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籠の鳥王女は愛されたいので好きにすることにした  作者: 狭山ひびき
籠の鳥王女と魔法使い

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14/21

浮気の一報が届きました 3

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「ねえ、レーヌ。見てちょうだい!」


 北から返って来たばかりのティファニーは、本日は魔法師団で報告書を書かなければならないらしく、後日また来ると言って帰って行った。

 ティファニーが帰ったあと、わたしはさっそくシャルルからの手紙を開封した。


 いつの間にかマノンがサロンに入って来ていて、わたしの膝の上に飛び乗る。

 マノンは大きい猫だから膝に乗られると重たいと思うでしょ? それがどういうわけか、とっても軽いのよ。もりもりご飯を食べているし、見た感じ痩せているわけでもないんだけど、不思議よね。


 シャルルの手紙は短くて、すぐに読み終わっちゃう。

 でも、そこに素敵な一文を見つけて、わたしはレーヌを手招いて手紙を見せた。


「『あなたが邸にいてくれるだけで俺は安心します』……エドウィージュ様、これが何か?」


 ここよ、と指さした一文を声に出して読んだレーヌが首をひねる。


「シャルルはわたしがここにいたら安心するんですって!」

「エドウィージュ様は、本当に可愛らしいですね」


 何故かレーヌに頭をよしよしされたわ。どうしてかしら。


「それにしても、何ですかこれ。『北の防衛線の強化の任務は順調です。あと少しで帰ります。あなたが邸にいてくれるだけで俺は安心します。どうぞそのまま俺の帰りを待っていてください』って子供の作文でももっとましなものが書けますよ」

「もうレーヌったら! シャルルの心のこもったお手紙にそんなことを言わないで?」

「心がこもってますか? これに?」

「けっ」


 マノンがわたしの膝の上で変な鳴き声を出す。もう、マノンまでひどいわ。


「シャルルはきっと、お手紙が苦手なのよ。それなのに一生懸命書いてくれたんだもの。それだけで充分心がこもっているわ」

「わたくしとしては、エドウィージュ様が寛容すぎて涙がちょちょぎれそうです」


 レーヌってば、ふざけているのかしら?


「わたくし、ちょっと思ったんですよ」

「なにかしら、レーヌ」

「こいつ……いえ、シャルル・サティ侯爵は、普通じゃありません」

「それはそうよ。だって最年少で魔法師団長になるような実力者だもの」

「そういう意味じゃありません」


 じゃあ、どういう意味なのかしら。


「わたくしのセンサーに、どうもヤバい反応が来ています。ええそれはもう、ビンビンと。この結婚は危ないです」

「レーヌ、そういうのをきっと、マリッジブルーって言うのよ」

「なんで結婚しないわたくしがマリッジブルーになるんですか……。もしマリッジブルーになるのならエドウィージュですよ」

「わたしはブルーになんてならないわ。だって今、ピンクな気分だもの。シャルルからお手紙をもらえて、しかももうすぐ帰って来るって知ってとっても幸せだわ」


 わたしがにこにこと答えると、レーヌはがっくりと肩を落とす。


「エドウィージュ様が幸せそうならいいです。仕方ありません、このレーヌ、エドウィージュ様の幸せのために頑張りますよ。まずはシャルル様が帰ってきたらその根性を一から叩き直すところから――」

「レーヌレーヌ、このお手紙を額縁に入れて飾ろうと思うの」

「聞いていませんね。いえ、それでこそ恋愛脳に染まったエドウィージュ様です。額縁ですか? すぐに探してまいりましょう。……そして帰って来て自分の情けない手紙を改めて目にして頭を抱えればいいんですあのポンコツ侯爵が!」


 レーヌはそう言うと鼻息荒くサロンから飛び出していった。


「変なレーヌ。ねー? マノン?」

「けっ」


 わたしはマノンの首の後ろを掻いてあげながら、もう一度手紙に視線を落とした。


 ……ふふっ、わたしがここにいると安心するんですって!


 妻(未来)としては、夫(未来)に安心するって言われたらとっても幸せよ。妻冥利に尽きるってやつだわ。


「ねー? マノン?」

「けっ!」


 どうでもいいけど、マノン、喉に毛玉が詰まっているわけじゃあ、ないのよね?





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