増殖系魔王!~胎動ばーじょん
更新遅くなってる現状ですが、次の触りだけちら見せです。
ポケットの中でアイフォンが振動してるけど、今は忙しいから無視した。
「ミネルバ五年生についてなんだけど」「間違いが雑になり過ぎてませんか?」「そういう君のツッコミはどんどん冷たくなってるぜっ!」
そんなやり取りを繰り広げる、とある土曜日のファミレス。演劇の練習がいつもより早く切り上げになったから、皆でご飯に行こう、と、梶山さんが言い出した。その結果、なんか宴会みたいな状態になった。
あたしは愛しの後輩であり先輩でもある一之瀬恵吾氏、通称恵に、マイク代わりの空クラスを差し出す。
「峰打ちちゃんとはあの後どうなったの。ん? 言ったほうがラクになるとは思わないか、少、年!」ここで決めポーズ、ビシッ。
「そんな妙技みたいな名前の知り合いは俺には居ないんですけど……」
青ざめて少し俯く恵。うーん、ほんと可愛いよなこいつ。あたしがレズビアンかバイセクシャルだったら間違いなく襲ってる。つまりあたしは近い日に恵を襲う。からかい甲斐があるなぁ。
「峰岸とはどうともなってませんよ」恵はあたしから出来るだけ距離を取ろうと背中を逸らせながら、降参のポーズを取る。「ただ、その……友達候補になろう、ってことに、なりました」
「候補?」
友達になるかならないかの話をしてて、まさかの友達候補止まり? それってつまりあれっしょ? ほら、「好きです付き合ってー」「えー、でもお互いの事よく知らないから、とりま友達から、ね?」って感じの。いや、ね? じゃなくてさ。ぶっちゃけてみ? あんた友達になる気無いでしょ。露骨に距離取るんでしょ? あたしには解る。
「えっと、その、峰岸は、俺の事を恵って知らずに、恵と会うため、俺に付きまとってたって言ったじゃないですか」
「まぁ、言ってたね」
「その出会い方が間違ってたから、やり直そう、ってことになったんです」
「つまり、友達からやり直すってことなのだね、少、年!」
「なんでここでテンション上げてるんですか」
勿論、友達からやり直そう、って言葉がどう聞いても人の不幸は蜜の味にしかならないからだよっ! 別れ話の定、番、文、句っ! ぎゃははだぎゃはは。
「で、ファーストキスの味はいかほど?」
「曲解なんてレベルじゃないほどぶっ飛びましたよね、話しが」
ぶっ飛ばしたからね! 基本的に、あたしってば人の話し聞かないし!
「おーい、遊佐、そろそろ解放してやれ」
ふと、梶山さんに首根っこを掴まれてしまった。
「ちょ、え、なんで止めるんすかカジさん! カジさんも気になるはずですよそりゃもう気になって夜も眠れないはずです! 思い出して下さい! 二人で悶々としたあの夜を!」
「思い当たる夜がねぇんだが……はっ、まさか、遊佐、前世の記憶が……っ!」
「……ふふ、思い出してくださったようですね、カジさん。そうなんですよ、あたしってば前世の、えっと、み、みね、ああそうそう、峰岸薫瑠だった頃の記憶を取り戻したんですよ」
「峰岸はまだ生きてますけど」
梶山さんの代わりにツッコム恵。そっちにツッコンだかー。今のはツッコミ所満載にしたつもりだったのにそこだけかぁ。二点!
