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獣王国『警戒』

 朝。早々に起きてご飯を食べる。朝一番の駅馬車に乗るつもりなので、門が開く前に行っておきたい。

 イリアの寝起きが少し悪かったけれど、その分急かしたので馬車には間に合った。これで一日揺られれば夜になる前には着く予定だ。

 その先は二日かかり次の街へ。その後は一日で次の街、さらに一日かけて王都に着く。

 馬車が進む速度は意外と速い。土の道だけどちゃんと整えられているのが大きいのだろう。予定通りに街に着くと宿の確保と次の駅馬車の確認。

 宿の方は直に見つかった。西門に近くて風呂のある所が条件だったので、そう人に聞けば直に一件の宿を教えてもらえたのだ。『光々亭』と言うその宿は馬車止めも大きく少し高価だったけれど幸い四人部屋が開いていたのでそこに決める。安い屋ども値段の面では良いけれど、安全なんかを考えると少し高いお金を払うのも悪く無い。それに冒険者が集まる様な宿はガサツな所も多い。今は僕一人では無いから、そう言う所は避けた方が無難だろう。

 宿とは別に馬車の方は芳しく無かった。今日出たので明日は出ないらしい。

 歩いて向かうべきか、一日潰すべきかを話しながらご飯を食べていると、僕の背後から女の人が声をかけて来た。

 「話しが聞こえたけど、急いでいるならうちの馬車に乗るかい?王都まで行くつもりだけど、途中まででもいいよ。商品が乗っているから狭いけどね。」

 「よろしいのですか?」

 美味しい話しには裏があるかもしれない。けれども助かるのも事実。

 「良いさ。その代わりに君は護衛をして欲しいけどね。安全な道だけど用心にこした事は無いし、先週盗賊が出たなんて噂もあるからさ。身体強化して街道を走り抜けられるなら腕も良いのだろう?」

 話しが聞こえていたのは本当の様だ。走れば早いと言うイリアに対して僕が諌めた時にそんな事も言った気がする。

 「助かります。」

 「うちに居る男は旦那くらいだから気楽にしてもらって構わないさ。」

 「ありがとうございます。僕はトラ。こっちはシオ、ノサキ、イリアです。」

 「私はジャニカ・レセプトン。こう見えてもレセプトン商会の代表さ。」

 お互いに握手をして出発の時間を確認する。

 どうやら出発は今日と同じ開門と同時。食事は各自で用意するし、僕が護衛をするので馬車賃は取らない。代わりに僕への報酬も無し。ギルドを通さないので評価もされないけど僕には特に問題ない。

 「それではよろしくお願いします。」

 「ああ。うちも助かったよ。今から護衛の募集をしたのじゃ朝一には出発できないからね。」

 なんでも商品の仕入れに来て王都に帰る途中だったらしいが、その盗賊の話しが出て護衛を雇うか、他の商人と行動を一緒にするかを話していた所に僕達の話しが聞こえたので、声をかけてみたとのこと。それと僕達が皆子供なので変な事はしないだろうと言う安心感となんとかしてやろうとする親心がでたのだとか。

 ちなみにジャニカさんは子供が6人。一人を除いて王都で両親の帰りを待っているとのことだ。


 朝、イリアは昨日とはうって変わりちゃんと起きた。起きた順ではシオ、僕、ノサキ、イリアとなったので、最後である事を悔しがっていたけれど、余裕を持って起きられたのだから気にしなくて良いと思う。

