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大鴉の恩返しは傍迷惑  作者: noll
灰色編
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脚本《ブレイン王城内Ⅱ》

 ――シンデレラを引き連れ、王子の前へやってくる家来。


《家来》『王子! 居られますか王子!!』

《王子》『どうしたどうした。一体何事の騒ぎだ!!』

《家来》『ああ王子、見つけましたぞ先ほどの狼藉者です!!』

《王子》『なに! この娘が!! ……けど、服を着ているじゃない!!!』

《家来》『実は王子、コレには深い訳があったようなのです』

《王子》『なに、それは本当?』

《家来》『ええ、この私がしかと聞きました。この娘はどうやら風に飛ばされた衣服を取りに来ただけの街娘のようです』

《王子》『なるほど、本当ですか。そこの姫君?』


 ――そこでやっと王子はシンデレラを初めて真正面から見る。呆気にとられる王子を余所に、シンデレラは身を震わせるほど緊張をしていた。


《王子》『な、なんて綺麗な姫君。初めて見ました』

《子供》『は、初めまして王子。そしてこの場をお借りしまして先ほどの非礼をお詫び申し上げます』

《王子》『いや、良いんです! 気にしないで!! ああ、姫君、貴女はいったいどこから来たのですか?』

《子供》『え、えっと……シャンゼリゼ通りに住む』

《王子》『なんと令嬢でしたのね! これは失礼しましたわ!! でも、そう。確かに気品あふれる顔立ちをしている!!!』

《家来》『それで王子。この御方の処分は如何いたしましょう?』

《王子》『処分など無効だ! 家来、人払いをして!! 少しこの姫君と話がある』

《家来》『畏まりました』


 ――家来退場。残された双方は互いに緊張した面持ちで見つめあった。


《王子》『……さて、姫君。お茶などは如何です?』

《子供》『そんな、王子とお茶だなんて大それたこと……』

《王子》『ああ、なんと謙虚で可憐な姫君ですこと! ますます惚れてしまいそう!!』

《子供》『嬉しいお言葉です。しかし俺にはこれからやるべき事があるのです』

《王子》『なに、やるべき事? それはいったい?』

《子供》『簡単な事です。家事手伝いですよ』

《王子》『家事……? それはそれは素晴らしいこと! なんて家庭的な子なんでしょう!! 今まで会ってきた中で一番の驚きですわ!!!』

《子供》『王子の知り合いには家事を手伝う姫君はいなかったのですか?』

《王子》『まあ、普通ならば家来が全てをやってくれますからね。私の力などいらないし……。むしろ私がやると全員が挙って止めに入る始末なの』

《子供》『それはそれは』

《王子》『まあ、慣れてしまえば苦ではないけど。むしろ楽になりました』

《子供》『しかし一人では暇ではないですか?』

《王子》『確かにそうですね。けど、姫君のような突然の訪問があれば、暇などありませんわ』

《子供》『王子の寛大なる御心に感謝致します』

《王子》『止してください姫君。さあ、きっと御家族が心配しております。お帰りなさい。次は舞踏会でお会いましょう』

《子供》『ええ、是非。舞踏会でお会いできれば』

《王子》『きっと会えますわよ。こんなにも印象的な姫君は今までになかったんですもの』

《子供》『口がお達者で』

《王子》『それが唯一の取り柄ですわ』


 ――二人は笑い合いながら、シンデレラは家来とともに退場する。残された王子は一人窓際に立つ。


《王子》『……名を聞かなかったけどまあ良いでしょう。どうせ直ぐに分かる事ですもの』


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