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幕間 3 下女生活

突然、王子が平民に降ろされ、同時に家に見放され平民に堕ちた私達。

そして今まで貴族として過ごしていた私達がまともな暮らしが出来るはずもなく、思う所がないわけでは無いが自分を捨てた家族へと私達は縋り付いた。

そして家族もそんな私達のことが流石に可哀想になったのか、王宮の下女として召し抱えられることとなった。

その時、私は家族に感謝するふりをしながら内心は嘲笑っていた。

確かに一度私は失敗して平民にまで堕ちた。

だが、それでも私の容姿はなかなかのものだ。

王宮勤めであれば直ぐに何処かの貴族に一目惚れされて娶られるだろう。

そしてたら今度こそ、自分を捨てた家族を見返してやる。

そう誰にも気づかれないように決意を固め、だが自分の思い通りにことが運ぶことはなかった………




◇◆◇




「あぁ!何で私がこんなことを!」


それは下女として掃除をさせられていた時のこと、私は不満に堪え兼ねそう大声で罵った。


「はい!」


「えっ?」


そして私は側にいた下女に自分の持っていた掃除道具を渡すが、その下女は何をされたのかわからないという風に目を見開いて固まる。


「あんたが私の分も掃除をやりなさいってことよ!このグズ!」


その下女のトロさに私はさらに不機嫌になる。

掃除道具を渡した時点でそんなことぐらい直ぐに察しろという話だ。


「そ、そんな……」


「っ!」


だが、私の想像よりもさらに目の前の下女は動きが遅かった。

態々説明してやったにも関わらず、未だ掃除道具を受け取ろうともしない。


「巫山戯てるの!私は貴族よ!このことを私の家が知れば貴女自分がどうなるのか分かっているの!」


「っ!」


ここまで言ってやってようやく下女は恐怖に顔を引きつらせながら私の渡した掃除道具を掴む。


「早く動きなさいよノロマ」


「ぐっ!」


そして私は最後にその下女の頬を張ってその場に座り込んだ。

貴族であった頃ははしたなく、考えもしなかった態度だが、今は少しでも休みたいので仕方がない。


「それにしても本当にイラつくわね……」


座り込んだ私の顔に浮かんでいたのは隠しきれない苛立ちだった。

日々仕事のため、毎朝早く起きなくてはならずそしてメイクをする時間さえない。

もちろん、そんなことを許すわけには行かないので私は常に遅刻など気にしないようにしているが、それでも私に早く起きろという時点でおかしい。

さらに給金は酷く安く、そのせいで今の私は二級の宿屋に泊まり、髪を整える整髪剤も安いものしか買えていない。

他の下女の給金を少しずつ盗んでいるのにも関わらずだ!

それは貴族の時からはあり得ないことで、元妾達も同じく不満に思っている所だった。

だが、一番おかしな所はそこでは無い。


「何で未だ貴族に求婚されていないのよ!」


それはあまりにもおかしなことだった。

今の私は確かに安物の整髪剤やメイクしか使えていない。

けれども周りの下女達と比べれば明らかに美しいはずで、なのに未だ私を娶ろうとする貴族が現れる気配もない。

それは酷く不可解なことだった。

何故なら、他の下女には何人か娶られているものが存在するのだから。


恐らくその理由は貴族がいる場所を掃除する機会がないというそのことが一番の理由なのだろうが、それでも私の心が休まることはなかった。


私は直ぐにこんな場所を出て行き、未だ働いている元妾や、元王子の取り巻き達を嘲笑っている予定だったはずなのに、今もその計画は進んでいないのだから。


「あぁ!くそ!くそ!」


そしてそう口汚く罵る私は気づくことはなかった。


「あの子は必死に頑張ってくれていたのに……」


「本当に私達はあの子に酷いことをしてしまったんだね……」


「その罰かも知れない……」


いつの間にか他の下女の私を見る視線がどんどん険しいものになっていることを。

そしてそれが最終的にどんなことに繋がるかということを……

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