転生聖女、専属従者と教会へ
お父様に言われていた、教会へ向かう日の朝がやって来た。
いつもやっている魔力の循環を部屋でやっていると、ノックが聞こえてきた。
コンコン…。
「失礼致します。おはようございますハルノス様。」
「おはよう、ビーク。どうしたの?」
よく見れば傍らには女の子。兄様より少し年下くらいの女の子。服装からして従者見習いかな?
「お、おはようございますハルノス様。今日からハルノス様の専属となりました、ニコルと言います。よろしくお願い致します。」
そう挨拶し、ニコルは緊張した面持ちで頭を下げた。
「私はハルノス・ヴェルナー。ハルってよんでね。これからよろしくね。」
自己紹介が終わりビークが口を開いた。
「ハルノス様、私達の家系は先祖代々ヴェルナー家に仕えて参りました。歳の近い子を教育し、従者として、友として。ふつつか者ですが、傍に置いてやってくれれば幸いです。」
そう言って、出ていったビーク。
残ったニコルは、私を見て片足をついて頭を垂れる。
「私、ニコルはハルノス様を一生の主と仰ぎ、公私ともに支えて行くことを誓います。」
私はそれに応えるため、椅子から立ち上がった。
「私、ハルノス・ヴェルナーは貴女の誓いに誇れるような主となることを約束し、ニコルを従者として、友として承認致します。」
誓いが終わった後、メイドが迎えに来るまで私達は「友達」として話をするのだった。
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馬車で揺られること10分。領都の北東部に教会はある。教会へ入ると、同じ年頃の子達が並んでいる所を発見した。
「お父様、あの装置は何ですか?」
「あれは「遺産」と呼ばれる現在の技術では再現できない物の機能の一部を再現したマジックアイテムだ。手を乗せて魔力を込めるとあの溝からカードが出てくる。」
見た目コピー機なんだけどね。
「カードがなくなったらどうするのですか?」
「カード自体もマジックアイテムの一種だから、無くなることはない。どこかに忘れてきても、戻ってくる。」
なにそれこわい…。
ハルノス・ヴェルナー 4歳。異世界でコピー機と怪談に遭遇する。