67【この子欲しい!】
某屋敷にて
「くそ!
まだあの小娘は始末できんのか!」
「申し訳ございません。
何度も刺客を送っており、私達以外にも刺客を送っているやからもいるのですが、どれも撃退されております」
「もっと腕のいい暗殺者を探せ!」
「はい!
かしこまりました!」
そう言って執事は部屋から出ていく。
「どいつもこいつも役立たずばかりか」
そう悪態をつきながら椅子に腰かける。
「何処かに腕のいい暗殺者はいないものか?」
「動くな」
「何者だ!」
突然後ろから声が聞こえたので思わず声をあげ振り向こうとする。
「動くな、言った、はず」
振り向こうとしていた頭を正面に戻され、首元にナイフを突きつけられる。
「私は『影』。
名前、聞いた事、あるはず」
「『影』ってあの『影』か!」
『影』とはここ数年で出来た暗殺者だが確実に相手を始末し痕跡も全く残さないことからとても有名な暗殺者だ。
しかし、『影』と連絡をとる手段はなく『影』が来てくれないと依頼も出来ず、報酬もとても高いので少し扱いにくい暗殺者でもある。
「ネニュファール家、長女、暗殺、?」
「もしかして依頼を受けてくれるのか?」
「報酬、二千万リン、貰う」
「わかった。
達成した暁には二千万リン払おう」
「取引成立」
そう言って『影』は消えた。
「『影』って本当に存在したんだな。
それより、これであの小娘も終わりだ!
ハッハッハッハー!」
屋敷の中に笑い声が響いた。
◇◆◇◆
あの夜、私は屋敷内に知らない人間が入ってきた気配を感じ起きた。
起きはしたがそのまま寝たフリをする。
気配は屋根裏からするな。
それにどんどん近づいてくる。
相当腕のいい暗殺者なんだな、一切殺気もしないし、屋敷内でも侵入に気づいているのは私だけだろう。
そして、その気配は私のちょうど真上で止まる。
やっぱり狙いは私か。
第二回リバーシ大会以降、私を狙って暗殺者が送り込まれるようになった。
今までの暗殺者はロゼやヴィルデが私にたどり着く前に片付けてくれてたけど、この暗殺者は相当腕が立つみたいでロゼやヴィルデも気づけなかったみたいだ。
そろそろ来るかな?
私がそう思ったとほぼ同時に私の真上からナイフを持った人影が降ってきた。
私はそのナイフを躱し人影に向かって殴りかかる。
しかし、その人影は私の攻撃を躱し私から距離をとり構える。
「へぇー、今のを躱すんだ。
あなた凄いね」
私はそう言って氷の剣を作りそれを握り構える。
「氷、魔法!」
お、驚いてるな。
人影は手に持っていたナイフをしまいさっきとは違うナイフを取り出した。
「え?」
しかし、そのナイフは明らかに普通のナイフではなかった。
なぜなら刀身がなかったのだ。
いや、そんなはずはない。
確かに私の勘は剣の刀身はあると告げているのにも関わらず私の目では認識出来ない。
ということは可能性は一つか。
「闇魔法ですか」
「正解」
多分、しっかりと姿が見えないのも闇魔法の効果だろう。
その言葉と同時に人影は私に攻撃を仕掛けてくる。
敵のナイフの刀身を把握出来ないためできるだけ余裕を持って躱していく。
やばい、この子強い!
めっちゃ楽しい!
人影はそこまで大きくなかったのでこの子という表現で合っていると思う。
私はこの子の強さに思わず笑みが零れてしまう。
「エレナ様!
大丈夫ですか!?」
私たちの戦闘に気づいたヴィルデが私の部屋に向かってくる。
「撤退」
人影の子は撤退の姿勢に入る。
「逃がさないよ!」
私は氷魔法を使い部屋中を凍らせる。
扉や窓も開かなければ、壁や天井も壊すことが出来なくなり、この子の逃げ道はなくなる。
「殺る!」
人影は腹を決めたのかさっきよりも勢いよく突っ込んでくる。
やばい、この子欲しい!
私は、氷魔法を発動させ部屋全体の気温を急激に下げる。
あまりの寒さで人影のスピードが落ちる。
私は、それを見逃すほど甘くない。
「ふぅ!」
私はすぐさま人影の懐に潜り込みみぞおちに拳を叩き込む。
「ぐはっ!」
人影はその場に倒れそのまま気を失った。
今日も読んで下さりありがとうございます。
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