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このヒーローはヒロインを守ります

この前書きを書いている頃桜前線は北海道に到達したようです。

この前書きが読まれている頃は桜は全国的に散ってしまっているのでしょうか?


この話ではそろそろ季節は夏になります。

ゴールデンウイークが終わり初めての放課後にナイトフォンが過去最大の音で鳴り出した。

「な、なんだよ。コレ」

ナイトフォンを見た俺はナイトフォンに映し出されたモノクロームの出現位置に唖然とした。


「勇気、これどういう事⁉︎」

俺の隣で同じくナイトフォンを見ていた朔弥は俺の肩を掴みそう聞いてきた。

とりあえず、両肩に爪が食い込んで痛いから離してくれないだろうか。


ナイトフォンにはモノクロームの反応が全く異なる場所に三体出現していた。

「森に二体、市街地に一体か。朔弥は市街地に向かってくれ」

「わかった。すぐ倒して助けに行くからそれまで倒されないでね」

「当たり前だ、朔弥こそ油断するなよ」

「うん」


「「また後で」」


朔弥とハイタッチをして俺は森に、朔弥は市街地に転移した。






モノクローム態に変わった俺とポーン様は白と黒それぞれのオーラを背負い剣と槍を交えていた。

「身体が鈍ってないみたいで安心したぜ、ポーン様」

「貴方も私の力に対応できるほど力を上げていたとは驚きです」

「そりゃ、どうも」


軽い会話をしながらも俺たちは本気の殺し合いを繰り広げていた。

「身体は鈍ってないみたいだがモノクロチップの力は完全じゃないよな?」

「そうですね。私は貴方を処刑する事に躊躇しているのでしょうか?」

「さぁな。俺は俺だしポーン様はポーン様だ。俺にポーン様の気持ちなんか分かるかよ」

剣と槍のぶつかり合いは時間を追うごとに力を増した。しかし、まだ俺とポーン様に攻撃によるダメージは一度も与えられていなかった。


「ポーン様、お遊びはこれくらいにしてそろそろ本気で行こうぜ」

「良いでしょう」

モノクローム幹部を舐めていた。ポーン様の本気を空気を通じて感じた俺は震えが止まらなかった。

それが恐怖と呼ばれるものなのかどうかはわからないが俺の心はレッドナイトを初めて見たときのような感覚に似ていた。


「容赦はしません」

「最初からそのつもりだ‼︎」

本気のポーン様が高まっていたのは力だけではなかった。スピードも先ほどよりも増していた。

俺もそれに負けじと自分の限界を超えたスピードで対応した。

「……」

「……」

目にも留まらぬスピードの中で無言の時間が続いた。

「……‼︎」

シャークポーンとレッドナイトの戦いを思わせるスピード対決で相手を上回ったのは俺だった。

俺の攻撃はポーン様の手首に当たりポーン様の持っていた槍を弾き飛ばした。

「クッ……」


それで喜べたらどんなに良かったことだろう。

確かに俺の攻撃はポーン様に当たったが、武器を失ったポーン様は即座に反応し、オーラによる衝撃波を俺に向けて放っていた。

「中々やりますね」

「次の攻撃で仕留めます」


俺の言葉に噛み合っているようで噛み合っていない、噛み合っていないようで噛み合っている死刑宣告を告げたポーン様は自分の持てる全ての力を次の攻撃に詰め込んでいた。

それに応えるようにして俺も自分の限界を超えた力を次の一撃に込めた。


「ホースポーン‼︎」

「ポーン様‼︎」

ほぼ同時に俺の白いオーラとポーン様の黒いオーラが放たれた。


「「⁉︎」」

白と黒それぞれのオーラがぶつかるその瞬間白と黒のオーラの間に青白い光が現れた。

「来るのが遅いんだよ。ヒーローかよ」

無意識にそんな言葉が出てきた。






転送された先にあったのは光と闇が混じり合った灰色の世界だった。


「少年、そこの少年」

「誰だ?」

突然俺の目の前に青年が現れた。その青年はホースポーンの人間態に似た顔立ちをしていた。


「私の名は、ナイト」

ナイトと名乗る青年の背後にホースポーンのような白い影が見えた。

