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ぼっちVS互いに硬球をぶつけ合う競技の代表・前編




 時を遡り、ナウ帝城のある一室。




「では、各地で非道をはたらいている魔族を掃討を、ということですか?」



「そういう事になります」




 ここで二人の男が会談していた。


 1人は大学生にありがちな髪型をした有能騎士、ボルトである。彼はもう1人の男に皇帝からの任務について伝えていた。

 そしてそのもう1人というのが………



「分かりました、確かにそのような魔族の悪事を見過ごすわけにはいきません。僕にお任せを(魔族か…………昔父さんも各地を巡って魔族を倒していたんだっけ……………………)」



 そう、似非主人公ト曰く『会話もままならないコミュ障女顔童貞無能ザコで泥岩を主食とする』この世界の真の主人公、勇者である。

 彼はボルトから皇帝からの任務の詳細を聞き、すぐにそれを快諾した。



「助かります。私共は今ここを空ける訳には参りませんので」



「『王国派』がまた不穏な動きを見せているのでしたか」



「はい、勇者様が帝都から離れるとなれば必ず動くかと。それに……貴方を襲撃したという例の人物ですが、ゴーギャス国からの刺客ではないか、という話が出ております」



「ゴーギャス国の?」



「定かではありませんが」



「なるほど…………しかし、あなた方がここを守っていてくださるならば、僕も安心して任務にのぞめるというものです」



「ふ…………買い被り過ぎですよ、それは……………………ああ、そう言えば」



 ボルトは1度区切ると、徐ろに懐からご丁寧に主人公仕様にちょっと派手めにカスタマイズされたデバイスを取り出した。



「陛下がこれを渡すようにと」



 勇者はそれを不思議そうに見つめている。恐らく何で気持ちカスタマイズしてあるんだとかそういうくだらない事でも考えているのだろう。



「デバイスですか、何故僕にこのようなものを?」



「やはり万が一の時に通信手段が無ければ困るでしょう。無論、それ以外の事にも使って頂いて構いませんが」



「成程」



「さて、私からはこれくらいでしょうか。何か御要望などあればお聞きしますが」



「…………特には」



「分かりました…………それでは、ご武運を」



「ボルトさんこそ」



 二人は互いの武運を祈り、その後勇者は部屋から退出しようと立ち上がった。その瞳には複雑な感情が宿っていた。



(…………お父上の事か)



 ボルトはそれを確かに認識していたが、それを口に出すべきではないと、何も言わずに部屋を出る勇者を見送った。







































 そして現在、勇者はキリング街へ向かっている。その道中に先程のボルトとのやり取りをメリッサに話していた。



「それで旅に…………」



「うん。……勇者になって初めての大仕事って感じだね」



「そうですね…………」



 しかし、ここでも勇者の声には、わずかに憂いのような感情がにじみ出ていた。



「…………………不安、ですか?」



 メリッサはその感情に何か思うところがあったのか、こう尋ねた。



「不安と期待が半々ってところかな(僕が…………父さんと同じ旅に…………………)」



「期待ですか…………」



「やっと勇者らしい事が出来るって思うとね。ところでメリッサは?」



 勇者はそう尋ね返すが、そこには先程の感情はもうみえなかった。



「私は…………勇者様と同じで大きい仕事は初めてなのでやっぱり不安です。もちろん、やっと国のため、そして勇者様の補佐役として役に立てそうなのでそういう面では期待もありますけど」



「はは、今までだってちゃんと補佐役やってくれてたじゃないか」



「いえ、そんなこと……」



「僕がそう感じてるのは事実だからそれでいいじゃないか」



「は、はい…………ありがとうございます」




















 二人はそんなことを話しながらキリング街への道をリア充オーラをぶちまけながら歩いていると(爆)、もう街が見えるところまで差し掛かっていた。



「勇者様!街が見えてきましたよ!!」



「本当だ、もうそんなに歩いたのか。この分だと今日から任務に取りかかれそうだね」



 二人は街への歩みを進めようとした。が………………




「………!あいつは………」



「!?えっ」



 二人の視界に見過ごせない物が映り込んだ。








 そう……………………





































「……何を童貞がリア充感出してんだよ。爆ぜろや」




 







 我らが似非主人公トの姿である!!







 



「お前…………やはり僕を殺す気だな」



「えっ…………えっ、ちょっと…………………(何であの人全裸なの?)」



 狼狽えているメリッサは無視し、トは急にクッソシリアスな顔になる。



「……………ここらでキッチリさせといた方がいいな」



「……僕もただでは殺られないさ」



(え?何であの人全裸のくせに真面目な顔してんの?)



「その事で話があんだよ」



「今更話すことなんかあるのかい?」



「まあ聞けや」



(何でこの人全裸のくせに威張り腐ってんの?そして何で勇者様は全スルーなの?)



