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やり直そう、明日から一緒に

俺はしばらく、現実世界での悲惨すぎる高校生活をしみじみ思い出した。

もう、あんな日々ともおさらばだ!!

「ねぇ、さっきから黙って一人で頷いてなにしてんの?」

優月がイライラしたように言った。

「てかそもそも何よ突然!青春やり直せる?あんたこの世界で青春するつもりなわけ?現実世界でそんなの散々してきたでしょーが!私に現実世界に戻ってほしくないわけ?自分の青春より今は私の命の危機を救うのをさいゆーせんに考えなさいよ!!」

傲慢な奴である。そして自己中心的。そして勘違いが激しい!なんで高校生だからって青春満喫してると思ってんだぁ!?偏見の塊すぎて全国の陰キャが泣いてるぞ?高校生全部が全部キラッキラした青春送ってるわけじゃないんだよぉ!

「ねぇ!きいてんの〜?てか高校なんてさぼればいいじゃん。パラレルワールドだからさぼっても現実に影響なんてないし。高校余計に3カ月やるなんて無駄でしかないし。」

その言葉に俺はカチン!ときた。俺は自分で言うのもなんだがこだわりが強くて扱いづらい人間なのだ!

「さっきからうるさいなぁ!俺は今、読んでくれてる人たちが話の流れ掴みやすいように今までの完膚なきまでの陰キャ人生を思い出してあげてたの!高校だって全く青春じゃなかったの!!高校生全部が全部キラキラした青春送れるわけじゃないわけー!!」

思わず自分が陰キャだと暴露してしまったことに気づき、口をつぐむ。

優月は俺の勢いに一瞬不思議そうな顔をしてからからかうようなにやつきを浮かべ、

「ふ〜ん陰キャ人生…か。具体的にどんなだったのよ。」

と愉快そうに言った。

「いや…口が滑った。忘れてくれ。」

知られたらますますニヤニヤされるだろうから絶対に言いたくない!!

「いや、普通そこまで言ってとめる奴いないだろ!気になるんだよぉ!ねーおねがーーい!てかトップインフルエンサーの願いだぞ?普通の男子だったらメロメロで引き受けてくれるだろうに〜」

「ざんねーーんここはもうパラレルワールドなんだから現実世界でどれだけチヤホヤされてようが関係ありませーーん!」

「おっまえなぁ!口を少しは慎め!」

優月がほおを膨らませながら怒る。

「わははっごめんごめん」

おかしくて、思わず笑った。

だってまだ信じられない。あんなふわふわしたキャラだった優月がこんな豹変ぶりだとは。やっぱりおかしくてまた少し吹き出す。

「お前、なにがおかしい!!てか言ってみろよ!お前の現実世界での陰キャっぷりを!」

なんて単純で素直な人なんだろう。不思議と、少し自分語りでもしてみたい気分になった。いや、こいつに心動かされてとかじゃなくてあくまで俺の気分が変わっただけだから。

「わかったわかった、話してやるよ。」

昨日までは琉張優月なんて遠い世界の人間で、画面の向こうの人間だったというのに、こんなに自然に会話ができるなんて、しかも自分語りしちゃうなんて、我ながらびっくりだが、人生にはたまにはこういうイレギュラーも必要だろう。


俺はこれまでの俺の人生を、ユーモアを交えて、でも丁寧に話した。

我ながらうまく話せたと思う。まぁ話の途中でも優月は遠慮なく腹が減っただの喉が渇いただのアイス食べたいだの邪魔してきたがな。

一通り話し終わると、優月は少し飽きかけていたようだが、こっちをみて、少しドヤ顔でバッサリと言い放った。

「よろしい、私がアドバイスしてあげようじゃないか」

「なっ…!?」

…は!?!?なんだこいつは突然!せめて「大変だったね」とか、「それならこっちでまたやり直そうね」とか言えるだろ!とことん可愛げのないやつだ。

思い返してみても俺は結構頑張った方だと思う。

だが至らない点があったというのだろうか。

「まぁたしかに、アイドル調べたり挨拶したり、そういうのはまあ…いいんじゃない?でもさ!陽キャは陽キャでコミュニティが成立してるなかで話しかけてもハブられるのは目に見えてて別に当たり前なのよ!!てかあんた陽キャのなかに入ったところでメンタル持つの?大事なのはさ、孤立してる人にも話しかけて自分のなかのコミュニティを作っていくことじゃないの?」

う〜〜〜む…そう言われるとそんな気がする。

「たしかに…?」

「でしょ?まあ今回はパラレルなわけで風邪なんて引かない設定だと思うんだけど…一回やり直すってことで、最初からその孤立してたって人たちに話しかけてみようじゃない。」

「まぁ…うん。」

「よっしゃ、決まり!まぁ事情を聞いた以上しょーがないから明日から君の青春やり直しを私も手伝ってやろう!」

「…はいはいそりゃどーも。」

妙に偉そうな態度が鼻につくことがなくもなかったが見逃そう。

「はいはい、そうと決まったらもう夜なんだし、さっさと風呂入って寝る〜!」

「なんでお前が仕切るんだ!ここ俺の家なんだけど!?」

ツッコミながら俺は密かに、明日への期待で胸が高鳴るのを感じていた。

優月のあとに風呂に入り、ソファに沈んだ。目が覚めたら、高校生活をやり直すんだ。

(ベッドはさすがにあいつに使わせてやることにした。)

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