 朝食を取りに行くとジャニカさんは既にいて朝食を取っていた。こちらに気付いた様なので挨拶だけしておく。

 「おはようございます。」

 「おはよう。この分だと予定通り出られそうだね。」

 「はい。僕達は朝食を食べ終わったら出られます。」

 荷物はほとんどないのでいつもまとめてある。

 「私達も食べ終わったら準備をするよ。裏の馬車であおう。」

 「はい。よろしくおねがいします。」

 「こちらこそよろしく。あ、紹介が遅れたけれどこれが旦那のビル。」

 「君たちの話しは昨夜聞いています。よろしくお願いしますね。」

 ジャニカさんよりも大人しく優しそうな雰囲気を纏った人だ。恐らく犬の獣人。ちなみにジャニカさんは猫の獣人だ。

 話しているうちに朝食が出て来たので話しをやめてテーブルに着く。

 ついでにお弁当を受け取り、更に追加でパンと干し肉をもらう。これは今日の夜からの食料だ。時間が無くて買う時間が無かった為にシンプルな食事になってしまったけれどしょうがない。皆も特に文句は言わないでくれるので助かる。

 朝食を食べ終わる頃にはジャニカさん達はもう居なかった。なので速やかに部屋に戻り出る準備を整えると鍵を返して宿の裏へ。

 「来たね。あとちょっと待っておくれ。」

 「はい。」

 丁度ビルさんが馬車に馬を繋げている所だった。

 「先に紹介しておくけど、これが娘のアイリス。もう一人が従業員のレーター。」

 全員で四人。四人で仕入れに来たようだ。

 「そういえば誰か御者できるかい?」

 「僕が出来ます。」

 練習したしね。

 「じゃあ交代で頼むよ。ビルも年の所為で腰が痛いらしいからさ。」

 「わかりました。」

 馬を繋いで準備は終わった様なので宿に挨拶をして出発する。

 門前には同じく開門を待つ人達がいたけれど、他に馬車の姿はない。徒歩の人が居るだけだ。

 まず馬車の僕達から通される。通行の邪魔にならないように、徒歩よりも足の速い馬車を先に通してしまうものらしい。

 僕とビルさんが御者席に座り、まずビルさんが手綱を握り、慣れて来たら僕が変わることになっている。腰の調子が良く無いのは本当の様なのでなるべく早くに変わってあげようと思う。

 三人娘は後ろでおしゃべりに興じている。聞こえて来る話しとビルさんの補足でわかったのは、従業員のレーターさんは家族の様なもので、住み込みで働いている。アイリスさんは長女で仕入れについて来たのは今回が初めて。一番下の妹がシオちゃんくらいの年齢らしく、可愛がってもらっている。等。三人娘は僕と行動する事になった理由なんかを話しており、話し終わった時にはジャニカさんに抱きしめられていた。

 そのおかげでか一気に仲良くなったようで、話しが止まる様子は無い。

 ビルさんと御者を変わってもそれは変わる事は無く、ビルさんは休めていないのじゃないかと不安になるけれど、ここで女性陣を敵に回す事は愚かしいので言えない。ビルさんも同じだろう。

 お昼も馬車の中で取り、たまに馬を休める以外はひたすらに街道を行く。少し強行軍だけど二つ目の休憩所まで今日中に辿り着く予定なので馬には頑張ってもらおう。

 心配していた盗賊の襲撃の気配もないし、他に街道を行く人も暫く見ていない。


 そう思っていたのも野営の準備をする前まで。

 準備の途中から視線を感じる。

 三人娘でもなければレセプトン商会の面々でもない。かといって他の旅人とも思えない。

 何故なら森の中からその視線を感じるからだ。

 不安を無駄にあおるのではないかと、伝えるかどうかを少し悩んだけれど伝えておく事にする。伝える相手は雇い主でもあるレセプトン商会の代表であるジャニカさん。

 「そうかい。私は気付かなかったけれど他の奴らにも声をかけておこう。」

 そう言ってまず知らせたのは王都方面から来た商隊の代表。王都の商人でジャニカさんとも顔見知りらしい。その人達が雇った冒険者と僕で今夜の見張りをする。

 個人の旅人にも伝えたけれど、下手に騒がない様に釘をさしていくことも忘れない。

 今から夜道を行こうとする剛の者はいないらしいので今夜ちゃんと警戒していれば簡単には襲って来ないだろう。

 商隊に付いていた冒険者は一パーティーの五人。リーダーは渋いおじ様だったけれど、僕の意見を信じないという事もなく、警戒をちゃんとしようという事になった。二交代で三人ずつ。僕は後半担当。

