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けなげな王子に愛を  作者: 春野セイ
第二部 やりなおし編
49/50

一日の予定


 翌朝、二人ともアラームをセットしなかったので、目が覚めたのは9時過ぎだった。

 朝食を食べて、今日の一日の予定を相談する。


「じゃあ、宏人の大学に11時半頃に行ってお昼を食べる。んで、13時から講義を受けるんだな」

「そうだね」

「90分も授業って長いな……」

「嫌なら無理しなくていいよ」

「嫌なんて言ってないだろ」


 口を尖らせてから、アッと思う。またこんな言い方をしてしまった。

 宏人が相手だと気が緩むのだろうか。

 ことばに気をつけなきゃ、と祥太はコーヒーを飲んで少し反省をした。


「大講義室にはたくさん生徒が入るから、先生には見つかりにくい席を取ろう」

「わ、分かった」


 早くも何だか緊張してきた。

 生徒でもない自分がこそっと入るなんて、できるかなと不安が顔に出たのか、宏人がクスッと笑った。


「まだ4月だし、教授も生徒の顔を完璧に覚えているとは思えないから大丈夫だよ、きっと」

「そうだよな」


 昼飯も楽しみだし、初めての大学もワクワクしてくる。

 シャワーを浴びて着替えを済ませると、二人でアパートを出た。

 これも初めてかもしれない。

 鍵をかけて階段を降りると駅に向かった。


 大学に行くには電車で行かなければならない。

 祥太の勤めるバーも駅の裏にあるので方角は同じだ。


「そういえば、祥太の勤めているバーって駅裏にあるんだよね」


 宏人もまだ未成年なので、バーに来たことはない。聞かれたこともなかった。

 祥太の誕生日は6月で宏人は10月生まれだ。だから、宏人は店に入ってお酒を飲むことはできない。

 瑞穂は4月生まれだから、誕生日の日にやって来て、20歳だからと茂樹にカクテルを作ってもらい、そして、祥太がおごらされた。それを思い出す。


「ああ。宏人は10月生まれだから、店には来た事なかったんだよな」

「僕の誕生日、よく覚えているね」

「当たり前だろ。俺もまだ19歳だから、瑞穂のように4月生まれなら飲めるんだけどな」


 そこまで言って、あ、しまったと思う。

 宏人はなぜだか、茂樹と瑞穂の名前に敏感だった。

 いや、春希の名前の時もそうだった気がする。

 瑞穂のことはできるだけ触れまいと思ったのだが、ちらっと宏人を見たが、あんまり気にしている風ではなかったのでほっとした。



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