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 シーフードのパエリアには、殻つきのエビがふんだんに使われており、美味しそうなアサリやピーマンなどの野菜も添えてある。


「全部作ったんですか?」

「料理を作るのもバーテンダーの仕事だよ。僕は徹底してやる性格だから、人よりしつこいかもしれないけどね」


 その時、チンと音がした。オーブンから型にはまったマドレーヌを取り出す。


「僕の事は気にしないで、座って」


 パエリアだけでもすごいのに、大根、にんじん、きゅうり、ピーマンなどを千切りにし、スライスしたアーモンドを散らし、輪切りにしたトマトと小魚を盛り合わせたドレッシングサラダ。ジャガイモの冷たいスープに、フランスパンにアンチョビ、トマト、チーズを乗せてオーブンで焼いたカナッペが何種類もある。 薄くカットされたローストビーフが大皿に盛ってある。

 上等なテーブルの真ん中にパエリアを置いて、二人は並んでイスに座った。

 スープはよく冷えていてジャガイモと玉ねぎもよくとろけていてとても美味しい。

 祥太は、並べられていく料理を次々と口に運んだ。

 どれも文句なしに美味しくて、いくらでもお腹に入る。

 茂樹に、食後は紅茶かコーヒーどちらがいいかと問われ、二人は紅茶と答えた。


「おいしいね、宏人」

「うん…」


 宏人もまんざらではない様子で、かすかに感嘆の声を上げてはじっと料理を見つめて味を噛みしめていた。


「祥太は料理ができる人って好き?」


 ぼそりと聞かれ、祥太は即頷いた。


「最高だよねっ」

「じゃあ、僕も料理人になる」

「がんばれよ」

 ぽんと肩を叩いてやって、祥太は最後の紅茶を飲み干した。


「どう? 満足した」


 二人の食べっぷりを楽しそうに見ていた茂樹が言った。


「はい。ご馳走様でした」


 頭を下げて尊敬の眼差しで茂樹を見つめる。


「オーブンでできる簡単なものだから、君たちにもできるよ」

「本当ですかっ?」


 いきなり宏人が大声を出す。

 祥太は気おされたように宏人を見た。


「ひ、宏人、声が大きいよ」


 肩を突付いたが、宏人はやけに真剣な表情をしていた。

 茂樹がにっこり笑った。


「じゃあ、隣の部屋に行こう」


 バーカウンターがある部屋に移動して、二人はカウンターの前のスツールに腰かけた。





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