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幕間 2 破滅

それからもアリス達を虐める酷く心地良い日々は続き、いつの間にか私達妾達は今までの屈辱を忘れ、アリスを奴隷のような存在として認識するようになっていた。

王子は最低な人間で、だが身分だけはあるのでその王子に私は従うことしかできない。

けれども、そのストレスは全てアリスにあたることで発散することが出来る。


アリスというストレスの元だった存在がストレスを発散するものとなる。


その事実は私達に嗜虐的な優越感を抱かせるに充分なものだった。

アリスを殺すことは今は出来ないが、それでも今は構わない。

ただあの女を殴り、いたぶる日々さえ続いてくれれば私達にはなんの不満もない。


「っ!メリー嬢が追放!?」


ーーー だが、そんな日々は突然崩壊した。


その理由は王子の妾の中で一番の人気を持ち始めていた女、メリーの暴走。

彼女は一番身分の高いもので、王子の寵愛を受けたことに対する嫌がらせをして来た妾を追放するは程の行動力を持っていたため、内心苦々しく思いつつも、私は距離を取っていた妾だった。

その容姿はアリスには敵わないが、それでも充分優れていて、認めたくはないが私などでは比べ物にならない程の容姿を有している。

だから私はいつか目にものを見せてやろうと決意しつつも、アリスに対する虐めに一切参加してこないことから近頃は忘れていた存在。

しかしメリーは決してアリスを一切気にしていなかったのではなかったらしい。

そしてメリーが起こした暴走、それは最悪の結果を引き起こした。


「もう、お前らはアリスに関わるな!」


「ひぃっ!」


それは王子の激怒。

王子は気分屋で、少しのことで感情を乱す。

けれども自分に順々な人間には今ほど激怒した姿を見たことがなく、私は思わず悲鳴を漏らす。

だがその悲鳴にも王子は一切の注意を払うことはなかった。

ただ、怯える私達を睨み付け、


「メリーの二の舞になりたくなければ自分の行動を改めるべきだ」


そう告げて去っていった。

その日は好色で常に妾の1人と閨を共にするはずの王子が1人で寝ていて、その時ようやく私は悟った。


王子は未だアリスのことを諦めていなかったことを。


「っ!何であんな女なんかに!」


そしてその時私の胸に激しい嫉妬が生まれた。

それは王子に恋をしている、そんな理由なんかではない。

正直王子のことは嫌いだし、どうでもいい。

けれども、あの私達が奴隷のように扱っている女と自分を比べて、アリスの方に負けたというそのことが私はどうしても許すことが出来なかった。


ーーー いや、そのことが信じることが出来なかった。


確かにアリスは酷く美しい。

けれども今のアリスは髪の整理も出来ておらず服もボロボロの最悪な状態だ。

なのにそんな状態のアリスにこの、日々髪を整え、煌びやかなドレスを身に纏う私が負けた?

そんなことがありえるわけがない。


「……そうだ、あの女は身体を使ったのよ」


考えるうち、私の頭にそんな考えが浮かぶ。

そしてそれは酷く納得できるものだった。


「そうよ!あの女は身体を使って王子を誘惑したのよ!そうじゃなきゃ私が負ける理由がない!」


そう叫んだ途端、私はそれが真実であることを確信する。

そうだ。それ以外あり得ない。

あの女は卑劣な手段で王子の心を奪い、そして優越感に浸っているに違いない。


「あの、くそ女!」


そのことに気づいた私は激昂する。

アリスが人として信じられない程卑劣な女であることは知っていた。

だが、それでも本当にこんな卑劣な手を使うとは、自分の認識はまだまだ甘かったらしい。


「待ってなさいよ」


だとしたら、その報いをアリスに与えなければならない。

そう考えた私の顔に笑みが浮かぶ。


「今は王子に言われて貴女に手は出せない……けれども絶対にこのままでは済まさない!」


そう新たな決意を明らかにした私はアリスに復讐するための案を考え始めた。




ーーー だが、その私の考えが現実となることはなかった。その前に、王子は数々の罪が明らかになり、王子の座を奪われ、そして妾達や王子の取り巻き達は全員家に見捨てられ、平民にと成り下がったのだから。

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