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78.ハイオットニー国⑦

「今日も暑いですねぇ…」

「早く特等席行きたい…」


レグに誘われ、この国の目玉と言える武闘大会へとやって来た。

ヴェールで顔を隠し、あまり喋らないよう言われたけどホテルから闘技場までの道はとてつもなく暑く、思わず弱音を吐いてしまった。

すぐにシャルルさんが返事をしてくれたけど、私以上に暑そうで呼吸も荒い。

他のみんなも普段より口数少なく黙々と歩き、ようやく闘技場へと到着。

闘技場付近にはたくさんの警備兵らしき人たちと、参加者っぽい人たちで賑わっていた。


「トワコ嬢、特別席はこちらです」

「あ、はい。…こんなに参加されるんですね、すごい数…」

「賞金額が大きいですからね」

「たくさんのメスも見に来てるからしょうがないよ。早く行こうよトワコ」

「日傘も買えばよかったですね」

「それはまた今度にしろ。あまり喋るな」


セトさんに案内され参加者とは別の入り口に向かい、ホテルの人が用意してくれた特別席へと赴く。

前面ガラス張りの豪華な部屋。

ソファだけじゃなく洗面所やお風呂、それにトイレまで完備された暮らすこともできる一室。

戦うであろう石畳のステージを真正面から見れるし、冷房も利いてるからとても過ごしやすい。


「あー…生き返るぅ…」

「今日は特別暑いですね。トワコ嬢、飲み物は?」

「いただきます。アルファさん、大丈夫ですか?」

「……んとか…」

「ゆっくり休んでください。レグもしんどかったら水浴びしてきていいですよ」

「そうさせてもらう」


涼しい恰好をしているとは言え、暑いものは暑い。

特に暑さに弱いアルファさんとレグに水浴びをしてくるよう言うとすぐにお風呂へと向かった。


「セトさんもしっかり水分摂ってくださいね」

「はい。トワコ嬢は相変わらず暑さに強いですね」

「そうでもないですよ。シャルルさん、お水飲めますか?」

「飲むー…」


セトさんからもらったジュースをいただきつつ、ステージに目を向ける。

ステージにはまだ誰もいないけど、それを囲む観客席にはたくさんの人で埋まっていた。

一応屋根はあるものの気温は高い。それなのにそれ以上の熱気に溢れ盛り上がっている。


「ん?」

「どうかされましたか?」

「いや…。何でもないです」


なんとなく見ていた観客席の中に見たことあるような人が見えた気がした。

でも遠いからすぐ見失ってしまう。


「あ、二人ともあがったし俺も水浴びしてくる」

「わー! ちゃんと拭いて出てきてくださいよ」


それが誰だったか考えていると上半身裸のびしょ濡れな二人が部屋に戻ってきたので意識をそちらに向ける。

せっかくの綺麗な部屋なのに濡らして汚すなんてとんでもない! 濡れたままソファにも座ってほしくない!

私の言葉にアルファさんはすぐに身体を拭くけど、レグは気怠そうにベッドへと向かいそのまま横になる。

というか何でベッドまであるんだ…。


「レグ? 大丈夫?」

「始まったら起こしてくれ」


様子がおかしいレグに駆け寄って声をかけると覇気のない声で答えて、すぐに眠りについた。

本当に暑いのが苦手なんだ…。

アルファさんも弱いけど水浴びしたら少しは元気になったけど、レグはダメらしい。

あれかな。猫科は夜行性だからこんなに明るくて暑いと弱っちゃうのかな?


