勉強とほんの一時
4月は長い。学生の大半はこの卯月から新たに後輩ができたり、逆に先輩が出来たりもする。そのぶんその始まりの月が長く感じるのは何も不思議なことではないだろう。某大国は9月から新学期始まるようだが知ったことではない。
それでも、だ。俺の今年度の始まりの月は長すぎるのではないか?
あまりにも濃すぎる。カルピスで水を入れ忘れたときくらい味が強い。
それもそのはずだ。あの二人に近付かれるだけでその日一日が幸日だと言うのに、俺の新学期から今、GW前最後の土曜日までの記憶には咲優か心晴と一緒にいた位しかない。
勿論他にも些細な日常の変化はあるのだがそれを無にするくらいあの二人は存在が強すぎる。GWくらいはゆっくりしたいな...
「さっきから憂鬱そうな顔だったけどなにか私が教え間違えてました?」
「い、いやそんなことはないよ...ちょっと考え事をね。咲優の教え方は下手したらぽっと出の教師より分かりやすいと思うよ。」
「そ、それなら良かった...」
休日一
俺と咲優は揃って高校の図書室に足を運んでいた。
それが読書をするためのものなら楽しいのだろうが、生憎と今日は勉強だ。GWが明けたらすぐに実力テストだし、いつまでも遊んでいるわけには行かない。やってるのは宿題だが
「あ、咲優、質問いいか?」
「どうぞ」
「ここの現代文の小説の問題なんだけどさ、いつも思うんだけど『その場面においてこの人物の思っていることを述べなさい』ってあるけど、考えてることなんて人それぞれじゃないか?」
「そりゃあ、勿論人それぞれですよ。でも、かといって、自分で勝手に想像するのもだめ。その背景にうっすらと浮かぶ情景を掴みとるんだよ?」
「お、おう。だてに1年の学年末で総合1位取ってるだけあるな」
表面はそういっているがその裏では何もわかっていない。そもそもコミュ力が違う。でも分からないと言うのは流石に失礼だろうし、少しは勉強する空気にもなれたし俺としてもいい気分だからな
「巧樹君はもっと人の気持ちを汲み取ってくださいね」
お、おう?
「...分からないと時はちゃんとわからないって言ってね?」
「はい..」
俺もっと心にフィルターかけたい。通販で売ってないかな?
「さて、もう二時間も続けて勉強したし、お腹もすいた頃だね。」
「おぉ、そうだな!」
「...やたらと食い付きがいいですね」
当然だ!健全な男子高校生ならば、腹が減っては学びは出来ぬと言うだろう!?
「つっても、休みだから学食開いてないから、外にでも食べに行くか?前に行ってたファミレスにでも」
「...っ!?...巧樹君のお誘い、でも... 」
「どうした?もしかして、まだ腹減ってなかった?」
「い、いえ!....」
なんだろうこの空気。自然と頭のなかに虚告白の時の場面が写し出される。今度も何か恥ずかしい罰ゲームでも...?
「よ、よかったらこのお弁当食べてくれないかな!」
そういって差し出されたのは可愛らしい薄ピンク色の風呂敷に包まれたお弁当箱だった。
「マジで!?くれるのか!」
「う、うん...美味しいかは分からないけど...」
「咲優の作ったものが美味しくないわけがないだろう?ありがとな」
「////...ひゃい...召し上がれ」
なんかメイドみたいになっていたけどそんなもじもじしてる様子も可愛いいな。
「じゃあ、いただくな」
顔を赤らめた咲優に見守られながら蓋をあける。俺ら以外には図書館の利用生徒はいなかったから、二人きりという状況だ。
俺も非常に恥ずかしかったが....
味は美しかった。
図書館で飲食OKなところは突っ込まないでくせぇ
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