あたしは梶山さんの手を取る。
「だからカジさん、カジさんも思い出しましょう。峰岸薫瑠だったあたしと、一之瀬めぐたんだった頃のカジさんが、一緒に『ぱぱろっちぇぇぇぇえい!』と叫びながら駆け抜けた、前世の記憶を!」
「やっべぇすんげぇ思い出したくねえわその前世」
「というか俺も死んでないんですけど……」
二人してドン引きだ。梶山さんさえ引かせるあたしってばやっぱ人を引かせる才能があるなぁ。引き付ける才能があったら色んな人から褒められるんだろうなぁ。
「あんたら、なにやってんのよ。もう会計終わっちゃったわよ」
ふと、いつの間にか居なくなってた沢野さんがレジのほうから戻ってきた。だから居なかったんだ。
「会計済ませてくれたんすか! さっすが沢野さん、あざっす!」と、頭を下げる伊藤さん。
「あんたからは後で回収するわよ。あたしが奢るのは未成年組だけ」
さっすが沢野さん。めっちゃ男らしい。劇団で一番男らしいのは、団長を除いたら沢野さんで間違いない。男らしくなりたいと思ってる恵は梶山さんを参考にしようとしてるだろうけど、それは大きな間違いだ。
「そんな殺生な」と嘆く伊藤さんに「酔いつぶれた喜多村を処理しときなさい」と指令を下す姿とか、男らしさの塊みたいなもんだよ?
さらに、
「さっすが夢子! ピーターパン症候群をこじらせた俺の分まで奢ってくれるとは」「あんたは大人になりなさいよ」「ばふっ!」
馬鹿なことを口走って沢野さんの正拳突きを食らう梶山さんは、ぶっちゃけ半面教師にすべき姿だよね。普通にかっこいい男を目指すなら、見習うべきは沢野さん。しかしあえてあたしは梶山さんを推す! 何故なら彼は破綻してるから!
「夢子……だが俺は、今月、あと千円で、一週間過ごさないと、いけないんだ……、どうか、神の恵みを」沢野さんに手を伸ばす梶山さん。
「はい、恵」一之瀬のほうの恵を差し出す沢野さん。
「ありがとう、神……」恵を抱きしめる梶山さん。
恵も恵でなんか色々と諦めてるというか、ノリに着いていけてないみたいだし、伊藤さんさえ置いてけぼりな勢いでぼける辺り、梶山さんのアホスキルはマジで見習いたい。あたしのキャラもまだまだだなぁ。勉強する事が多すぎて笑える。だからあたしは笑う。
でも、そこで再び振動し始めたアイフォンがあたしのテンションに水を差したのを感じた。そろそろまずいらしい。
皆から見えないようにアイフォンを見ると、液晶に写されたのはこうだ。
『ライン告知一件 新着メール十件 着信履歴四十七件』
溜息が漏れそうになった。
時間も一緒に確認すると、夜の七時。成る程、思ってたより時間が経ってたみたい。こりゃ帰ったら覚悟しなきゃな。
「しまったぁそういえば今日は見ないといけないテレビがあったのだぜっ。あたしは急いで帰らねば!」
そう言って立ち上がる。まぁ、そんなことしなくても解散のタイミングだったけどね。
「送ってくわよ?」
そう提案してくれたのは沢野さんだ。でも、あたしは首を横に振る。
「大丈夫っすよ。大至急帰らなきゃってわけじゃないし。それじゃ、先に失礼しますね」
最後にご馳走様ですと付け足して、あたしはファミレスから出た。
そのタイミングで、もう一度アイフォンが振動する。
「……もしもし、倉本?」
めんどくさいけど出た。アイフォンの向こうから聞こえたのは、鉄みたいに固い口調の声。
『お父様が心配されていますよ。今、どちらですか?』
倉本はあたしの家の使用人だ。そんで、あたしの送迎係りでもあり、監視役でもある。
「駅近くのファミレス。駅に迎え来て」
『畏まりました。お父様からの言伝もありますが、そちらはお車でお伝えします』
そして通話が切れた。
あたしは駅前に向かって歩きながら、アイフォンをいじくる。
言伝がある、か。わざわざ使用人の倉本に伝言板やらせなくても、どうせメールで送ってるんでしょ? 解ってる解ってる。
メール履歴を確認する。
十件の新着メールは全て同じ差出人。全て父からだ。
『習い事は終わったのだろう。倉本から、お前が待ち合わせ場所に来ないと連絡があったぞ』『今どこに居る。早く待ち合わせ場所に行け』『梃子摺らせるな。言う事を聞け』『今日、お前の分の晩飯は無い』『あと十分以内に連絡が来ないようなら、警察に届けを出す』
そんな感じのメール。
