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とある鴉の疑問(男視点)
この俺が発言するたびに人間の雲行きが悪くなる。雰囲気が殺伐としてきた。あれは絶対に俺を殺そうと企てているに違いない。ああ一体俺はどうすればいいんだ。何をすればいい。とりあえず背後を取られたら間違いなく殺されることは間違いない。ならば背後を見せないように、この現状をなんとしてでも維持しなくてはいけない。俺は言葉巧みに逃げの道を探して喋りはじめる。すると、埒が明かない事に気がついた人間が早々に断念してくれた事により俺は壮大なる安堵が心を犇めいた。
それになにより、人間がいなくなったらこの場は完璧に俺の不利な状況になる。眠りネズミは最悪安心しても良いだろうが、この茶髪女が演じている三月ウサギは帽子屋並にイカレテいる。しかもウサギは万年発情期だとも言われている。怖い。一人になった瞬間、襲われて食われてしまうのではないだろうかという恐怖に苛まれる。きっと誰も俺の事など助けてくれないだろう。けれど俺にも目的と言うか信念はある。あの人間を惚れさせなくてはいけない俺の使命。忘れもしない誓いだ。
しかし、一向に人間の距離が縮まらない。それに何より、縮まるどころかどんどんと遠くなっていくような気がする。
おかしい。なにを間違えたのだろうか?