 そう決まればご飯を食べて直に寝る。三人娘も周りの空気を読んだのか疲れていたのかは知らないけれど直に眠れた様だ。

 見張りの交代をしても襲って来る気配は無い。ただし視線は感じるので諦めては居ないのだろう。夜になって向こうのパーティーでも気配を感じたらしいので僕の気のせいという線はなさそうである。

 とうとう朝になって出発の時が来ても襲って来る事は無かった。諦めてくれたのならそれにこした事は無いけれど、そんな心がけならそもそも盗賊にはなっていないだろう。おそらく護衛である僕達がばらけた後に狙うはず。これは向こうの冒険者達も商人も同じ意見だ。

 しかし動かない訳にはいかないので二手に分かれる。ただし、人数を多くする為に歩きの旅人の速度に合わせて。

 出発して十分程は視線を感じたけれどやがて消えた。向こうを狙いに行ったのだろか。


ヒュンッ。

 風を切る音がして矢が馬車に刺さる。

 矢に少し遅れて男達が森から出て来た。いずれも獣人。

 「おいっ!」

 何故気配に気付けなかったのか・・。

 「荷物を「馬車に続いて!」」

 気配云々は今気にしてもしょうがない。それよりも歩行かちの人達に声をかける。ビルさんは既に馬車を走らせている。

 「待て!」

 待つ訳が無い。待って欲しかったら逃げられない様にするべきで、馬車を矢一本で止められる訳が無い。

 森から出て来る男達は間に合わず、先に姿を現した男が馬車の前に回るけれど果たして鞭を当てられた二頭を妨げる実力があるのか。

 もしかしたらあったのかもしれないけれど、残念ながら男がその実力を発揮する機会はやって来ない。恐らく永遠に。

 馬車から飛び降りて一閃。それで男の腕が中を舞う。

 「ぎゃぁぁ。」

 地面を転がる男は放っておいて、森からす阿多を表した男達に向き合う。馬車の後ろには歩行の人達が荷物を放り出して付いて行っている。

 僕は殿となる。もし囲まれていたとしたら一人では守れなかっただろうけれど、上手く包囲を免れる事ができたので対応は可能だ。

 と言っても、難しい事はしない。商隊の皆を追いかけようとする男の腕なり足なりを斬り、追いかけられない様にする。それで充分。

 敵は二十人程だけど最初に斬った男を含めると既に五人が地面に転がっている。


ポンッ

 背後で音がした。これは無事に逃げられたのを知らせる信号。大抵の商隊の馬車には付いている装備の一つ。

 男達に少し動揺が走った様だけど・・・

 (引くかな?)

 「さっさとそいつを片付けろ!」

 「急げばまだ間に合う!!」

 後ろに居た二人の男が声を上げる。引く気はない様だ。

 剣や斧を持った男達がじりじりと包囲を狭めて来る。声を挙げた二人は来ない様で後ろに陣取っている。その中間にいる弓二人が少し面倒だけど前衛が密集しているので撃っては来ないだろう。

 間合いの一歩手前で男達の前進が止まった。

 「子供一人さっさとやらんか!」

 その声で男達が飛び込んで来る。それでも180度。精々四人が同時攻撃をして来るくらい。それも斧は突くことができないし、人数が居るので横に振る事も出来ないから振り下ろしを警戒。

 (せめて槍にすれば良いのに・・・。)

