表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大鴉の恩返しは傍迷惑  作者: noll
灰色編
PR
34/84

とある鴉の涙(男視点)


 この人間はなんて強いのだろうか。いやでも男のプライドというものがある。しかしだ。しかし、この現状は如何なものだ。断言しても良い。どうしたらドレス姿の肩幅広いどうみても見てくれが男なのを女と捉える事が出来るのだ! 俺には分からない!! そう言う決まりなのだろうが俺には理解できない!!! 無理だ、帰らせてくれ。しかも話の内容から察するに、主役であるシンデレラはこの人間の父親だと言うではないか。あんまりにも不憫だ。不憫すぎる。それになにより相手の王子があの女である時点でさらに状況は最悪ではないか。しかも先ほど出てきた魔法使いなど人間の母親、つまりは奥さん。流石はこの人間の母親だ。見た目が似ている。やり口も似ている。髪色も瞳も黒髪黒眼。素晴らしい。けれどあの暴力的な部分が無い方が良かった。

 思わず腰にへばり付きさながら蛹のようになってしまったが、たまに人間の顔を窺い見れば耐えるように前を向いていた。なんと強い子だろう。尊敬する。俺だったら逃げる。逃げて忘れるまで自分を殴る。決して痛めつけるのが好きなわけではない。しかし世の中には痛みによるショックで記憶を飛ばすと云う古来から伝わる秘伝の技がある。俺ならばそうする。頭から血を流す事になろうとやるだろう。忘れるまで。だって地獄だもん。もし俺の両親でそんなことやったら親子の縁を真っ先に切る。そう脳裏で渦巻くような思考の中、俺はふと人間の心情になってみた。俺からしてみればまだ小さな人間だ。さぞやきっと心は悲しんでいるだろう。ならばどうするか。慰めよう! それなら俺の株は上がる!! うん、俺凄い!!!

 俺はいそいそと腰にへばり付いていた現状から抜け出し、人間を見た。すると人間は俺を静かに一瞥しながら耐えるように見てきた。それがなんとも健気で俺は泣きそうになる。


「落ち込む暇は無いわよ」


 その言葉に俺はもはや泣くしかなかった。この人間強い。負けそう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