「少年、君に頼みたいことがある」

「俺に?」


「ポーンをた……て欲しい」

「あんたもモノクロームだろ? なんでポーンを?」

「私が未熟だったばっかりに彼女は闇に染まってしまった」

「俺はどうすれば良い?」

「君にこれを授ける。これでポーンを……」

青年は俺の手を取り何かを握らせた。

「ナイトチップ? どうしてモノクロームの幹部がこれを?」

青年はいつの間にか姿を消していた。


「これ以上ここに留まることは出来ない。最後に少年の名前を教えてくれ」

「長山勇気だ」

「良い名前だな」

灰色の世界がうっすらと消えた。


灰色の世界が完全に消えると森が現れ、黒い人影と白い人影が俺をはさむように立っていた。

「「レッドナイト」の兄ちゃんじゃねぇか」

俺はいつの間にかレッドナイトに変身していた。


「レッドナイト、そこを退けなさい」

「ポーン様、今の俺にはアンタと対等に戦えそうにない。ポーン様さえ良ければレッドナイトの兄ちゃんも仲間に入れてくれないか?」

ポーンの前に会った時とは異なり今にも森を消してしまいそうな雰囲気とは異なりホースポーンはとても軽い口調でそう提案した。


「おい、ホースポーン俺はお前を助けに来たわけじゃ……」

「私は構いませんが」

「それじゃあ決まりだな」

なんでモノクロームの戦いに無関係の俺まで参加しなければならないのかは疑問だが、灰色の世界でナイトに頼まれた事を実行しなくてはいけないので仕方なくホースポーンに味方する事にした。


「殺し合い再開だ」

その言葉が発せられると二人は風になった。

「こうなった以上マジで行くぜ」

『コード承認 桂馬』

二人の風のようなスピードについて行くと二人は俺よりも若干遅いスピードで拳と拳で殴り合っていた。

「レッドナイトの兄ちゃん、一発決めてくれ」

「俺に指図するな‼︎」

余裕がなさそうなのに余裕な素振りを見せるホースポーンにそう言いつつ俺はポーンに拳をぶつけた。


身体へのダメージを両腕を交差させて防いだポーンだったがレッドナイトのパンチ力を防ぎきれず木々を破壊しながら吹っ飛んで行った。

「レッドナイトの兄ちゃん、あれを使え‼︎」

「わかった」

俺は灰色の世界でナイトから授かったナイトチップをナイトチェンジャーに装填した。

『コード承認 香車』

緑色のナイトフォトンが消え、白色のナイトフォトンがアーマースーツを駆け巡った。

香車の力が巡るアーマースーツはいつもより心が落ち着いている気がした。


「光を司る赤き騎士、レッドナイト」

「レッドナイト、まずは貴方を‼︎」

どす黒い闇を放ち始めたポーンは風のような速さで俺に突っ込んできた。

「レッドナイト‼︎」

ホースポーンが俺の名を呼んだ。

「王手、決める」

『ナイトコンファート』

もう目の前にいたポーンを止めるように手をかざすとナイトフォトンがアーマースーツから大量に放出された。

「やめて。私が、私が消える」

ナイトフォトンはポーンに当たり続け、次第にポーンの黒い部分にヒビが入った。

大地が揺れるほどの衝撃波と共にヒビが弾け黒いモノクロームだったポーンは純白のドレスを着た人間態に変わりその場に倒れた。


「レッドナイト」

「ホースポーン、悪いがお前とやりあう力は残ってない。出来れば日を改めてくれないか?」

「流石に一緒に戦った相棒を倒そうなんて思ってねぇよ。ありがとな」

ホースポーンはふらふらとした足取りで後ろへ後ずさった。

「ポーンを『助けて』欲しい」

俺にそう言ったホースポーンは崖から足を踏み外し谷底へ落ちて行った。

「ホースポーン‼︎」

手を伸ばしてもホースポーンは手を取らなかった。


「長山勇気、良い名前だな」

話が大きく動いたと思われる今回の話いかがだったでしょうか。

次回は市街地に行った朔弥メインの話を予定しています。



くどいようで申し訳ありませんが、感想や評価をお待ちしております。

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