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ご主人様とゆく異世界サバイバル!  作者: リュート
戦争に向けてサバイバル!
411/435

第410話~終わりの始まり~

最近はメックウォリアー5とかバトルテックとかでメックメックしてます( ˘ω˘ )

 ハーピィさん達の爆撃によってフライングバイターの巣を「小突く」作戦は上手く行った。


「そろそろ打ち止めか」


 バナナ型とも呼ばれる湾曲の大きなマガジンを取り替え、ボルトをスライドさせて初弾を送り込む。この銃は最終弾を打ち切ってもボルトが後退したまま止まったりはしないから、必ずこの操作が要るんだよな。

 まぁそれは今はどうでもいい。小突かれて出てきたフライングバイターも流石に種切れのようだし、そろそろ作戦も最終段階だ。


「閣下」

「魔道伝声管を使わせてもらうぞ」


 六本の腕で二丁の魔銃を手にしているダルコに断ってから魔道伝声管をオンにする。


「アイラ、コースケだ。作戦を最終段階に移行する。船を巣の直上に着けてくれ」

『ん、わかった。怪我はない?』

「大丈夫だ。甲板を見回ってから戻る」

『気をつけて』

「わかった。それじゃあ後でな」


 魔道伝声管による通話を終了させてから辺りを見回す。パッと見たところ大怪我をしている人は居ないように見えるが、一応見て回るか。結構な数が甲板に突撃してきたから、甲板上は割と血の海である。同様に甲板上に展開している魔銃兵や観戦武官という名の猪武者どもも返り血だか自分達の血だかなんだかわからんもので血だらけなので、誰かが怪我をしていたとしてもなかなかにわかりづらい。


「ダルコ、怪我人を探して甲板中央に集めてくれ。軽く治療する」

「了解」


 こういう時に自分で見て回って探すのは効率が悪い。俺はとっとと甲板中央を綺麗にして臨時の野戦病院を用意し、兵達に怪我人を連れてくるようにさせた方が効率が良いというものだ。甲板中央へと向かう道すがらテッドの指揮下にある兵を一人捕まえてテッドにもダルコと同様の指示を伝えるよう言っておく。これで甲板中央に怪我人が集まってくることだろう。


「はいざばーん」


 インベントリから水樽を取り出し、適当にぶちまけて血だらけになっている甲板を洗い流す。後でしっかり掃除せにゃならんな、これは。まぁ今はこれでいい。ついでに水樽を追加で配置して魔銃兵を使って水番をさせておく。水で身体を清めさせたり、水を配給したりするにも俺一人では手が回らないからな。一応水番をしてもらう魔銃兵には怪我が無いか一番に確認しておいたから、問題はなかろう。


「おお、そうだ」


 簡易野戦病院の設営を終えたところで俺はあることに気が付き、インベントリから一抱えほどの物体を取り出した。結構な重さの金属製の魔道具である。


「それ、ぴかーっ」


 魔力結晶が装填されていることを確認してからスイッチを押すと、魔道具から白い光が放射されて、白い光に照らされた甲板が一瞬で綺麗になった。こいつは浄化の魔道具である。缶詰工場を作る際に使えるかと思って研究開発部に作ってもらった試作品だ。コスト度外視でとにかく作ってみようということで作られたものなので、材料費的にまったく量産には向かない品だが、性能は十分だ。折角作ったものを材料に戻すのも勿体ないので、魔法が使えない俺用にということで引き取らせてもらったのである。


「こいつは良いな。ほら、浄化しますよー」


 そこらにいる兵士達をどんどん浄化していく。浄化の魔法は身体だけでなく装備についた血も綺麗に浄化してくれるので、こういう時には大変に便利である。一体どういった原理で汚れを『浄化』しているのかを考えると夜も眠れなくなりそうだが、とりあえず使えているのでヨシ。

 そうしているうちに怪我人が集まってきたので、特に怪我をしていなかった魔銃兵をまた一人捕まえて浄化役にする。浄化の魔道具を構えてスイッチオン。光で照らすだけの簡単なお仕事です。

 え? なんか凄い高そうな魔道具だから持つのが怖い? 良いからやるんだよ。


「ふぅむ、こうしてみると空を飛ぶ拠点……いや砦なのだな」


 浄化を行ったり、治療をしたりしている俺達を見て観戦武官の一人が呟く。それ以上の何かであるあることは間違いないと思うね。まぁ、これから起こることを目の当たりにしてその感想がどう変わるのかは少し興味がある。

