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1.目覚め

 宇宙空間。美しい星々が見えている。それ以外は何もない。

そこで、2人の男が話し合っていた。

2人は、この世界の神様の一人だ。1人はマンティラという惑星の神様。もう1人は地球の神様。

「そこを何とか頼むよ」

マンティラの神が地球の神に言う。

「いやしかし、うちの人間をそちらにやるのは、危険じゃろう。」

「いや、それはわかってるんだけどもよ。もう、こっちの世界もやばいんだよ。」

「まったく。お前さんもしっかり管理をしなさいな。」

「それに関しては・・・」


そう。マンティラは崩壊の危機にある。その理由は、神様のせいだ。このマンティラの神様、本当に神様なのかわからないような、神様なのである。

マンティラとは、魔法という意味で、マンティラの神様は魔法が大好きなのだ。だから、この世界には珍しい、魔法特化の世界なのである。

しかし、マンティラの神は魔法が好きすぎて、世界の管理を忘れて、魔法研究に没頭することがよくある。

神様というのは、いつも世界を見渡して、なにかまずいことがあったら、改善に向かうように、するのが仕事である。だから、そうそう崩壊の機器などにはならない。

しかし、マンティラの神は違った。魔法研究に没頭し、世界の管理を疎かにした結果、マンティラは崩壊の危機にある。

そして、地球の神様に泣きついたのである。そして、今にいたる。


「はぁ。わかったよ。精神力が強くて適応力も高いものを1人用意しよう。そいつの、能力値を上げてお前の世界に送るとしよう。」

ついに、地球の神が折れたようだ。

「ありがとう。助かる。恩に着る。」

地球の神にマンティラの神が頭を下げる。



マンティラの神が去って、地球の神は悩んでいた。


「はてさて、誰を送ればよいのやら」

地球の神は、几帳面な神様なので、精神力が高い地球の人間をある程度知っている。しかし、それをマンティラの世界に送ってしまって、良いのだろうか。

世界のルールに反することではない。しかし、送られる人間や、その家族がどう思うのであろうか。

しかし、放っておいたらマンティラが崩壊することはほぼ確実であろう。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


朝、目覚めるとそこは見知らぬところだった。


「山之内康介くんじゃな?」

そして、知らない人が話しかけてきている。


話しかけてきたのは、老人のようだ。顎に髭を蓄えた、おじいさんだ。


「確かに、僕は康介ですが、どうしてもってこんなところで僕は目覚めを?」


康介は眠気から完全に目覚めていない脳を叩きながら、周囲を見回す。

周囲は、書斎と言った感じだろうか。部屋の真ん中にぽつんと置かれた椅子に康介は座っていた。

正直言って、座り心地はよろしくない。


「君に、頼みたいことがあってな。まあ、頼みたいのはわしじゃなくて、わしの友人なのじゃがな」

「ちなみに、あなたは?」


「そうじゃな、すぐに正体を明かしても、信じてもらえんだろうから、少し説明から入ろう。

まず、宇宙には沢山の星がある。それは、火星とか木星とかもそうだし、太陽系や銀河系の外の惑星だってそうじゃ。それでな、それぞれの星には神様が居るんじゃ。その神様は、不必要な戦争を避けたり、政治やなんかが良くない方向に行っているときに、それとなく正したりしとるんじゃ。

銀河系の外にな、マンティラと言う星があってな。そこは、かなり環境なんかが地球と似とるんじゃ。だから、神様同士での交流もあった。

マンティラってのは、魔術という意味でな、魔術が存在して、神様も魔術が好きで好きでたまらないんじゃな。しかし、魔術研究に没頭して、本来するべき神様の仕事をせずにいたんじゃ。その結果マンティラでは大規模な戦争が起こり、人間がおかしい方向に向かっているんじゃよ。

