表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大鴉の恩返しは傍迷惑  作者: noll
紅茶編
PR
72/84

とある鴉の感動と戦慄(男視点)


 決定打になったのはなんであろうか。そう考えている中で、俺はふと思い出した事があった。そうだ。そうである。あの人間が言ったのである。俺と同意見の言葉を。だからだろう。俺があの人間を本気で惚れ、欲しいと思ったのは。でも、今にしては笑ってしまう程、自分が単純なのだと気付かされた。しかし、それでもいいと思った。それもまた一つの道なのだと感じたのだから。

 檻に入れられた俺と伯父(寝ているが)は、勝敗が決まってもなお、拘束が解けずにいた。なにをしているのかと思い見ていれば、どうやら勝敗に納得が言っていない女が、人間と老人に抗議をしていた。俺と同じ400歳が大人げない、と思いながらも何もできない身であるために溜息だけ零して見つめていた。そしてどんどんとヒートアップしていく中、徐々に俺の中でも危ない点滅と音が鳴り始めた。嫌な予感がする。なぜならばあの女は短気では無い者の、あの一定位置までくると怒りに身を任せる面倒くさい存在だからである。そんな女の性格と性質を知らない人間は涼しげな顔で対峙しているばかりで、俺は内心どころか顔にもその表情にも出して焦った。そしてハラハラとしている中で聞こえた”会話”に俺は胸をつかれた。


「なぜ分からないのです!

あの方には決められた道がありますの、それを邪魔することは出来ませんわ!!」


 どこか勝ち誇ったように言う女を尻目に、人間は眉を寄せて怪訝そうな顔で怒鳴り散らした。けれど、その目はどこか悲しい色を見せており、俺はそれに首を傾げるもなぜか惹かれた。


「あのね!

決められた人生なんて、その本人が納得してないんだったら、無理矢理やらすなんて死ぬより苦痛なんだよ!!

そんな人生、こっちら願い下げじゃボケ!!!」


「な!?」


 人間の言葉に女はとうとう言葉を詰まらせ、人間を凝視した。目を見開き口を開け間抜けな表情を見せる中、次第にその顔も林檎のように赤々と染まり、やがて女は目を細め人間を睨みつけた。


「ヤバい!!」


 どうやら女の怒りのメーターが振りきったようす。俺は慌てて動こうも、力も出せない檻の中では手も足も出ない。檻の隙間から腕を通して手を伸ばしても到底あの三人に近づくとは思えない。しかし、冷静さを失った俺はなりふり構ってはいられなかった。なにしろ相手は大鴉で対するは非力な人間二人である。例えこの世界が作られた世界で与えられた”役”の”力”があろうと限度がある。

(それになにより、あの女の力は確か……!)思考を巡らす中、女が動いた。


「人間風情が、なにを分かった事を!!」


 女の周りに蠢く空気の変動に俺は息を呑み、声を上げた。


「逃げろ!!」


 その言葉を最後に、眩い光が周囲を包みこんだ。そして光から一転、闇が立ち込め、やがて淀んだ空気が辺りに立ち込めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