世界がヤバい!
【ゼツ視点】
服を着た僕達は7人で話すことになった。
「数日前、アエロリット様が21層の〈常闇〉を消すため、龍脈を操作された。そして先程、〈常闇〉が消えたのだが、……問題は21層のオリハルコンゴーレムが魔力を吸って肥大化したことにある」
そう語るのは軍服を着た、黒髪で赤い瞳の華奢な少年、クリトである。
パンティーが小さく手を挙げた。
「わからないことだらけです」
パンティーに僕が答えた。
「アエロリットはノエルに〈加護の儀〉を施した少女だよ」
「では、ゼツ様やノエルの知り合いなのですか?」
「会ったのは一度だけだが……」
人の思考が読める不思議な少女だった。
「僕も聞きたい。アエロリットは何故〈常闇〉を消したんだ? それにオリハルコンゴーレムが肥大化すると何故、問題がある?」
僕達は話し合った結果、オリハルコンゴーレムには挑戦せず、温泉に入ったら来た道を帰る積りでいた。
「わた……ボクは貴殿に協力をしてもらわなければならない。故に正直に答えよう。〈常闇〉を消した理由はノエル様のレベルアップの為だ」
「私の?」
ノエルは不思議そうな顔で首を横にコテっと倒た。
「ああ、オリハルコンゴーレムが地上に現れれば、ゼツ・リンダナがそれを無力化しノエル様がとどめを刺す。
そうなればレベルアップしたノエル様の加護は進化し、ゼツ・リンダナのレベルが上がるとアエロリット様は予想を立てられた。
仮に貴殿が戦わない場合、わた……ボクがオリハルコンゴーレムに対処する予定だった」
「21層のオリハルコンゴーレムがどうやって地上に現れるニャン?」
「ん?ああ、21層には巨大な〈転移魔方陣〉がある。その魔方陣の中に入るとスクワードの中心に転移できるわけだが――」
「ちょ、ちょっと待ってくださいな!」
アターシャが話を遮った。
〈転移魔方陣〉とは古代遺跡等で発見される代物だ。世界でも僅か数か所しか存在しない。
「何故、そんなものがダンジョンの地下にあるのですか?」
「貴殿らが知らないのも無理はないか……、そもそも世界に点在するダインジョンとは【SSRエンペラーデーモン】が作り出したものだ。
数千年前の人魔対戦において、ダンジョンで生まれた強力なモンスターを地上に転送し、【SR魔王】がそれらを率いて人と戦う。それが本来のダインジョンの役割なのだ」
「坊ちゃん、この話しが本当であれば不味いですねぇ」
「ああ、つまりS級モンスターのオリハルコンゴーレムがスクワード中心に転送されるということか……」
モンスターは自身が生まれた〈常闇〉から離れない習性がある。
しかし、その〈常闇〉が消えれば、徘徊を始め、いずれ〈転移魔方陣〉に到達する。
クリトは真剣な顔で口を開く。
「〈転移魔方陣〉には魔物を呼び寄せる効果がある。今もオリハルコンゴーレムはそこに向かっている筈だ……」
「「「「「 ……ッ! 」」」」」
僕達はその話を聞いて沈黙した。
「そこで、最初の話しに戻るのだが、肥大化したオリハルコンゴーレムはSS級モンスターに分類される。
もう、わた……ボク一人の力では止めることができない。
ゼツ・リンダナよ、力を貸してくれないか?このままではスクワードは滅びる。いや、スクワードだけじゃないな。現状あれを止められる者はいない、”世界がヤバい”のだ」
SS級モンスター、つまり〈神話級モンスター〉だ!