「うはっ、うっざ」
最近おとなしく言う事を聞いてたからって調子に乗りやがって。ああ、いや、そういえば彩鳥でゲリラライブをやった日、劇団員達に冗談半分で軟禁された日も、こんな感じだったっけ。くどいくどい。
「帰りたくないなぁ」
呟きながらも、この脚はちゃんと駅前に向かう。見えない鎖に引っ張られてるみたいな気分だ。
ラインのほうを確認すると、そっちは母からだった。
『パパがとても怒っているわ。遊佐の晩ご飯は作るなとか言ってるの。でも、おにぎり作って部屋にこっそり置いておくから、安心してね。でも、わたしも遊佐が心配です。今なにしてるかだけでも教えて』
そっちにはちゃんと返信した。
『友達とご飯食べてた。今から帰るけど、おにぎりは要らない』
返信はすぐに来た。
『ちゃんと栄養は足りてますか? おにぎりの代わりにサプリメントで良い? あと、食費は出してあげるので、レシートを貰ってきて下さい』
『奢ってもらったから、食費も要らない。ちゃんとサラダも食べた』
『奢ってもらったなら、先方にお礼の挨拶をしたいです。その方の連絡先を教えて下さい』
『お願いだからやめて』
やりとりが面倒になって、それ以降は返信を見ずに、アイフォンをポケットに突っ込む。心配性過ぎるって、うちの母。ほんとめんどくさい。めんどくさいのに退屈だから手に負えない感じ。
「……ほんと、つまんないなぁ」
一人呟く。
これで駅に着いて、倉本が来たら、あたしはあの家族が居る場所に戻らないといけない。部屋に篭って大音量でアニメ見てやる。イヤホンで耳栓してやる。にゃんぱすで癒されるんだぁぁあああ!
あ、駄目だ、にゃんぱすのアニメ終わってた……。
今日はどのアニメがアップされる日だったっけ。忘れちゃった。家に帰ったら学校では劣等生扱いだけど実は超優秀ですごい魔法とか使えて、しかも軍からも頼りにされてる高校生の兄が居る某アニメみたいな生活だったなら、つまらないなんて呟かずに済むんだろうけどなぁ。
そんな現実逃避をしてたらふと、前のほうに見知った顔が見えた。
その見知った顔はあたしに気付くと、驚愕の表情を浮かべて、そしてすぐに嬉しそうに笑い、こっちに駆けてきた。
「ゆうちゃんっ! 久しぶり!」
パーマをかけたみたいにお洒落な癖っ毛を揺らす、背の低い少女。本当に久しぶりだった。中学の時の同級生だから、二年以上会ってない事になる。
「かっちー。久しぶり」
昔のテンションを忘れたから、差障り無く答えてみる。
目と鼻の先まで来たかっちーこと勝美有栖は、輝かしいまでの笑顔であたしを見つめる。
「なんでかっちーがここに?」
家は割と遠かったはずだ。しかも、お嬢様であるところのかっちーが、保護者無しでこんなとこに来るなんて思えない。
かっちーは答えた。
「ほんっと偶然だよ! 今度遠足で、この近くにある美術館に行く事になってね、それで、事前学習ってことで、その美術館の事を調べに来たの」
遠足で来る場所に事前に来ておく、なんて、あたしには考えられない事だ。でも、あたしが以前通ってた私立の中学では、そういうことが当たり前だった。そういう事が当たり前に出来る人は、普通にエスカレーター式の高校に進んだ。あたしは無理だったから、高校には上がれずこっちの高校に逃げてきた。かっちーはそれが出来るから、向こうの高校にそのまま上がった。
「あー、美術館って、小海坂美術館?」
「そう、そこ!」
テンション高めに頷くかっちー。
「もう行った?」
「行ったよ。今から帰るとこなんだ。素晴らしい作品がいっぱいあったよ」
楽しそうに語るところ悪いけど、あたしは去年、つまりあたしが高校二年生の時に、遠足でそこに行ってるんだよね。こっちの高校はどこも、遠足といえば小海坂美術館! みたいに思ってるらしい。
とにかく既にその美術館の事を知ってるあたしから言わせてもらえば、何が楽しかったんだかさっぱり。だからあたしは肩を竦めた。
「あたしってば美的センス無いからねー。ああいうとこ、肌に合わないんだ」
冗談ぽかして言うと、かっちーは笑ってくれた。
「ゆうちゃんは他の人と感性が違うだけだよ。天才肌なんだと思う」
そうかな。あたしを天災扱いしてる後輩なら一人居るけど。恵とか恵とか恵とか。あとは皆してあたしを頭の悪い子扱い。普通の天才は軟禁されたりしないだろうしね!