「あれ、王様死んだの?」

「死んでないです」

「残念。トワコー、頭拭いてくれない?」

「シャルル。トワコ嬢に何を…」

「えー、ダメ?」

「いいですよ。いつも私も拭いてもらってますからね」

「やったー!」


すぐに椅子に座って私を待つシャルルさん。

ドライヤーはいらない、暑い。と言われたのでタオルで丁寧に拭いてあげると嬉しそうに笑ってくれた。


「もう大丈夫だよ、ありがとうトワコ」

「いいえ。喜んでもらえて私も嬉しいです」

「まだ開始まで時間あるよね。トワコもお昼寝する?」

「いや私は大丈夫です」

「残念…。俺もちょっと昼寝してきていい?」

「もちろんです。ゆっくり休んでください」


いつもと変わらない口調と態度なのにやっぱり同じ猫科のシャルルさんもバテてるらしい。

私の言葉に「ありがとう」とお礼を言って大きめのソファに横になると、すぐに寝息をたて始める。


「…お昼寝するシャルルさんとレグって珍しいですよね」

「そうですね。アルファはいいのか?」

「俺はしんどいだけで別に眠気はない。それよりトワコさんとお話、したいです…!」

「もちろんです。こんなに暑いとデートもできませんしね!」


前みたいにデートしたいなぁと思ってたけど、暑いしあんなことがあったから今回はしないことにした。

その分、安全な部屋で色んなお話してるけど、四人でいるとシャルルさんとレグが左右を陣取るのでセトさんとアルファさんとの時間があまりとれない。

二人の手をとってガラス張り前にある一番大きなソファに座る。


「ち、近いぃ…!」

「あ、すみません。つい癖で…。暑いですよね、少し離れます」

「っ違います! あの近いと緊張しちゃうんでぇ…。離れてほしくないです…!」

「ならよかったです。セトさんも大丈夫ですか?」

「はい。トワコ嬢の体温が心地よいです」


そう言ってヴェール越しに色んなところにキスをするセトさん。

邪魔だったので外そうとするもそれは止められた。


「ここでも外さないほうがいいですか?」

「観客席から見られますからね」


そう言って観客席を見下ろすと色んな人がこちらをチラチラと見ていた。

基本的にメスはこの特別室にいる。だから失礼のないように凝視するなと言われているらしいが、どうしても気になって視線を向けてしまうらしい。

残念だけど仕方ないよね。

あれから男性を怖がってることを察してか四人はまた前みたいに無暗に触ったり、キスしたりしなくなった。

つがいじゃない男性に触れられるのは怖いけど、つがいの四人にはもっと触られたい。

触られている間は安心するし、嬉しい。

だから観客席に背中を向けてヴェールをめくり、


「これなら大丈夫ですよね?」


そう言うと照れ臭そうに笑って唇にキスをしてくれた。

シャルルさんとレグとは違い、セトさんはじっくりと堪能するかのように色んなところを舐めたり、吸ったりを繰り返す。

途中、私の呼吸のために唇を解放してくれるけどその間も頬や目尻、額へのキスは止まらない。

うん、やっぱりつがいに触られるのは嫌じゃない。怖くない。むしろ幸せな気分。

自分自身がこんな積極的になるとは思わなかった。

帰れないから彼らに依存しているのかもしれないけど、それ以上に私のつがい達が愛しい。


「アルファさん?」

「お、俺もキスしていいですか…?」

「はい、もちろんです」


セトさんとのキスで若干力が抜けていつの間にか膝に座っていたのを、アルファさんが私の服を引っ張る。

忘れていたわけじゃないけど、やっぱり他のつがいの前でキスするのは恥ずかしいな…。

照れつつアルファさんの要望に頷けば、パッと笑顔が咲いて手の甲にキスを落とす。

手袋越しに感じるアルファさんの体温は、水浴びをしたと言うのにとても暑かった。


「鼻血が出そうになったら教えてくださいね」

「さ、最近はもう…。いや、気を付けます…!」


今度はアルファさんの膝の上に座る。

私から先に頬にキスをすると腰を掴んでいた手に力が入り、プルプルと震え始める。


「アルファ、力が入ってるぞ」

「わ、悪い! すみませんトワコさん、苦しくないですか?」

「大丈夫です」


アルファさんとたくさん触れる練習をしてきた。

唇以外だったら色んな場所にキスできるまでに成長したけど、毎回力が入って身体がプルプルと震える。

たまに苦しかったり、痛かったりするけど可愛いので許してる。

でも未だにアルファさんとは唇と唇のキスはしたことがない。

いや、あることはあるけどそれはどれも私を心配して、気を使ってのキスだ。その時のアルファさんには下心はない。あ、いや下着屋さんであったや。


「柔らかい…壊れそう…! いい匂い…」

「大丈夫そうですか?」

「だ、大丈夫です! あのほんと…こ、壊しそうで怖くて…。トワコさん可愛いしいい匂いするし柔らかいしで…!」

「お、落ち着いてください」

「でもちゃんと好きです! 出会った頃以上に好きで毎日毎日可愛くて、優しくて…っ! いつも噛みたくなるの頑張って抑えてて…!」

「できれば痛いのは嫌かなぁ…!」


抱き締める力が増していく。

好きでいてくれるのはすごく嬉しいし、首に顔を埋めて暴走しないよう頑張って自分を落ち着かせようとしているのもわかってる。

でもこのままアルファさんの好きにさせていたら爆発して下着屋さんのときと同じことを起こしてしまう…!

セトさんがいるから大丈夫だけど、他の三人みたいに主導権を渡したらダメだ!


「ダメだ、本当にもう「アルファさん、キスしますよ!」


呼吸も荒くなったので両頬に手を添え、言葉を遮って触れる程度のキスをする。

すぐに離れて表情を確認すると呆然としていたのでもう一度キスをして、軽く唇と舐めたり吸ったりするとさらに力が入った。


「トワ「ダメです、アルファさん。動いたら嫌いになりますからね」


なんかもう我慢させすぎて?るせいか、それとも私のことが好きすぎてなのか解らないけど、抑え込んだ欲望を発散させないから暴走するんだと思う。

アルファさんのペースに合わせていたらいつまで経っても危険なので私が主導権を握り、悪いとは思いつつ好きにキスさせてもらう。

言われた通りアルファさんは動かず、でもたまに応えるように唇を軽く吸ってくる。

彼の理性が切れないように…でも欲望を発散させてあげれる程度にキスして…。


「……大丈夫ですか…?」

「ひゃ、ひゃい…」


涙目で真っ赤に染まったアルファさんは誰がどう見てもメロメロ状態だ。

これがメスだったらたまらないだろうな。

なんて考えながら、最後にもっかいキスして頭を撫でてあげるといつの間にか出ていた自身の尻尾を抱きしめた。


「あ、鼻血が…!」

「す、すみませんすみません! トイレ行ってきます! セトッ!」


私をセトさんに預け、慌ててトイレへと向かうアルファさん。

何で洗面所じゃなくてトイレなんだろう…。


「見事な手綱捌きでしたね」

「考えさせすぎると暴走するかと思って…。大丈夫ですかね」

「大丈夫ですよ。それより…」

「はい?」

「わ、私ももう一度キスして宜しいでしょうか…?」

「ふふっ、はい。ぜひ」

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