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ちびうさベルの世界旅行  作者: terry


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7/16

風の別れと光の祈り

四つの想いを鈴に宿し、風の国マレーシアで一つの区切りを迎えたベル。 別れは寂しいけれど、それは決して「終わり」ではなく、再会の約束を運ぶ風の始まりでした。

ヴィエントに背中を押され、ベルが次に向かうのは「光と祈りの国・タイ」。 夜空を埋め尽くすランタンの輝きの中で、ベルは自分自身の心の奥にある「願い」と向き合うことになります。

光、海、火、風。 これまでに出会ったすべてが、ベルを新しい運命へと導いていきます。 五つ目の音が生まれる瞬間を、どうぞ見守ってください。


ちりん・・・りん・・・ごぉぉん・・・すぅ……


 それは、次の冒険の扉を開く音だった。

 風の国マレーシアの森。

 木々の間を吹き抜ける風は、どこか名残惜しそうに揺れていた。


 ベルの胸元の鈴は、四つの音を宿して静かに輝いている。


 ちりん・・・りん・・・ごぉぉん・・・すぅ・・・


 その音は、光・海・火・風・・・ベルが旅の中で出会ったすべての想いが重なった音。


 銀色の毛を持つ風のうさぎ、ヴィエントは、ベルの前にそっと座った。


「ベル、あなたの鈴は、もう“完全な鈴”になりました。あなたは、風の国が認めた旅人です」


 ベルは胸が温かくなるのを感じた。


(ヴィエント・・・ありがとう)


 白いうさぎと青いうさぎも、ベルの横で静かに耳を立てている。

 ヴィエントは優しく微笑んだ。


「ベル、風は別れを運ぶけれど、同時に“再会の約束”も運びます。だから、悲しまなくていいのです」


 ベルの目が少し潤む。


(わたちたち・・・また会える?)


 ヴィエントはそっとベルの頭に触れた。


「もちろん、風は世界中を巡ります。あなたが風を感じたとき、私はいつでもそばにいます」


 風がふわりと吹き、ベルのオレンジ色の毛が揺れた。

 胸元の鈴が静かに鳴る。


 ちりん・・・すぅ・・・ヴィエントは空を見上げた。


「ベル、次に向かうのは・・・光の国・・・風の国の北にある、光と祈りの国・・・タイ です」


 ベルは目を丸くした。


(光の・・・国)


 ヴィエントは続ける。


「タイには“光の精霊”がいます。あなたの鈴が完成した今、その精霊はあなたを待っているでしょう」


 白いうさぎがぴょんと跳ね、青いうさぎは風の流れを追うようにくるりと回る。

 ベルは胸元の鈴を握りしめた。


(行く・・・わたち、行くよ)


 ヴィエントは深く頷いた。


「ベル、あなたの光は、どんな闇も照らすでしょう。どうか、自分を信じて進んでください」


 風が強く吹き、森の葉が舞い上がる。

 その風の中で、ヴィエントの姿が少しずつ薄れていく。

 ベルは思わず手を伸ばした。


(ヴィエント・・・!)


 ヴィエントの声が、風に乗って優しく響いた。


「ベル、あなたの旅は、まだ続きます。光の国で・・・新しい出会いが待っていますよ」


 そして・・・風とともに、ヴィエントは消えた。

 ベルの胸元の鈴が、最後にひときわ強く鳴った。


 ちりん・・・りん・・・ごぉぉん・・・すぅ・・・


 ベルは空を見上げた。

 風が吹く・・・光が揺れる

 白いうさぎと青いうさぎが、ベルの横でぴょんと跳ねる。


(光の国・・・タイ)


 ベルは小さく頷いた。


(行こう、わたちの旅は、まだ続く)


 風がベルの背中を押すように吹いた。

 ベルは一歩、前へ進んだ。

 マレーシアの森でヴィエントと別れたあと、ベルは白いうさぎと青いうさぎとともに北へ向かった。

 風が背中を押し、海が道を照らし、火の国で得た勇気が胸の奥で静かに燃えている。

 胸元の鈴は、四つの音を宿して輝いていた。


 ちりん・・・りん・・・ごぉぉん・・・すぅ・・・


 その音は、まるでベルの旅路を祝福するようだった。


 タイの地に足を踏み入れると、

 空気がふわりと甘く、どこか懐かしい香りが漂っていた。

 ベルのオレンジ色の毛が、夕陽の光を受けて金色に輝く。

 白いうさぎが耳を立て、青いうさぎは風の流れを追うように跳ねる。


 そのとき・・・

 遠くから、無数の光が空へ舞い上がった。

 ベルは目を丸くした。


(・・・なに、あれ・・・?)


