04
とりあえず微笑みながらも、俺は激しく動揺していた。
だって、目の前でいきなり少女が下着姿になったのだ。しかも銀髪を褒めたのが思ったよりも嬉しかったのか、これでも?とか口裂け女みたいなこと聞いてくる!
何より驚いたのは、脱いだ服の下から出てきた翼と尻尾だった。......いや、どう見たって翼と尻尾だよね?偽物じゃないよね?ぼやけてよく見えないけど。
ここの住人は翼や尻尾が生えている人種なのだろうか。いやどんな人種だよ。でもそもそも髪色がおかしいし、俺の知らない人種だと考えても不思議じゃない。
そして、焦った俺はかっこいいね、とかのたまってしまったのだ。
間違いなく女の子に言うセリフではなかった。ほらほら彼女泣いちゃったし。
「ご、ごめんなさい。こんなこと言って」
慌ててそう謝ると、彼女は両手で顔を覆ったままふるふると首を横に振る。許してくれるのかな。優しい子だ。
「......違うの」
今にも空気に溶けて消えてしまいそうな、嗚咽混じりの小さな声だった。
「嬉しい、の」
なんだ。......かっこいいって言われて、嬉しかったのか。
嬉し涙なんだったら良かったと胸をなでおろす。
よっぽど嬉しかったんだろう、それからしばらく、彼女は泣き続けた。俺はといえば泣いている少女を置いていくわけにはいかないしそもそも行くあてもないしここどこだよって感じだしで、黙って彼女の横に寄り添うようにして立っていた。あっ、着ていた上着を彼女にそっとかけたりはしたぞ!目のやり場に困る。
しばらくして、彼女がようやく泣き止んだのを確認して、俺はそっと話しかけた。
「あのさ、眼鏡屋さんってどこにあるか知らない?」
「メガネ?......ってなに?」
「は!?」
予想外の答えに、俺は思わず叫んでしまった。いきなりの大声に驚いたのだろう、彼女がびくりと肩を震わせる。
......えっ、眼鏡を知らないのか?まさかこの場所には眼鏡というものが存在しない?そんなことある?眼鏡って世界共通のものじゃないの?
「......あのさ、ここってどこ?」
恐る恐るそう問いかける。目をぱちぱちと瞬かせた少女は、俺の知らない国名を告げた。
——もしかしてここは天国ではなく異世界なのかと俺が気づき叫び出すまで、あと少し。