「まずお前ら誤解しすぎなんだよ」



 トはシリアスな雰囲気(全裸なので嘘)を崩さないまま話し始める。



「俺はな、あの時、だから俺と勇者が初めて戦った時だな、あれな、お前らあの時俺がナイフで勇者を刺殺しようとしてると思ったらしいけどさぁ、普通に巾着の紐切ろうとしただけだから。俺は勇者に対する殺意なんて持ってないし、あの時お前らが仕掛けて来なけりゃ戦闘にもならなかった。はい以上」




「…………それを僕達が信じると思うか?」



「思わねぇが、事実なんだからこれしかやりようがねぇよ。それともう一つ、俺はお前を殺そうと思ったら簡単に出来る。サクリファイスさえ使わせなければいいんだから、暗殺でもすりゃいい訳だからな」



「「………………」」



 二人はトの実力(特典のハリボテ)を知っているため押し黙るより他なかった。



「まぁ要するに、俺はお前らから仕掛けて来なければお前ら敵対する気はねーって、そういう事。OK?」



「…………仮にそうだとしても、僕にはお前を倒さなければならない理由がある」



「ま〜た何言ってんだか。他に俺とお前との間に何があるってんだよ…………………何もないよね、特別な関係とかないよね(小声)」



 すると、勇者は少し間を空けてから語り出した。



「お前の帝都での振る舞いの事だ。他人の所有する家屋に勝手に居座りあろう事かその一部を壊す、ギルドの登録料を誤魔化そうとした上に、そのギルドの携帯食糧を勝手に食べる、国からの任務を無断で放棄する、第一皇女の馬車に落書きをする。そしてこれだけの事をしておきながら反省の色も見られない」



「……………いや違う違う違う違う!!」



 トはCGのティラノサウルスの如き勢いで首を降った。が、勇者達は当然お構いなしだ。



「えっ、そんなことしてたの貴方。最低ね」



「えっ待て待て待て待て、何だよ第一皇女の馬車に落書きって。困るなぁ、どさくさ紛れにそんな捏造されちゃあはっはっは、ふざけんなよオイ(般若顔)。お前な、俺はそういう濡れ衣とかがすげぇ嫌なんだよ。ホントお前嫌だわ。撤回しろやカス」



 この時、トは第一皇女の件に気を取られ国の任務の無断放棄について否定するのを忘れるという無能っぷりを発揮した。



「騙し討ちで僕を殺そうとした奴の言葉なんて信じられるか!」



「だからそれは違うっつってんだろ…………お前ちゃんと会話のキヤッチボールみたいなのをしないとさぁ。今の会話お互いにボールをぶつけ合う弾数制限無しのドッジボールと化してたかんね。お前あれやぞ、俺の「」1個分無駄にしてるからね」



「…………お前、ゴーギャス国の刺客だな?」



「え?無視?まさかのこれを無視?この……………このやつを無視?」



「ゴーギャス国には高名なネクロマンサーがいる、彼ならばお前の様なアンデッドも造れるはずだ」



「ゴージャス国だあ?そんなもんあったら行ってみてぇよボケ(低所得者)」



「とぼけるな!お前の体にはこの間僕との戦いでついた傷がない。痕跡すらもだ。これは一部の魔族かアンデッドの治癒力でしか成し得ない事だ。そして、魔族は必ず瘴気をもっているが、お前にはそれがない。お前はアンデッドだ!」



(あいつが全裸だった事が役に立っちゃった…………)



「は?なんやねんそのこじつけ。何の証拠があって言ってんの(犯人)?『お前はアンデッドだ!(裏声)』じゃねぇよ、俺はある特殊な経緯でこういう体になっただけだっつの、人間だよ」



「それこそ何の証拠があるんだ!?でたらめを言うのもいい加減にしろ!」


 

「はぁ………………(蔑視)。話が通じねぇみたいだなぁ。もういいや、じゃあな」



 トは心底嫌そうな顔のままその場を去ろうとした。が、勇者がそれを阻止しようとする。



「あれだけの態度をとっておいて逃げるのか?とんだ臆病者だな」



「バーカ、そんなカッスい挑発に乗るかよ」



 トは勇者の挑発を軽く一蹴し、街へ向かおうとしたが、そこに畳み掛ける者があった。



「勇者様、任せてください」



「メリッサ?」


































「……………その短い足であの街まで歩けるの?wwwwwwww」
































「あ゛あ゛!!!!?なめんじゃねーぞクソガキ!!!!!!」




















 こうして再び主人公VS主人公(大嘘)の戦いが幕を開けた!!






弾数制限無しのドッジボール・・・・昔、同じ学校の奴と殴り合いの喧嘩になった事があった。そのとき、開幕早々距離を取られ(えっ……(ドン引き))と思っていると相手に近くの駐車場の石をめっちゃ投げつけられた。勿論駐車場の石は有限であるが、充分過ぎる程の数であるので、実質弾数制限は無いようなものだった。

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