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初めての風俗店



 あれから5年の月日が流れ僕は17歳になった。


 あの日、僕はリンダナ侯爵家騎士団長のアナルに髪を捕まれ引きずられ、奴隷商人の元へ連れて行かれた。

 彼女は小遣い欲しさに僕を奴隷商人に売ったのだ。

 それから僕は奴隷として5年間ずっと土木工事をやっていた。



 僕が今いる現場は街道をつくる作業をしている。


「オラッ! 早くしろよゼツ!」


 ドスッ!


 掘削した石を手押し車で運んでいると班長のパイセンさん(40代のおっさん)に背中を蹴とばされた。

 僕は転び手押し車が倒れ石が散乱する。


「ちッ こんな蹴りで転ぶなよ。 クソ雑魚がッ」


「す、すみません。すみません。すみません」


 僕は慌てて石を拾って作業を再開する。

 もたもたしていると更に殴られるからだ。



 加護を授かった者が生物を殺すとレベルが上がる。


 奴隷もレベルが上がればストレングスやアジリティが向上し作業の進捗が良くなるから、作業現場近くにモンスターが出現したら皆で狩りをしてレベルを上げる。


 レベル0の農夫や大工であってもスライムを1体倒せばレベル1に上がる。

 しかし僕の場合、モンスターを何体倒してもレベルは0ままだった。


 パイセンさんは僕よりも圧倒的に強い。毎日たくさん殴られ罵声を浴びせられているが、逆らうことはできなかった。




 そんなある日、月に1度訪れる商業キャラバンがこの作業現場にやって来た。


 奴隷も僅かだが給料をもらえる。

 僕は5年間、給料を全く使わずに貯めているが、商業キャラバンが来ると他の奴隷は酒を買ったり、美味いものを食べたりして日々のストレスを発散させていた。

 商業キャラバンには出張風俗店があって滅茶苦茶高額であるが女性と楽しむこともできる。


 そしてこの日、僕は女を抱くと決めていた。


 そういうことに興味がないと言えば嘘になるが、僕が女を抱くと決めたのは別の理由からだ。

 僕の加護【MR無責任種付おじさん】はモンスターを倒しても全くレベルが上がらない。周りがどんどんレベルアップしてく中で僕だけずっとレベル0のままだった。


 僕はずっと悩み考え続けた。その結果、加護の名前からして女性と関係を持てば何か変化が起こるのではないかという結論を出した。



 日が暮れ、商業キャラバンの周りにはたくさんの奴隷作業員が集まっている。皆大騒ぎしながら酒を飲んだり食事をとったりしている。

 この商業キャラバンは3日間この場所に留まるから、その間は毎晩お祭り騒ぎだ。


 僕は現場から給仕される少量の粥スープと昼間摘んでおいた雑草を一人食べると、他の奴隷仲間に見付からないよう出張風俗店へ向かった。




 店に入ると時間がまだ早いからか客は一人もいなくて、中は静かで薄暗かった。


「いらっしゃい」


 カウンターに座るおばちゃんに笑顔で声を掛けられた。


「あの……、えっと……」


「あんた初めてだろ? 料金システムはわかるかい?」


 僕がカウンターへ行くと料金システムが書かれたボードが置いてあった。


□□□□□□□□□□

30分コース 銀貨2枚

40分コース 銀貨3枚

50分コース 銀貨4枚

指名料 銅貨10枚

本番行為禁止

□□□□□□□□□□


 それを見て僕は顔を青くした。


「本番は禁止なんですか?」


「あんた、字が読めるのかい? 凄いね」


 奴隷の殆どは字が読めないが、僕は元侯爵家嫡男、字を読める。


「いや、そんなことよりも……、本番、できないんですか??」


「当たり前だろ。 嬢が妊娠したら仕事ができなくなる。 こっちは商売あがったりだ。 もし発覚したら客は半殺し。 うちにはレベル41の魔法剣士がいるからね」


 おばちゃんはニヤリと笑う。


 くっそう。どうする? ここまで来て引き返すか? いや、本番しなくても何か変化はあるかもしれないし、何よりこのまま帰ったら一生僕は奴隷のままだ。


「わ、わかりました。 50分コースでお願いします」


 今まで経験がないから30分や40分でできるか不安だった。


 おばちゃんの顔が驚きに変わる。


「銀貨4枚だよ? そんな大金持ってるの?」


「はい」


 ここの料金は他の奴隷から聞いて知っていた。

 僕の月の給料は銅貨5枚。銅貨60枚で銀貨1枚と交換できるから銀貨4枚は僕の4年分の給料だ。


 くっそ、30分銀貨2枚なのに、なんで50分は銀貨4枚なんだよ。普通に計算したら60分だろう。

 そんなことを思いながらポケットから銀貨を取り出し、カウンターに置いた。


「へー、若いのに凄いじゃない。 指名はどうする?」


 正直相手は誰でも良かったから指名は断ろうと思っていたが、そんな僕を他所におばちゃんはカウンターにハガキサイズの似顔絵を並べていく。

 僕の視線もその似顔絵に向く。


 けっこう年配の人が多いな。指名をしないとこれがランダムで当たるのか……。


「あ、あの。 指名します」


「まいど。 銅貨10枚ね」


 おばちゃんは僕にウインクし、僕は更に銅貨10枚をカウンターに置いた。






 パイセンのステータス

■■■■■■■■■■■■■■

HN武闘家

Lv 9

④HP 134

①MP 58

②ストロングス 72

②アジリティ 72

①インテリジェンス 58

アクティブスキル ******

パッシブスキル ******

■■■■■■■■■■■■■■


 魔法剣士のステータス

■■■■■■■■■■■■■■

R魔法剣士

Lv 41

③HP 771

③MP 771

②ストロングス 519

②アジリティ 519

②インテリジェンス 519

アクティブスキル ******

パッシブスキル ******

■■■■■■■■■■■■■■


 ①②③④はレベルアップの際の成長率を表している。

 アクティブスキルやパッシブスキルは本人のみ確認可。


 ゼツのステータス

■■■■■■■■■■■■■■

【MR無責任種付おじさん】

Lv 0

HP 10

MP 10

ストロングス 10

アジリティ 10

インテリジェンス 10

■■■■■■■■■■■■■■


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