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神様相談所  作者: エスカルゴ
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「フウン。やっぱ梔子さんとこが関係してたかぁ」

太陽が沈みかけ、世界が茜に染まる頃。

私の通う学校の近くにある川原で二人で並んで座っていた。

エスカルゴは寝間着用の韓紅色の甚平を着こなし、高下駄を履いた真っ白な足をぶらぶらと揺らしている。


さわさわと赤を反射させながら流れる目の前の川をぼんやりと眺めながら、私はうんと頷く。


「じゃあまずは零君の話も聞こう。正直俺もどうしようかと思っているし。夢花ちゃんが喜んでくれるなら弁当に睡眠薬でも混ぜる?」


どうしても夢を見るアレを使いたいらしくエスカルゴは夢花ちゃんを寝かせる方向に話を持っていっている。

製作者としては薬や魔術によって眠らせる作戦には同意ができない。

あの薬は、まぁ魔道具全般がそうなのだが、どうも繊細な術式を組み込むことが必要となってくる。


小さな祈りの文句、主軸となる精神干渉系の術、更には精神を同調させ、支配権を奪うと言う主要術式を小さな欠片一つ一つに組み込み、最後に己の魔力で染め上げるために、専用の道具を使い全て一人で刻まねばならない。


今回の魔道具はそんな風にして作られているため、手間もお金も掛かる。

実験の末異世界の材料……それも恐ろしく高価な物ばかりを使うため、そう簡単に量産はできない。


梔子や夢花ちゃんといった魔力が無い、または少ない子達は、体内の魔力を最後の仕上げに変換させ流すことは出来ないので、体外の魔素を取り込む術式まで施さなければいけないため、健康状態、その時何を服用したか、体内の魔力、精神力の循環状況によって結果が変わる。


だからこそ、睡眠薬と言うイレギュラーな存在に頼りたくはない。


幸い、時間はまだあるし、色々な思惑もまだ複雑に絡まってはいない。

私も再追試以外は特にやることも無いし、ゆっくりと時間をかけて夢花ちゃん を懐柔していこう。


生活難と言うわけでもないから、ゆったりと柔らかな関係を作り上げるのにそう支障もないだろう。


「くあぁ……まぁ、むこうさんも学校があるし、夏休みとかまで動かないでショー」


今だ春が支配しているこの地域。

春休みはとうに終わり、試験が終わり次第、体育祭に努めることになっている。

夢花ちゃんの中学とは時制が違うようで、夢花ちゃんの所はそろそろ体育祭だ。


ゆるゆるりと、夏の気配が近づいている。


家に帰るためにあるきだしたエスカルゴの後を着いていきながら、ふとそう思った。


誰にも気づかれずに交代する春と夏。

思ったことはそれで完結し、それ以上の感想は出てこない。

誰に言うでもなく、ふと視線を川に向けた。


……静かに、赤が消えようとしている。


少しだけ目を細めた私は、エスカルゴの後についていった。


☆★☆★☆★☆★


「なんっっっ!何ですかあの女ッ!」

ドン!と大きな音をさせて食卓に拳を叩き付ける零に、黒にぃでさえも苦笑を返した。

食卓の真ん中には、真っ赤に熟れたさくらんぼが大皿にこんもりと盛られていた。

ぺっとさくらんぼのたねを種入れに吐き出していた私をデコピンして聞く体勢になれとエスカルゴが合図をして来る。


仕方がないなと居直ると、黒にぃが、

「そんなに酷かったのか?」

とため息混じりに聞く。


すると、零が聞いてくれますか!と声を荒げた。

正面に身を乗り出したので、私は少し引いた。

今の並び順は、黒にぃが私のとなりに座っていて、私の正面は零。黒にぃの正面はエスカルゴと言った並び順のためか、興奮状態の零に飛び出されると近すぎて困ったりする。


「彼奴、なんでか知らないですが胸を腕に押し付けてくるんですよ!匂いも甘過ぎてキツいし目に欲望が隠しきれてません!不愉快です

笑い声も高すぎてうざいし、スタイル良くて顔が避けりゃいいと思ってる。

僕、あんな女の子らしい女の子苦手です。」


やっぱマスターが一番ですよ!と尻尾振ってる忠犬には悪いが、成る程君は私が女の子らしくないと。そう言いたいのだな?

机に頭を打ち付けて爆笑してるエスカルゴとは大違いの邪気の無い瞳に、怒るに怒れず、深くなっていた眉間の皺を揉み解した。

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