一日の予定
翌朝、二人ともアラームをセットしなかったので、目が覚めたのは9時過ぎだった。
朝食を食べて、今日の一日の予定を相談する。
「じゃあ、宏人の大学に11時半頃に行ってお昼を食べる。んで、13時から講義を受けるんだな」
「そうだね」
「90分も授業って長いな……」
「嫌なら無理しなくていいよ」
「嫌なんて言ってないだろ」
口を尖らせてから、アッと思う。またこんな言い方をしてしまった。
宏人が相手だと気が緩むのだろうか。
ことばに気をつけなきゃ、と祥太はコーヒーを飲んで少し反省をした。
「大講義室にはたくさん生徒が入るから、先生には見つかりにくい席を取ろう」
「わ、分かった」
早くも何だか緊張してきた。
生徒でもない自分がこそっと入るなんて、できるかなと不安が顔に出たのか、宏人がクスッと笑った。
「まだ4月だし、教授も生徒の顔を完璧に覚えているとは思えないから大丈夫だよ、きっと」
「そうだよな」
昼飯も楽しみだし、初めての大学もワクワクしてくる。
シャワーを浴びて着替えを済ませると、二人でアパートを出た。
これも初めてかもしれない。
鍵をかけて階段を降りると駅に向かった。
大学に行くには電車で行かなければならない。
祥太の勤めるバーも駅の裏にあるので方角は同じだ。
「そういえば、祥太の勤めているバーって駅裏にあるんだよね」
宏人もまだ未成年なので、バーに来たことはない。聞かれたこともなかった。
祥太の誕生日は6月で宏人は10月生まれだ。だから、宏人は店に入ってお酒を飲むことはできない。
瑞穂は4月生まれだから、誕生日の日にやって来て、20歳だからと茂樹にカクテルを作ってもらい、そして、祥太がおごらされた。それを思い出す。
「ああ。宏人は10月生まれだから、店には来た事なかったんだよな」
「僕の誕生日、よく覚えているね」
「当たり前だろ。俺もまだ19歳だから、瑞穂のように4月生まれなら飲めるんだけどな」
そこまで言って、あ、しまったと思う。
宏人はなぜだか、茂樹と瑞穂の名前に敏感だった。
いや、春希の名前の時もそうだった気がする。
瑞穂のことはできるだけ触れまいと思ったのだが、ちらっと宏人を見たが、あんまり気にしている風ではなかったのでほっとした。