でも、褒められて悪い気はしない。これに乗じてもっと褒めてもらおうかしら、と考えてたら、かっちーはハッとして、慌て出した。
「次に来る電車に乗らないといけないんだった! 私もう行くね! あ、よかったら、これ、あたしのラインの名前とIDだから、連絡して! じゃあね!」
そう言ってメモを渡して走り出すかっちー。あーあ残念。せっかく、倉本のところに行く前に悪あがきして時間稼ごうと思ってたのに。
渡されたメモを見る。名前はそのまま、勝也ありす。名前だけ平仮名になっててちょっと可愛かった。その下にID。
あたしは歩きながらアイフォンをいじって、そのIDの先へ飛ぶ。すぐ適当な挨拶を書き込んだ。
『遊佐だよ。よろしくね』
差障りの無い文句だ。
返事は待たず、新しく来ていた母からのラインをメッセージは無視して、アイフォンは再びポケットへ。
そういえば、中学の頃、さしあたっては演劇を始める前のあたしはどんなだったっけ。中学の頃の友達と再会したのに、そこが上手く思い出せない。
だからちょっと考えてみた。
アニメと出会ったのは高校に上がってからで、それまでの自分は酷く無残な人格だったんじゃないかと思う。はっきり言って自覚は無い。でも、周りの反応が、なんらかの末期患者を見るような目をしてたから、多分、なんかの末期だったんだと思う。自分は病人なんかじゃないのに、と、おかしくなって一人で笑う事もあった。
あたしには友達が居ない。中学生の時はかっちーという友人が一人だけ居たけど、私立の良いとこに通ってたのに高校でいきなり普通のところへ進学したから、一気に音信不通になった。そりゃぁまぁ、素行不良で「君はうちの高等部へは入れない」なんて、校長から直々に言われた人間と仲良くし続けようなんてやつ、居るはずないしね。今回の連絡先交換は、多分、再会でテンションが上がっちゃったからしでかした、いわゆる若気の至り、というやつだと思う。
まぁそういう感じで訳ありなあたしは、高校一年の二学期になっても友達皆無をキープし続けていた。友達が出来ない理由は色々あると思う。そりゃ色々。
まずあたしが喋らなかった事。だって喋るのめんどいし。楽しくないし。本でも読んでたほうがずっと楽しい。
次に登下校を自家用車でしてた事。だってほら、召使付のリムジンでお出迎えなんて、誰だって嫉妬するでしょ。お嬢様学校だった中学の時ならたまにある事だったけど、普通の公立高校でそんな事しちゃ悪目立ちもする。当たり前だってばさ。
いじめに遭ってるってわけじゃない。遠巻きな、壁を感じるような視線で見られたりするだけだ。ちょくちょく声もかけられるけど、どうも距離感が遠い。壁は分厚い。けど、その距離感がなんとなく心地よいと思えた。
そういうわけで友達皆無なあたしは、ぶっちゃけ退屈な日々を送っていた。あんまり悪目立ちし過ぎたくないから、登校時のリムジンは勘弁して貰った。その勢いで帰りの送迎も無しにしてやろうと思ったけど、残念ながら中学の時の素行不良のせいで、あたしは両親からの信頼を無くしてる。帰りの送迎は見張りも兼ねてるから、無しに出来るはずが無い、とのこと。
せめてもの抵抗で、送迎はなるだけ早い時間に来てと言った。そんであたしもなるだけ早く教室を出て、なんなら帰りのホームルームをさぼってでも、早く学校を出た。
つまらない。そう思うしか出来ないような日常。
変化を齎してくれたのがアニメだった。アニメと出会って好きになってドハマリして、恥ずかしながら声優になりたいと思った時期も少しだけどあった。これ言ったら父に殺されるだろうけどね。