 アリアの声が風に乗って聞こえた気がした。


「ベル、それはコムローイ、タイの夜祭りだよ」


 空に浮かぶのは、無数の灯籠・・・コムローイ

 まるで星が地上から生まれていくように、光が夜空へゆっくりと昇っていく。

 ベルは胸が高鳴った。


(ちれい・・・)


 胸元の鈴が震える。


 ちりん・・・すぅ・・・


 ベルが光の方へ歩いていくと、川辺にはたくさんの人々が集まり、灯籠を空へ放っていた。

 その中央に・・・ひときわ大きな光が揺れていた。

 白いうさぎと青いうさぎが、その光に向かってぴょんと跳ねる。

 ベルも近づく。

 光はゆっくりと形を変え、やがて・・・金色の羽を持つ、小さな光の精霊 が姿を現した。

 ベルは息を呑んだ。


(光の・・・精霊)


 精霊は柔らかい声で語りかけた。


「ベル、あなたの鈴の光が、私を呼びました」


 ベルの胸元の鈴が、光の精霊に応えるように輝く。


 ちりん・・・りん・・・ごぉぉん・・・すぅ・・・


 精霊は微笑んだ。


「あなたは旅の中で、光、海、火、風・・・四つの音を集めました。でも、鈴にはまだ“最後の光”が必要なのです」


 ベルは耳をぴんと立てた。


(最後の・・・光)


 精霊は空を見上げた。


「タイの夜祭りコムローイは、願いと祈りを空へ届ける祭り。その光は、世界で最も純粋な希望の光」


 ベルの胸がじんわりと温かくなる。


(希望・・・)


 精霊はベルの前に手を差し出した。


「ベル、あなたの鈴に“希望の光”を宿すには、あなた自身の願いを灯籠に託さなければなりません」


 ベルは小さく息を吸った。

 白いうさぎと青いうさぎが、ベルの横でそっと寄り添う。

 ベルは灯籠に手を触れ、胸元の鈴を握りしめた。


(わたちの願い・・・)


 そして、心の中でそっとつぶやいた。


(みんなに・・・また会いたい。そして、もっと強くなりたい)


 その瞬間・・・


 灯籠がふわりと浮かび上がり、ベルの願いを乗せて夜空へ昇っていった。

 同時に、ベルの胸元の鈴が強く輝いた。


 ちりん・・・りん・・・ごぉぉん・・・すぅ・・・きぃん・・・


 新しい音が生まれた。

 光の精霊が深く頷く。


「ベル、それが“望の音。あなたの鈴は、ついに完成しました」


 ベルは胸元の鈴を見つめた。


(希望の・・・音)


 白いうさぎと青いうさぎが、ベルの横で嬉しそうに跳ねる。

 精霊は優しく告げた。


「ベル、あなたの旅は、ここで終わりではありません。鈴が完成した今・・・次の国が、あなたを待っています」


 ベルの鈴が、完成した五つの音で静かに鳴った。


 ちりん・・・りん・・・ごぉぉん・・・すぅ・・・きぃん・・・


 それは、新しい冒険の始まりを告げる音だった。

 光の精霊は、ベルの胸元の鈴が奏でる五つの音に耳を澄ませた。


 ちりん・・・りん・・・ごぉぉん・・・すぅ・・・きぃん・・・


 その音が夜空へ広がると、精霊の背後に光の地図が浮かび上がった。

 精霊は静かに言った。


「ベル、あなたの鈴は世界の音を宿しました。だから、あなたが進む道はひとつではありません」


 ベルは耳をぴんと立てた。


(わたち・・・どこへでも行ける?)


 精霊は優しく頷いた。


「ええ、そして、あなたの鈴がもうひとつ強く反応した国があります」


 光が地図の一点を照らす。


 ・・・シンガポール

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

タイの夜空に舞い上がるコムローイの光とともに、ベルの鈴はついに「きぃん」という五つ目の音を宿しました。光・海・火・風、そして「希望」。 この五つの音は、ベルがただ旅をした証ではなく、出会った仲間たちと分かち合った絆の結晶です。

「わたちの旅は、まだ続く」

その決意を胸に、ベルの視線はすでに次の国、近代的な光とさらなる冒険が待つ「シンガポール」へと向けられています。 鈴の音が豊かになればなるほど、ベルの世界はどこまでも広がっていくようです。

次はどんな景色が彼女を待っているのでしょうか。 完成した鈴を鳴らしながら進むベルの物語を、これからも一緒に歩んでいただけたら嬉しいです!

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