63【恥ずかしい!】
「負けた。
私は負けてしまったのですね」
え?
タフネなんか泣いてない?
あの、何事にも冷静なメイド長だよ?
こんな姿、私が生まれてから一度も見たことないよ?
「タフネ。
大丈夫?
負けはしたけどタフネの真剣な顔凄く素敵だったよ」
私はタフネのところまで行き必死で慰める。
「お嬢様。
ありがとうございます」
タフネは必死に何も無いように装っているが目から涙がポロポロと落ちている。
タフネってそんなに負けず嫌いだったっけ?
「済まないねタフネ。
エレナとの食事券は私が貰うよ」
アドニス様辞めてよ。
タフネがそんなもののために涙を流すわけないじゃない。
「くっ!
うわぁー!」
タフネは膝から崩れ落ちガチ泣きをしている。
え?
まじ?
「ねえ、ヴィルデ。
もしかして、タフネって私と食事取りたかったから泣いてるの?」
「どこからどう見てもそうとしか考えられないでしょうね」
そう言えば第一回大会の優勝者はタフネって言ってたよね。
じゃあ、いいか。
「タフネ。
今更だけど第一回大会優勝おめでとう。
優勝のお祝いということで二人で食事でもどう?」
「いいんですか?」
タフネが鼻を啜りながら言う。
「タフネがいいんだったらだけど」
「お、お願いします!」
「じゃあ、決まりね」
「はい!
お嬢様!」
タフネはこれまで見たこともないほどの笑顔で返事をする。
タフネって意外に表情豊かなんだね。
普段は真顔か作り笑いだから知らなかったよ。
「エレナ、私のことも忘れないで欲しいな」
「ちゃんと覚えてますよ。
優勝おめでとうございます」
近寄ってきたアドニス様にお祝いの言葉を言う。
「エレナ様。
そろそろ表彰式に移りたいのですが」
決勝戦が終わってからずっと話している私に進行係の人が話しかけてくる。
「あ!
そうでした!
ごめんなさい!
二人とも向こうの壇上に上がってください」
少し急かし気味に壇上に登ってもらう。
「それでは、優勝者、準優勝者の表彰式に移らせてもらいます」
「「「「うおーーーー!!!」」」」
凄い盛り上がりだ。
「それでは準優勝、タフネ!
準優勝の賞金として二百万リンです」
「ありがとうございます」
タフネは前に出て私から賞金を受け取り元の位置に戻る。
「そして、優勝!
アドニス様!
賞金として五百万リンです!」
「ありがとう」
アドニス様も私から賞金を受け取る。
「それでは賞金を何に使うか聞いてもよろしいですか?」
「エレナとの食事券を使う時にこの賞金を使って飛びっきりの料理をご馳走するよ」
「「「キャーー!!!」」」
「さすが殿下だぜ!
やることがカッケー!」
「エレナ様愛されてるねぇー!」
恥ずかしくて顔が赤くなってしまう。
「えっとあの、ありがとうございますっ」
とりあえずアドニス様にお礼を言う。
「お!
エレナ様の顔が赤くなってるぞ!」
「かわいい!」
「エレナ様、こっち向いて」
「もう、恥ずかしい!」
私はそう言って舞台裏に引っ込み残りをロドデンさんに任せた。
後日しっかりとアドニス様とタフネと二人きりで食事をしました。
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