↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
49/58

49

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。

 砂蟲の群れを、俺達は次々と片付けていく。

 ノエルが杖を頭上へ向けた。空気が急激に冷え込み、肌を刺すような冷気が辺りを包み込む。

 発射された氷の槍の雨が、俺の付与した重力によって凄まじい速さで落下した。


 ズドガンッ、と鼓膜を揺らす重低音が響く。

 氷の槍は敵の硬い皮膚を容易く貫くと、内側から魔物の体液を凍結させていく。

 そこを、リィナやギンコたちが軽々と粉砕していった。


「すっごいっ。こんなでっかい魔物の肉が、まるでクッキーみたいにサクサク倒せるよっ」


 リィナが目をキラキラと輝かせ、軽やかなステップを踏みながら嬉しそうに笑う。

 もちろん、彼女の洗練された剣技があってこその芸当だ。


「うむ。やはり、遠距離攻撃のできる魔法使いと、重力使いのコンボは最高だな。つまりはガイアくんが最高というわけだ」


 ギンコもリィナも、息一つ乱さずに会話するほどの余裕があるようだ。

 全員の連携もあって、辺りを埋め尽くしていた砂蟲は一掃された。

 血と土の匂いが混ざり合う荒野に、再び不気味な静寂が舞い降りる。


「きゃぁああ……っ」


 そのとき、乾いた風に乗って俺たちの耳を打ったのは、切羽詰まった女性の悲鳴だった。


「なんだ……?」


 ギンコの仲間の一人が目をこらし、眼球に魔力を集中させる。

 視力強化のスキルを発動した状態で、緊迫した声を上げた。


「リーダーっ、人がっ……でかい砂蟲から逃げているっ。かなりの大きさだっ」


 俺が目視できないほどの遠方で、そんな事態が起きているらしい。

 遮蔽物のない荒野だからこそ、声がよく響いたのだろう。


 目を細めると、ようやく土煙の塊をわずかに視認できた。

 ズズズズッ、と地鳴りのような重い音を立てながら、規格外に巨大な砂蟲が地を這っている。

 その直前に、確かに人影らしきものが逃げ惑っていた。


「……ガイア。攻撃するにしても、射程が足りない」


 ノエルの魔法も、ギンコの仲間による弓矢も、ここからでは到底届かない。

 だが、巨大砂蟲の大きく開かれた顎は、今まさにその人を飲み込もうとしていた。


 俺の重力操作は、対象に触れないと発動しない。

 俺や味方の体を軽くして駆け出したところで、到底間に合う距離ではなかった。


 このままでは、あの人が食われてしまう。

 手の届かない場所で、凄惨な悲劇が起きようとしている。


「ガイア……」


 ぎゅっ、とリィナの温かい両手が俺の腕を強く抱きしめた。

 微かな衣擦れの音が耳に届き、彼女の体温が服越しに伝わってくる。


「大丈夫っ。やるんでしょ?」


 やる、とは、俺の枷を外すということだ。

 俺は自分自身に戒めの鎖を巻いている。


 己に課した絶対のルール。

 それは、重力を使って他者を直接傷つけてはいけないということ。


 この力を解放すれば、遠く離れた相手にも重力操作を用いることができる。


 かつて、俺は一度だけその力で人をひどく傷つけてしまった。

 その重い過去が、俺の心に楔として深く刺さっている。だからこそ、使うのをどうしてもためらってしまう。


 けれど、リィナがいる。俺の隣で、しっかりと支えてくれている。

 俺の本性が人間ではなく魔人であるという事実を知った上で、真っ直ぐに受け止めてくれている。


 この子がいれば、この子が俺を認めてくれるなら、俺は人のままでいられる。


「半分だけ、力を解放する。リィナ、見ててくれ」


 リィナは真剣な眼差しで、こくりと力強く頷いた。

 その澄んだ瞳に、揺らぎや恐れの色は微塵も見えない。

 俺は安堵の息を吐き、枷を半分だけ外した。


 静かに左腕を上げ、砂蟲から逃げている人影へと掌を向ける。


引力アトラクション


 引力。二つの物体が互いに引き合う力。

 半分だけ魔人の力を解放することで、小規模な万有引力を発動させる。


 全解放した際のような規格外の引力は使えない。

 人間や物体を、手元に引き寄せる程度の出力に制限した状態だ。


 グンッ、と空間が歪むような感覚と共に、人影がこちらへ猛烈な勢いで引き寄せられてくる。

 俺は飛んでくるその身体を、正面からしっかりと受け止めた。


 ズンッと重い衝撃が全身を襲う。

 しかし、リィナが背後から「ふんぬらばっ」と妙な気合いの声を上げながら、俺の背中を支えて踏ん張ってくれた。


 彼女が支えてくれている間に、すぐさま枷をはめ直す。

 大気への干渉が消え去り、凄まじかった勢いがふっと収まった。


「ふぅ……」


 完全に、その人を無事に引き寄せることに成功した。


「ありがとう、リィナ」

「どーいたしましてっ」


 リィナは俺の背中から顔を覗かせ、得意げに胸を張ったのだった。


【お知らせ】

※8/21(金)


新作、投稿しました!



『【連載版】婚約破棄された加護なし令嬢、前世の知識で絶品あったかご飯を作ります~無理矢理嫁がされた極寒の隣国で、皆から恐れられる【狂犬皇子】が、毎食おかわりを要求して離してくれません』



https://ncode.syosetu.com/n0948mq/


広告下↓のリンクから飛べます。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。