。報酬がなくても腹が減る、生きてくって大変だ。


 ”バンッ”


 ギルドのドアがいきよい良く開く音がギルド内に響き渡る。


 赤い髪の少女と青い髪の少女、それに金髪の少女。金髪の耳が長い少女が勢いよく入ってくる。


 赤い髪の少女はギルド内を見渡す。誰かを探しているようだ。まあ、十中八九俺だろうな。


 俺はそっぽを向いて飯を食べた。


「いたっーーーー!!!!」


 ドタドタと三人組が俺の前に来る。


「なんで逃げるのよ。お礼くらい言わせなさいよ」


「なんのことだ?」


「ちょ! しらばっくれる気? 私たちを助けてくれたでしょう。それにこの二人の傷も治してくれた」


 赤い髪の少女がそう言うとギルド内が爆笑の渦になる。


「おいおい、レイラ、そいつは伝説の戦士(笑)だぜ、治療魔法なんか使えるわけがないだろ」


「は? 戦士? そんなやつがいるわけ無いでしょ」


「いやいや、本当なんだってギルドカード見せてもらえよ」


 俺はその言葉に乗っかるとギルドカードをテーブルの上に置いた。


 それを赤髪のレイラと言う少女は引ったくるように見ると、驚いたような顔をして俺をみる。


「な? 戦士が魔法を使えるなんて聞いたこと無いぞ」


 冒険者がどうだと言わんばかりに俺の肩に腕を乗せレイラにニヤリと笑ってみせる。


「そんな、本当なのよ。この人、本当に私たちを助けてくれたの!」


「そんなことよりお前たち、陸ドラゴン倒したのか?」


「ええ、この人が一人で倒したわ」


「プハッ、一人で陸ドラゴンを? そりゃ確実に夢だわ。陸ドラゴンを倒して気分が上がっちまったんだろう」


 陸ドラゴンを倒したそう言ったとき受付のビリッチがスゴイ形相でレイラ達を睨んでいた。

 まあ、俺には関係ない話だが、あいつ、この娘たちを殺す気だったな。


 男の冒険者とレイラ達はまだ言い合いをしている。俺はそれを無視して飯を胃袋にかきこむとさっさとギルドを出た。


「ちょ! まってってば」


 レイラが俺の服を掴み引き留める。


「はぁ、正直迷惑なんだけど」


 俺がそう言うとレイラは道端で土下座をした。


「お願いします。私たち強くなりたいの。強くならないといけないのだからその強さの秘密を教えてください」


「ねぇ、レイラ。やっぱり勘違いなのです、この人戦士なのですよ」


 青い髪の小さい少女は土下座するレイラを立たせようとする。


「そうよレイラ、それに他の町でやり直せばいいじゃない」


 それに金髪の少女が一緒になって立たせてレイラは顔をあげる。


「なあ、君たち、あの受け付けに嫌われてるのか」


「そうなんですよ、陸ドラゴンと戦ったのも売り言葉に買い言葉でレイラが受けちゃって」


 なるほど受付からの推薦の依頼を断れば昇格に響く。だから普通は断ることが出来ない。完全にはめられたな。


「他の町でやっていくと言う選択肢はないのか?」


「無いです、逃げたくないの!」


 逃げたくないのか……。町を転々としていた俺には耳が痛い言葉だ。


「わかったよ、とりあえず俺の宿屋に来てくれここじゃ話になら無い」


「はい!」


 レイラは破顔をして喜ぶが仲間はどこか不満げだ。まあ戦士だからな、いま(・・)の俺は。


 宿屋につくと鍵をもらい、俺の部屋へと行く。


 安宿なので、女の子が三人も同じ部屋にいると匂いが甘ったるくなる。


「それで、どうなりたいんだ」


「あなたと同じように」


「それは無理だ」


「なぜですか」


「俺の年齢は45歳だ、お前が生まれる前から戦っているし10歳の頃から研鑽してきた。俺と同じようになるには時間が必要だ」


「一部でも、その力の一部でも良いんですお願いします」


「分かった、だけど、すまないが300年前のように多種の職業がある訳じゃない。今、俺が提示できる職業は三つしかない。戦士、僧侶、魔法使いだ。どうする?」


 本当はそれ以外にもあるのだが。戦闘に向いていないものや悪徳職業と言われるものたちを勧めるわけにはいかない。

 ここでお別れなのだから変な職業を付けて永遠にそしられることになりかねないからな。


「戦士、戦士が良いです」


「分かった、あと一つ言っておくことがある。職業を得ると無職の生活魔法や覚えたスキルは使えなくなる。それでも職業を得るか?」


「はい、今より強くなれるなら」


「分かった」


 俺はバッグから神官服を取り出すと着替えた。


「まず成人の儀をする、転職はそれからだ」


 転職には神の加護がいる。神の加護があってはじめて職業を得ることができるのだ。


 俺は神と交信してレイラに加護を与えた。これによりレイラはレベルを得ることができた。

 そして職業を固定させるためにレイラの頭に手を置く。


 職業が百種類以上出てくる。俺はその中から戦士を選び固定する。


 レイラ身体が一瞬光ると職業が固定された。


「いいぞ、これでレイラは戦士だ」


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