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デート  作者: マキ将軍
10/11

俺たちのデート

また投稿が遅くなり、読んでくださっている方、申し訳ありません。


少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

悟は、約束の時間の15分前にはそこにいた。同じく早く来た俺に、笑ってなんか緊張する、と言った。昼だって会ってたじゃん、と言いながら俺もいつもと違う雰囲気に緊張していた。

「どっか、行く?」

「んー、こっち」

悟はゆっくり、石段を上り始めた。俺も続いて上る。神社へと続くこの石段は、長さはそんなにないが、一段一段が高く、上まで行くと結構疲れる。最後の一段に足をついた瞬間、はーっ、と息が漏れた。

「疲れた?」

「ん、大丈夫……」

差し出された手を握り、軽く体を預けるようにして歩く。悟は神社の裏手の小道を、俺の手を引き進んで行く。よく分からないまましばらく歩くと、急に見覚えのある場所に出た。

「ここって……」

「そう、雪だる展望台」

雪だる展望台は、昔俺たちがつけた名前だ。展望台の柵の飾りが、球体を上下に重ねた形をしていて、それがちょうど雪だるまのようでそう呼んでいた。展望台の上からは、この町のほとんどを見渡すことができる。小学生の頃の俺たちの、お気に入りの場所だった。懐かしさに思わず笑みがこぼれる。

「上、行こうか」

「うん」

螺旋階段を上ると、この細長い展望台の一番上に行くことができる。そこは、狭いけれどこの町で一番高い場所だ。

「きれいだな」

悟が呟いた。本当にきれいだった。建物の明かりが、闇の中でこの町の輪郭をぼんやりと浮かび上がらせている。

「……きれい」

悟が笑ったのがわかった。

「デート……、成功した?」

躊躇いがちに聞いてくる声に、愛おしさがこみ上げて胸がいっぱいになる。

「……っ」

思わず、悟をぎゅうと抱きしめていた。

悟は驚いたようだったが、すぐに強く抱きしめ返してくれた。こうしていると、胸が締め付けられるような感じが、ぼうっとした心地よいものに変わっていく。

しばらくそれを味わってから、俺は腕を緩めた。数センチ先にある悟の顔を見つめる。ちょっと緊張しているように見えた。

「……ん」

さらに距離を詰めて、唇に唇を押し当ててみた。何となく、そうするのが正しいように思えた。

そして、それはおそらく合っていたのだろう。離れたと思ったすぐ後、角度を変えて何度も口付けられた。ただ当てて離れてを繰り返すだけのそれは、何度も悟に好きだと言われているようだった。

それから俺たちは、できるだけ時間をかけて来た道を戻った。少しでも一緒にいる時間を延ばしたかったのは俺だが、悟も同じように思っていると感じた。

「じゃあ、おやすみ」

「うん。おやすみ」

できることなら、ずっと一緒にいたい。そう思うほどに、別れた後は寂しさが残る。しかし、それでも不思議と心は満たされていた。



読んでくださり、ありがとうございます。


次回はまた、ヒロが登場する予定です。

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