それを見て、やっと大変なことになっていることにマンティラの神は気付いてな。付き合いの長い、地球の神に泣きついたんじゃ」


康介は、驚くとともに、この人物の話が本当のことなのかが、わからなかった。


「で、その地球の神様ってのが、わしのことじゃ」


「へー、そうなんですか。ってそうじゃなくて!」


「ん?なんじゃ?」


「・・・冗談抜きで、神様?」


康介は、人一倍神様を信じていて、何かあるごとに、神様に祈っていた。しかし、実際に神様と会うと、やはり信じられなかった。


「たしかに、信じられんじゃろうな。じゃあ、あれをやるか」


「あれ?」


すると、神様の周りに、白っぽい煙のようなものが現れた。

不思議なことに、康介はそれに圧倒されるような形で、立っていられない程になった。

そのときに、康介はこの人物が普通の人間ではないこと、そしておそらくは本当に神様なのだということを確信した。


「信じてもらえたかの?」


「ええ、あなたは本当に神様なのですね」


「それは良かった。それでじゃ、君には悪いんじゃが、マンティラを救ってほしいんだよ」


「僕が?どうしてそうなるんです?」


全くの謎だった。そのマンティラという星がまずい状況なのはわかるが、どうして、康介がその星を救わねばならないのかがわからない。


「そうじゃな、とりあえず、マンティラの神様を呼ぶとしよう。詳しいことなんかは彼も交えて、説明しよう」


―――――――――――――――――――――――――――――


しばらくして、マンティラの神様らしき人物が現れた。

その人物は、地球の神と同じく、髭を蓄えているが、地球の神より、年齢は50代に見える。ローブを着ていて、いかにも魔術師という出で立ちである。


「ほう、この子かね?ずいぶん若いようじゃが」


マンティラの神様が言う。


「若いほうが良いじゃろう。これでも、十分な適応力や精神力を持っておる。本人にあまり自覚はないじゃろうがな。」


「お前がそう言うならそうなんだろう」


「ちょっと待って下さいよ」


どうやら放っておくと、面倒なことに鳴りかねないと判断した康介は、2人の会話を切った。


「どういうことですか?」


「おっと、そうじゃった、説明をせねばならぬな」


地球の神様が言う。


「君には、先程も言ったとおり、マンティラを救ってほしい。詳しく言えば、この、マンティラの神の補佐なんかをやってほしい。こいつは自分で動こうととはしないからな、世界への干渉は君が行うことになるだろう。

もちろん、マンティラにずっといるわけじゃなくて良い。たまには地球に帰ってもらってもかまわない。もちろん、マンティラでのお金も地球でのお金も、言ってくれれば、こちらで用意しよう。

わしも、精一杯サポートをする。」


康介は、訳がわからなかった。


「いや、どうして僕なんです?もっと他にいるでしょう」


「君のお父さんじゃ。君のお父さんは君と同じように儂らに呼び出され、マンティラに行き、マンティラを救った英雄なのじゃよ。」


たしかに、康介の父親、大介は、康介が6歳のときに旅に出ると言って、家を出た。たまに手紙が届くし、たまに会いに来たりもするが、彼は今、自分が何をやっているのか康介に話したことはなかった。


「しかし、彼も年でな。あるとき、彼は儂らにこれからはゆっくりと過ごしたいと言ってきたのじゃ。確かに彼の年齢を考えれば、これ以上の無茶はさせられんから、儂らは了解した。

しかしな、この馬鹿めがまた管理を疎かにしよっての。」


地球の神は”この馬鹿め”というときに、隣にいるマンティラの神を軽く睨んだ。


「こいつは、はじめ大介に再度依頼しようとした。しかし、受けてくれなくてな。それで、息子である君に依頼しようと考えたわけだ。」


「もしかして、僕が引き受ければ、父さんに会えるんですか?」


「もちろんだ。なんならアドバイスだってくれるはずだぞ」


今度は、マンティラの神様が答えた。


康介にとって、それはすごく魅力的な話だった。この話を断れば、父さんには会えず、今後一切会えないかもしれない。


康介は、たっぷり2分は使って考えた。

そして、ゆっくりと 息を吐いた。

そして、康介は決断した。


「良いでしょう。その仕事、引き受けます。」

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