こういう生活は楽しそうだ。そういう嫉妬の念も込めてアニメを見まくって、いつしか二次元みたいな生活に憧れるようになってて。
でも、人は簡単には変われない。変わっちゃいけない。
あたしがいきなりキャラを変えたら、周りは皆引くだろう。学校ではもう友達居ないキャラで確定してるし。だから学校ではそういうキャラで居続けないといけない。
なら、新しい居場所を作らないと。
そう思って、習い事を始めようと思った。
アルバイトとかは両親に禁止されてるから駄目なんだけど、習い事なら家から離れることも出来る。一石二鳥だ。
そんな理由で、あたしは演劇を始めた。習い事とは少し違うけど、両親の許可が降りたから充分だろう。
つまりあたしは、現実逃避の一環として劇団彩鳥に入ったってこと。
こう考えるとひどいもんだ。あたしって人間は、ほんとに灰色。めっさダーク。天真爛漫)で居るのは楽しいから、そういうキャラになりたいんだけど、根本はこういう人間だったりする。
それは今でも変わってない。
ひとつ、大事なことを思い出した。あたしってば中学の時も今も変わらず親に逆らう事で必至だったんだよね。中学の時のほうがアクロバティックに逆らってたけど。それで問題起こしまくってたあたしに、かっちーがこんな質問をしてきたんだ。
――ねぇ、今、楽しい?
その時のあたしは答えられなかった。何も言えなくなってしまった。自分の中に答えが無かったから。
でも、今なら言える。
この帰路も。あたしを縛る鎖も、それに抗おうと無駄な努力を続ける自分のアホさ加減も、全部ひっくるめて言える。
「つまらない、かなぁ」
一人呟く。
駅前に着く。
倉本の姿を確認。
適当なやり取りを交わして、車に乗り込んで、愚痴みたいな父からの言伝を聞き流しながら、アイフォンを開く。すると、何時の間にやらかっちーからメッセージが。
『あはは、思わずわらっちゃった。ゆさちゃん、キャラ変わったね』
なんのことだろう、と首を傾げたけど、すぐに解った。私の名前だ。
私はラインに『合法魔王』という名前で登録してたんだ。ちょっと前の演劇の練習でやったエチュードが気に入って、魔王って単語を使わせて貰った名前。多分かっちーは、その名前を見て笑ってくれたんだと思う。
「違う。違うよ……」
なんとなく呟く。けれど返信は書き込まない。というか、なんて返事をすればいいのか解らなかった。
「あたしのキャラが変わったんじゃなくて、あたしが逃げたいと思う場所が、逃げる口実になってる場所が、変わっただけだよ」
クラブとか夜のコンビニ前とか、廃工場にたむろしてるジャージの連中とか。そういうのには関わらなくなった。だから、その影響で少しは変わったんだと思うよ、と、倉本には聞かれないように小さい声で、そんな感じの言葉を紡ぐ。すると、思ってたよりも簡単に、返事の内容を思いついた。
あたしは意味もなく、急いでメッセージを書き込む。
『ぱぱろっちぇぇぇぇええい、って叫びながら疾走する、っていう前世の記憶を思い出したから、なんか、今更なにやっても変わらないかな、って思ってさ』
当然だけど返信は、『へ?』という困ったような反応だった。
前書きの通り、まだ全然書き終わってないのにちら見せです。マナー違反かな?
本編に入ったら、恵たんの視点に戻りますよー。
ただし本編書き始めまでちーとばっかお時間頂く事になってしまいます……あしからず。




