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ちびうさベルの世界旅行  作者: terry


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マレーシアの森に眠る最後の音

情熱的な火の国を後にしたベルは、不思議な導きにより次なる地へと向かいます。胸元で揺れる鈴には、これまでの旅で出会った仲間たちの想いが宿っていました。しかし、鈴が真の力を取り戻すには、まだ音が足りません。導かれるように辿り着いたのは、緑深い霧の国・マレーシア。そこでベルを待っていたのは、目に見えない心を運ぶ風の試練でした。

(風の国・・・)


白いうさぎと青いうさぎが、ベルの横でぴょんと跳ねる。

アグニは優しく続けた。


「風は、心を運ぶ。君の鈴が持つ最後の音は、風の国に眠っている」


ベルは胸元の鈴を握りしめた。


ちりん・・・


その音に応えるように、空からふわりと風が降りてきた。

まるでベルを包み込むように。

ベルは小さな船に乗り、白いうさぎと青いうさぎとともに海を渡った。

海の色は赤い夕焼けから、やがて深い緑の影を帯びていく。


遠くに見えてきたのは・・・濃い森と、霧に包まれた山々。

アリアの声が風に乗って聞こえた気がした。


「ベル、あれがマレーシアだよ。風と森の国」


ベルの胸元の鈴が、静かに、でも確かに鳴った。


ちりん・・・りん・・・


マレーシアの森に足を踏み入れると、空気がひんやりとしていて、木々の間を風が優しく通り抜けていった。

ベルのオレンジ色の毛が、風に揺れてふわりと光る。

白いうさぎが耳を立て、青いうさぎは風の流れを追うように跳ねる。


そのとき・・・


風がベルの前で渦を巻いた。

葉が舞い、光が揺れ、風の中心に、ひとつの影が現れた。

ベルは息を呑む。


(・・・だれ・・・?)


風が形をつくり、やがてその姿がはっきりと見えてきた。


それは・・・銀色の毛を持つ、風のうさぎ

細く長い耳が風に揺れ、瞳は空のように澄んだ青。

胸元には、ベルの鈴と同じ形の 銀色の鈴 が揺れていた。

風のうさぎは、優しい声でベルに語りかけた。


「ベル、あなたを待っていました。私はヴィエント。風の精霊の使いです」


ベルの胸元の鈴が、ヴィエントの銀の鈴と共鳴するように鳴った。


ちりん・・・りん・・・すぅ・・・まるで風が歌っているような音。

ヴィエントは微笑んだ。


「ベル。あなたの鈴に宿る最後の音・・・それは、風の国にしかない音。あなたに託すために、私はここにいます」


ベルは胸が高鳴った。


(最後の・・・音)


白いうさぎと青いうさぎが、ベルの横でぴょんと跳ねる。

ヴィエントは手を差し出した。


「ベル、風の国の鈴を受け取るには、風の試練を越えなければなりません」


ベルは小さく頷いた。


(わたち・・・やる)


胸元の鈴が静かに鳴った。


ちりん・・・りん・・・すぅ・・・


それは、風の国の冒険の始まりを告げる音だった。

マレーシアの深い森の中。

風が葉を揺らし、光が木漏れ日となって降り注ぐ。

ベルの胸元の鈴が、風に触れるたびに小さく震えた。


ちりん・・・りん・・・すぅ・・・


その音は、火の国で手に入れた火の音と、海の国で宿した海の音が混ざり合い、そこに新しい風の気配が加わっていた。

銀色の毛を持つ風のうさぎ・・・ヴィエントは、ベルの前に静かに座った。


「ベル、あなたの鈴には、もう三つの音が宿っています。光の音、海の音、火の音。どれもあなたが旅の中で得た、大切な出会いの証です」


ベルは胸元の鈴をそっと握った。


(ジウン・・・アリア・・・カイ・・・アグニ・・・みんなの想いが、ここにある)


ヴィエントは優しく微笑む。


「でもね、ベル、鈴には最後の音が必要なのです。それが・・・風の音」


ベルは耳をぴんと立てた。


(風の・・・音)


ヴィエントは森の奥を見つめながら語り始めた。


「風はね、ベル、目には見えないけれど、心を運び、想いをつなぐ力を持っています」


ベルのオレンジ色の毛が、そよ風に揺れてふわりと光る。


「あなたが誰かを想うとき、その想いは風に乗って届くのです。だから、あなたの鈴は風に呼ばれてここへ来た」


ベルは胸が温かくなるのを感じた。


(わたちの想い・・・届いてるんだ)


ヴィエントは空を見上げた。


「風は、まだ見ぬ未来の気配を運びます。あなたが次に進むべき道も、風がそっと教えてくれる」


その言葉に合わせるように、森の奥から新しい風が吹き抜けた。


ベルの鈴が震える。


ちりん・・・すぅ・・・


(未来・・・)


ヴィエントはベルの目をまっすぐ見つめた。


「ベル、風は優しいだけではありません。ときに嵐となり、ときに道を塞ぐこともある」


ベルは小さく息を呑んだ。


「でもね、嵐の中でこそ、本当の勇気が生まれるのです。あなたの鈴に必要なのは・・・恐れを越える勇気の音」


ベルの胸元の鈴が、まるで答えるように震えた。


ちりん・・・りん・・・すぅ・・・ヴィエントは胸元の銀色の鈴をそっと外し、ベルの前に差し出した。


「ベル、この風の鈴は、あなたの鈴に宿る最後の音。あなたが風の秘密を理解した今、受け取る資格があります」


ベルはそっと手を伸ばした。

銀色の鈴は、ベルの指先に触れた瞬間・・・風となって溶け、ベルの胸元の鈴へ吸い込まれた。

光が舞い、風が渦を巻き、森全体が鈴の音で満たされる。


ちりん・・・りん・・・・ごぉぉん・・・すぅ・・・


ベルの鈴が、ついに四つの音を宿した。

ヴィエントは深く頷いた。


「ベル、あなたの鈴は完成しました。これで、次の国へ進む準備が整いました」


ベルは胸元の鈴を見つめた。


(風の音・・・わたちの中に、ちゃんとある)


白いうさぎと青いうさぎが、ベルの横で嬉しそうに跳ねる。

ヴィエントは風に乗りながら告げた。


「次に向かうのは・・・風の国の北、光の国です」


ベルの鈴が、新しい音で静かに鳴った。


四つの音が一つに重なり、ベルの鈴はついに完成の時を迎えました。ヴィエントから託された勇気の音は、ベルの心に新しい光を灯したようです。マレーシアの森を吹き抜ける風は、次なる目的地光の国の香りを運んできました。ベルの本当の旅は、ここからまた新しく始まろうとしています。

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