転生聖女、テスト前に行列ができる
「ハルノス様、勉強を教えてください!」
「ハルノス様、暗記方法を~」
「ハルノス様、魔法学の~」
一学期終盤、テスト前ということで私は至る所で話しかけられていた。
首席入学者のネームバリューは伊達ではなく、デイストーチだけでなく他コースの生徒も私に話しかけ、コータスやニコルに散らされるというのを繰り返している。
「ハルノス!一緒にご飯食べよっ!」
「皆様、ごめんなさいね。婚約者様が呼んでいるので…。」
このやり取りで大体は散る。
だが、想像して欲しい。
目はキラキラ、ミミはヒクヒクと動き、フワフワ尻尾は千切れんばかりに振られている。
こんな可愛い生き物に話しかけられて無事でいられるだろうか?
私は無理だ。
外聞なんて考えずにコータスに飛びついてしまう。
「コータスっ!」
「うわっ!…ふふっ。」
だらしなく笑う顔も可愛い。
撫で回したい。そんな欲求を堪えて周りを見ると、顔を逸らして離れていく。
これが一週間前から続き、ニコルもコータスが止めた方が全員が幸せになれるということでコータスが止められない時に出てくるのみだ。
称号のバカップルの意味が分かった。
コータスの可愛さにはどこに居ようと負ける。
「…コータス?どうしたの?」
コータスは私を離そうとせず、尻尾をスリスリと擦り付ける動作をしている。
「ほ、他の…男の匂いが着くのが嫌だから…。」
「はうっ!?」
「ハルノス!?」
か、可愛いいいいいいいっつっ!!!!!!
「コータス、可愛い…」
「可愛いって言われてもあんまり嬉しくない…。」
「最高の褒め言葉です。」
「可愛い笑顔で言われても嬉しくない。どうせなら…ハルノスにカッコいいって…言われたい。」
「カッコいいよ?コータスは可愛カッコいいの。」
「今はそれでいい。でも、大人になったらカッコいいって言わせてみせる。」
「…昼食前に砂糖を撒き散らさないでください。」
「「ごめんなさい。」」
----------------------------------------
テストは座学と実技があり、トップ10と下位10名は掲示板に張り出されるため、皆必死に勉強する。
…下位10名に選ばれない為に。
授業が終わりアトラスとソラを迎えに行くと、誰かが激しく動いている音がする。
校舎裏の日陰でデイストーチのクラスメイトである、マリスさんが槍の練習をしている。
話しかけるべきか…。