 頭ではそんな事を考えつつ体は相手の動きにあわせて動く。勿論身体強化も武器強化もしているけれど・・・。

 正直言って、ぬるい。

 シス一人の方がもっと避けられない剣戟を繰り出して来る。それに比べれば欠伸が出る。

 何人斬ったかか判らないけど男達の動きが止まった。

 「おいっ!」

 後ろの男の声がかかるが男達はかかって来ない。

 彼等と僕の間には苦しむ男達。即死の攻撃はしていないつもりだけれど、そろそろ出血多量で死ぬのも出て来るかもしれない。

 「おっ「ぐがっ・・・。」」

 再び声を上げようとした男の声が止まった。

 何人かが振り返って確認しようとするが、やはりぬるい。

 その振り返った男達の腕は等しく切り離される。

 残り三人。

 既に後方の男二人と弓使いは地に沈んでいる。三人であればあえて斬る必要も無い。

 「武器を捨てろ。五秒待つ。」

カランッ

 五秒も待つ必要も無かった。一人が斧を取り落とすと残りの二人も武器を捨てて手を挙げる。そこに近づいて縛り上げるのは先程別かれた冒険者のパーティー。弓使いや後ろで指示していた男達を捕えたのも彼等だ。

 「坊主無事か?まぁこの様子じゃ急ぐ必要も無かったようだが・・・。」

 別れた時にどちらかの馬車から合図があり次第駆けつける約束をしていたのだけど、僕が一人なので心配していてくれたらしい。

 「ありがとうございます。人数が多かったので峰打ちはしていません。」

 「そうか。止血をしてやるか。」

 そう言って倒れている男達の腕や足を縛り止血して行く。盗賊を返り討ちにしても犯罪にはならないけれど生きている方が高い報奨金をもらえる。

 それに事情に因っては死刑にならない場合もあるので生きているならそれにこしたことはない。


 手分けして縛り上げているとジャ二カさんが森から顔を出した。

 「よかった。無事だったみたいだね。」

 様子を見に来てくれたようだ。

 「旦那が馬で知らせに行っているからここで見張っていてくれるかい?」

 「わかりました。」

 「それまでは俺も居よう。」

 冒険者の皆も残ってくれると言ったけれど、向こうの商隊にも知らせなければならない。それに商人は先に進みたいだろう。

 そう言って断ると二人が残ってあとで追いかけるという事になった。正直一人で見張るよりも助かるのでお礼を言っておく。

 報奨金を分けたいのだけどさすがに街まで来てもらうわけにはいかない。同しようか悩んでいるとジャニカさんがパーティーリーダーにお金を渡していた。なんでも護衛途中に盗賊を撃退した場合は報奨金とは別に依頼主が多少包むものらしい。今回の雇い主はジャ二カさんではないけれど、他の旅人達も守られたので皆で出し合ったお金なのだとか。分け方に付いては相談されたけど全額もらってもらった。そのかわり盗賊の報奨金は僕が一人でもらう。明らかに僕の方が多いけれど彼等は別口で依頼主からもらえるし、僕の方が倒した数が多いのでもらって良いとのお墨付きも得たので問題ないだろう。


 しばらくすると街から兵隊がやって来てと早々に盗賊達を引き立てて行った。

 詳しい話しは街に着いた際にすることになっている。

 冒険者と別れて僕らもその後ろに付いて行く。兵隊が先導している形になるので特に警戒しなくても大丈夫だろう。



 暗くなってからようやく街に着いた。ただし、馬車と宿はビルさんに任せて僕とジャ二カさんは役所への報告が待っている。

 そこで驚いたことがあった。盗賊の首領がハスキールの父親でその横に居たのがハスキールだったらしい。虎の獣人だとは思ったけれどまさかあのハスキール親子だったとは・・・。

 服装や顔つきも変わっていたのでわからなかった。そもそもハスキールの顔をはっきりと覚えている訳じゃないし・・・・。

 なんでもハスキールの父親は開拓地へ送られる前に逃げ出し、先に逃がしておいたハスキールと合流。側近と共に盗賊に落ちていたらしい。そもそも父親が神様と貴族の名の元において獣王に約束する事を持ってハスキールを監督し、その為にハスキールの命は助けられたらしいのだけど、とんだ馬鹿親子だ。

