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籠の鳥王女は愛されたいので好きにすることにした  作者: 狭山ひびき
籠の鳥王女と魔法使い

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魔法師団長への褒章 4

お気に入り登録、評価などありがとうございます!


今日の夜にもう一話更新します(≧▽≦)

明日からは一日一話更新の予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。


 わたしの「この国で一番高い山のてっぺんに捨ててきてもらうんだからっ!」という啖呵はお兄様の笑のツボをいたく刺激したらしく、レオンスお兄様は凱旋パーティーがはじまる寸前までひーひー言いながら笑い転げた。


 ……お兄様め! いつかぎゃふんって言わせてやるんだから!


 お父様とお母様、それから王太子である一番上のお兄様とそのお妃様であるお義姉様は最後に入場するから、わたしはレオンスお兄様のエスコートを受けて会場入りする。

 パーティーは何度も参加したことがあるけれど、今日はまたいつにもまして、興奮しているというか熱気がすごいというか……みんなちょっとテンションが高い。


 魔法大国であるブラン王国は戦争に巻き込まれることがとっても少なくて、かれこれ二百年は平和な時が続いていたから、「戦果を挙げて凱旋帰国する」ということ自体がとっても珍しい。

 だから貴族たちも浮足立っているのかもしれない。

 活躍した魔法使いはシャルルだけじゃないから、今回の褒章で爵位を賜った魔法使いを娘の結婚相手に……と考えている貴族も多そうだわ。


 ……それでシャルルが目をつけられたら嫌だなぁ。


 一番活躍したシャルルは、一番高い爵位が与えられるだろう。

 魔法師団長だけど元孤児と侮られることもあったシャルルが高い身分を得るのだ。彼を見る目は今日を限りにがらりと変わる。

 シャルルが評価されるのは嬉しいけれど、女性に囲まれるシャルルはあんまり見たくない。いや、かなり見たくない。絶対嫌だ。


 わたしはすごく複雑な気持ちを持て余しながら表情だけは取り繕い、レオンスお兄様のエスコートを受けて王族席に座る。

 わたしたちが入場すると、今度は王太子であるお兄様とお義姉様が入場し、最後に国王夫妻のお父様とお母様が会場入りすると、貴族たちが自然と左右の壁際に分かれた。


 これから、戦果を挙げた魔法師団の皆さんが入って来るのだ。

 パーティー会場である大広間には、普段のパーティーの時はない真っ赤な絨毯が、正面入り口の扉から線を引くようにまっすぐ伸びている。

 その絨毯の先端は、わたしたちがいる王族席の手前だ。


 ……今日ついに、大人のシャルルの姿が見れるのね……!


 五歳の時からずっと会えていなかった初恋の人が、もうすぐわたしの目の前にやって来る。

 心臓がドッドッドッドッと早くなってきて、わたしは何度も深呼吸をしながらそのときを待った。


 ……興奮しすぎて鼻の孔とか膨らんでないかしら? 大丈夫かしら?


 こんなことなら扇を持ってくればよかった。今から頼んでも間に合うだろうか。

 わたしがそんな馬鹿なことを考えた時だった。


 ファンファーレが鳴り響き、ついにそのときが来たことを告げる。

 大広間の正面入り口の両開きの扉が、扉番をしていた衛士たちによって開かれた。

 胸元に金糸で鷹の紋章が刺繍された黒いローブをまとった集団が、一人を先頭に、そのあとは二列になって入場してくる。


 先頭のひときわ背の高い、けれどもフードを目深にかぶり、その顔を隠している男性がシャルルだろうか。

 誰かが「陛下の御前で無礼な……!」と小さく声を声を上げたのが聞こえたけれど、お父様が小さく手を上げると広間内はシンと静まり返った。

 国王であるお父様が顔を隠すことを許したのだ。誰に文句が言えようか。


 わたしはシャルルの顔が見られないことに、ちょっぴり残念なような、けれども権力に屈しないその姿にときめくような……そんな、相反する気持ちと、胸の高鳴りで、すでにいっぱいいっぱいだ。


 ……十三年前は小柄だったのに、すっかり大きくなったのね!


 年上の男性に抱く感想ではないかもしれない。

 だけど、十三年前に会った彼はびっくりするくらいに細くて小さくて、ぼさぼさでよれよれだったのだ。

 だけど目の前の彼は、フードこそかぶってはいるものの、ぴしっとアイロンがけされた綺麗なローブを身に着けている。感動である。


 別にわたしはシャルルがよれよれのぼさぼさでも一向に構わないけれど、こういう場では身だしなみが整っていないと、とやかく言う輩がいるのだ。

 悪い噂の多いシャルルにまたよくない噂が立つのは嫌である。


 魔法師団全員が入場し、その場にざっと跪く。

 宰相がこの場にいる魔法師団全員の名前を上げて、それぞれに与える褒章を一つ一つ読み上げて言った。


 そして最後に――


「師団長シャルル。ドゥファン国の国境を守り抜き、あまたの兵をその圧倒的な力で退け、停戦に大きく貢献したそなたには、ここより南西にある王家所有のサティ地方を与え、本日より侯爵を名乗ることをここに認める。加えて、そなたには我が国の力でできうる範囲内の希望を、何でも一つ与えることとする。――シャルル・サティ侯爵、そなたは陛下に何をお望みになりますか?」


 宰相が訊ねると、シャルルはわずかに顔を上げ、それから数拍の沈黙ののちに、静かに言った。


「それでは――」


 彼が何を望むのか。

 この場にいるものが固唾をのんで見守る中、シャルルは厳かに言った。



「エドウィージュ第三王女を妻に娶る権利を」



 わたしは、あまりの嬉しさに気を失うかと思った。





ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ


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