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幕間


 壊滅した組織の残骸、最早物言わぬ屍と成り果てた者たち。

 それらを踏み締め、男が一人。

 白い雪の上に足跡すら残さず、不気味に、黙々と歩み、歩み続けている。



「…………」



 男が誰なのか、組織の人間たちは知らない。

 近辺の街の住民も、もう居ない異端審問官も、男の正体は分からない。

 霞がかかったような認識阻害の術を身に纏い、誰にも知られず、そこまで来たのだ。

 徹底的に、己の存在を隠し通している。

 その技巧は凄まじく、シモンですら、男の顔を見ることは叶わないだろう。

 男は目的に向けて、真っ直ぐ歩む。

 死体たちには目もくれず、ただひたすらに。



「チッ……! ちゃんと証拠隠滅しとけよな」



 目的にまで到達して、男は短剣を取り出す。

 白い雪を肩に募らせながら、男は短剣で、一冊の本をバラバラにした。



「……期待してはなかったが、せめてシモンに傷くらいはつけてほしかったな」



 その後、男は切り刻んだ本とはまた別の、分厚い本を取り出した。

 巧妙に隠されたソレに気付くのは、至難だろう。

 男は本を大切に懐に仕舞う。



「嗚呼、決戦は近いな……」



 男は、足跡も残さない。

 男がこの場でしたことも、いやその存在すらも、夢幻の如くなり。




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