 詳しい調べはまだとのことだけど、「貴族である自分達が平民の財産を奪って何の罪があるのか?」とかほざいているらしく、平民出身だという隊長さんが呆れていたので追及は厳しいだろう。

 一時間程足止めをされて次は冒険者ギルドへ。こちらは役所でもらった証明書を提出してお金を受け取るだけなので直に済む。


 「ただいまぁー。」

 「おかえりなさい。」

 ジャニカさんがいつも使っていると言う宿に入ると娘のアイリスさんがジャニカさんに抱きつく。他の皆も食事もとらずに待っていてくれたので早速ご飯にする。待たせてしまったし臨時収入があったので僕のおごりにだ。

 三人娘はともかくレセプトン商会の皆は遠慮していたけれど、ジャニカさんの一言で解決した。


 「坊やは大分儲けたから遠慮は無し!」


 報奨金を儲という所がさっぱりとしていていい。それに、おごりといってもお酒を飲むのはジャニカさんビルさんの二人と僕が一杯だけ。あとの皆は普通の食事なのでたいしたことはない。

 食事が終わると早々に部屋に引っ込む。明日に備えて早めに寝るのは旅の鉄則。それでも血を嗅いだのでお風呂には入りたい。

 「と、忘れる前に。」

 三人娘もお風呂に行っているので今のうちにチビ姉ちゃんに連絡をする。

 「もしもし?聞こえますか?」

 「聞こえる。」

 「まずは今日の報告をします。予定通りに行程は進んでいます。ただ盗賊に襲われたので少し到着が遅れたけれど。」

 「盗賊ね。(大丈夫なの?)」

 チビ姉ちゃん以外の声がした。

 「そこに誰か居るの?」

 エルザでも居るのだろうか?

 「気にしなくて良い。そこいらの盗賊ならトラの心配は無い。」

 「まぁそうなのだけど、なんとその盗賊の首領がハスキールの親父だったよ。まぁ捕えて町役人に預けているからそのうちライラさんにも伝わるでしょ。まさか逃げ出しているとは思わなかったけど、獣王国の役人は袖の下とか効くのかな?」

 役人が腐敗しているのならドウが罪人に仕立て上げられている可能性もある。

 「そ、そんなことはありませんよ。」

 「誰?」

 エルザでもエミリアでもない。ロクサーヌさんとも違うし、セシリアさん?

 「ライラ。邪魔。」

 「えっ。」

 「私はライラの私室に居る。ドウの事を聞きに来た。」

 転移魔術か。

 「それでドウはどうだった?」

 「罪人という事実は無い。でしょ?」

 「はい。参考人として来てもらっただけなのですが・・・・。」

 何故言いよどむ?

 「街に残った役人とやらがハスキールの手下。癒着。つまりトラの言った通り。」

 「既に捕縛する様に指示しました。他の街でも同じ様なことが起きていないか確認もさせています。」

 「そんなわけでドウとはすぐあえる。待ちに来たら王城へカモン。」

 「了解。」

 「じゃ、おやすみ。気を付けてね。」

 「ありがとう。おやすみなさい。」

 「あっ、私も・・・。」

 ライラさんの言葉が終わる前に通信は終わった。

 さっさと風呂に入って寝よう。

 風呂から上がって帰って来ていたシオに報告すると泣かれてしまった。安心した嬉し泣きらしいのだけど、こんなときはどうしたら良いのか判らない。ワタワタしながら頭を撫でると抱きつかれた。その上からイリアとノサキもくっ付く。

 そのまま泣きつかれて寝てしまったシオと、つられて寝てしまったイリアにベッドを譲ってシオのベッドで寝る。

 朝起きたシオの顔が泣き腫れていたのでジャニカさんに訝しまれたけれど、まぁいい。


 次の日からの行程は楽なもので、怪しい人影もなければ獣も出ない。

 王都に近づくに連れて人も多くなるので獣もでないらしい。唯一の変化はハスキール達を引き取りに行く騎士の集団とすれ違った事くらいだろう。




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