 怪我人の数は少なかったので、すぐに治療は終わった。一番の大怪我で肋骨の骨折だったからね。俺が身体に添え木と包帯を巻いたらそれ終わりである。話を聞くところによると、迎撃されて甲板上に突っ込んできたフライングバイターの死骸が直撃したらしい。そのまま甲板から空へと放り出されなくてよかったな、本当に。尤も、落ちたとしてもちゃんと落下制御の腕輪を発動させれば墜落死する心配は無かっただろうけど。


「閣下、アイラ様から間もなく目標地点に到達するとの連絡が」

「わかった。では対地攻撃を行う。速やかにテッドと打ち合わせをして人員を配置してくれ」

「了解」


 報告をしてくれたダルコに指示を出し、簡易野戦病院を片付けて魔道飛行船の最下部へと向かう。

 魔道飛行船の最下部。船で言えば船底の部分へと向かう。魔道飛行船の船底には対地攻撃用の爆弾投下装置、及び下方からの飛行物体に対する防御用の銃眼などが設けられている。

 ソレル山地におけるワイバーンとの戦闘訓練でわかったことなのだが、空を飛ぶ魔物は船本体への攻撃よりも甲板上にいる乗組員への攻撃を最優先とする習性がある。よって、余程の数に襲われない限りは対空銃眼は使用する必要がない。まぁ、相手がドラゴニス山岳王国の竜騎兵ともなれば一見死角に見える船底への攻撃を敢行だろうと考えられるので、備えること自体は無駄ではないだろう。ドラゴニス山岳王国と争うようなことには現状なりそうもないが。

 用意されている対地攻撃用の爆弾をチェックしていると、対地攻撃用に選抜された魔銃兵達とテッドが船底へと降りてきた。対地攻撃用の爆弾は重いので、力自慢を選抜している。もっとも、あまり船底は広くもないので、身体が大きすぎる者は除外されているが。


「今更言うことでもないけど、信管を作動させるのは投下装置にセットしてからで頼むぞ。もし信管を作動させてから投下装置にセットする時に落としでもしたら……ドカンだからな」

「肝に銘じておきます」


 魔道飛行船用の対地攻撃用の爆弾はハーピィさん達用の航空爆弾よりも遥かに大きい。その分威力も比べ物にならないほど高いので、万が一この場で爆発しようものなら一発だけでも船体の大半が吹っ飛びかねない。こういった構造物は内側からの強い圧力には弱いものだからな。しかも、この場にはそれなりの量の対地攻撃爆弾が貯蔵されているので、誘爆なんぞを起こした日には船ごと乗員も木っ端微塵になってしまうだろう。もしかしたらグランデだけは生き残るかもしれんが。


「対地攻撃用意」

「了解、対地攻撃用意」


 テッドの指揮で魔銃兵達が爆弾投下装置に対地爆弾を装填し始める。機能としては飛行船の真下に爆弾を落とすだけのものだ。金属製のアームに手動で爆弾を固定し、信管を作動させたらレバーを引く。そうするとアームのロックが外れて船底の爆弾投下口から爆弾が落ちていき、何らかの目標に命中すると爆発するという仕組みである。

 ちなみに、さっきは脅したが魔道飛行船用の対地爆弾は手元から落とした程度では作動はしない。感度を調整してそれなりの高さから落下し、弾頭にそれなりの力が加わらないと爆発しないようになっているのだ。不発率が上がるが、安全性には代えられないからな。


『目標直上に到達』

「了解。テッド、対地攻撃を開始してくれ」

「はっ。対地攻撃開始!」

「対地攻撃開始」


 テッドの号令で魔銃兵の手によって爆弾投下装置に対地爆弾が取り付けられ、信管の安全装置が解除される。

 さぁ、楽しい爆発の時間だ。

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― 新着の感想 ―
[一言] (*ゝω・*)つ★★★★★
[一言] サブタイトルは内容的には「フライングバイター戦の」終わりの始まりなのだろうけど、実際には「戦争の」終わりの始まりなのだろうと思った。
[一言] 何が終わって何が始まるのか、まあ戦争準備の章だし素直に受け取れば平和が終わって戦争がって事だろうけど、ここ山岳王国だしな。爆撃の恐怖が始まる? まさか、お仕事が終わって子作りが始まるのか?
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