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大鴉の恩返しは傍迷惑  作者: noll
紅茶編
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閑話Ⅲ


 暗い室内、そしてあの空気の淀んだスモッグが立ち込める室内。暫し無言だったこの室内に、一つの歌が流れ始めた。


「London Bridge is broken down,

Broken down, broken down.

London Bridge is broken down,

My fair lady.」


 彼の有名な童謡、マザーグースの中にも取り上げられた『London Bridge Is Falling Down(ロンドン橋落ちた)』であった。これは、様々な材料を用いてロンドンの橋を作る当時の情景を物語る作品。そんな歌を歌う人物は、まるで子供のように歌い、陽気なメロディーが流れた。すると、薄暗い室内が徐々に明るくなっていった。


「Build it up with wood and clay,

Wood and clay, wood and clay,

Build it up with wood and clay,

My fair lady.」


 二番になり、遠くの方でなにかが動いているようすだった。見れば、一人の道化師がクルクルと踊り歌を口ずさんでいた。


「Wood and clay will wash away,

Wash away, wash away,

Wood and clay will wash away,

My fair lady.」


 そこまで歌いあげると、道化師は何かに気づきハッとした。そして慌てて取り繕うようにして、道化師は頭を垂れた。


「お帰りなさいませお客さま、如何でしたか?」


 そう一区切りし顔を上げると道化師は首を傾げた。


「おや、少し顔色が優れないご様子。

お話に御納得いただけなったのですかな?」


 クスクスと笑いそう言うが、ガシャンッと遠くの方で鳴る大きな騒音に大きく肩を震わせる道化師。道化師は慌てて口を開いた。


「と、とんでもない!

我々はただお客様の望むように”楽しませる事”が仕事。

それになにより、劇場内における不始末はこちらの専門外でございます!!」


 するとまたしても遠くで何かが割れる音が聞こえた。道化師は慌てて耳を塞ぎ、声を上げた。


「あー、分かりました!

でしたら、次、次に参りましょう!!!」


 道化師は耳を塞ぎながら笑顔で言いきる。しかし、すぐさま笑みを崩して前を見据えた。


「そんな、いらないだなんて仰らないで!

次こそきっと楽しめますよ!!」


 そう言い道化師は退散とばかりに身を翻して駆けだした。残された者は未だ何かに八つ当たりする中、あの道化師の近くにあったルーレットがコロコロと何かが走りまわった。

 残された者が近づき見ればルーレットを走る球が一つの箱へと入っていく。

 描かれるは『気泡』それが意味する物語を、ルーレットを見つめていた者はまだ知らない。


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