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大鴉の恩返しは傍迷惑  作者: noll
紅茶編
55/84

とある鴉の役柄(男視点)


 起きれば紙が握っており、開けばそこには”帽子屋”の文字。帽子屋で思い出すのはイカレタ帽子屋という不名誉な肩書きが出てくる。しかし、知っている通り別に帽子屋が本当にイカレテいたのかを知る者など誰もいないだろう。なぜならばそれを誰も追及しないからである。それもそうだ。なぜなら主役はアリス。あの可愛い少女が出てくれば物語は円滑に進むのだ。そこにイカレタ帽子屋が出ようが出まいがどうでもいいのである。そもそもイカレテいるかどうかさえも良く分からない一部の一節だけで人を判断されては、流石の俺でも怒りが湧いて来る。まあ別に帽子屋が好きなわけでもない。ただしかし、俺の中に不名誉な響きがあったのでここで訂正をしておくだけだ。深い意味は無い。決してだ。

 しかし、目を向ければどうであろうか。あの茶髪女が再び現れ、しかも俺の隣に腰かけているではないか。これは一大事である。そしてさらに次の席を見れば、俺は口に運んでいた茶を吹きだしそうになった。あの人間がいる。それも二匹のあの薄汚く可愛さの欠片もない猫を連れ立って、だ。おかしい、理不尽すぎる。それになにより猫に怯え隣へ逃げるように見れば、そこには伯父の姿が。やはりおかしい! なにかが間違っている!! なぜ寄りにもよって俺自信が不利な現状に陥らなければならないのだ!!! だがしかし、それを叫んで言った所で直ぐに解決するわけではない。ならばどうするべきか。考えに巡らせている中、人間が口を開いた。よし、人間よ。よくぞ、この場の打開策を考えてくれた。しかし褒めた次の瞬間、その思いは打ち砕かれる。


「とりあえず、自己紹介から始めましょう」


 ちょっと待ってくれ。ここで自己紹介だと。なにを考えている人間よ、待ってくれ! そして徐に女よ、なんで俺を見てしかも態々俺についての事を強調した!!

 そして人間の一言により始まった自己紹介を締めくくったのは、眠りネズミ役で眠りに落ちている伯父であった。良かった。伯父は寝ている。これで少しは危機を脱した。しかし俺への魔の手はさらに伸びていく。

 再び人間の発言により場がガラリと空気を変えたからである。止めろ。止めてくれ人間。というより、助けて下さい。


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