紅葉狩り、その後。
先輩の暖かい唇が、私の頬に触れる。
ついばむようなキスが、たくさん落とされる。
最後に唇が重なるーー。
息の仕方が分からなくて、だんだん苦しくなってきた!!
もう限界!! と思っていたら、ふいに先輩の唇は離れていった。
はぁぁーー。
「少しお茶飲む? それともする?」
?
目を丸くしていると、ニヤニヤと笑って、「れ・ん・しゅ・う」と囁かれた。
あ、あんなキスの後だから、アッチ方面かと思いましたよ!!
もーー!! 先輩のイジワル!!
わざとからかいましたね!!
持っていた小刀で挑みかかった。
くぬぅ〜。
これが憎らしい程に、防がれ弾かれる。
しかも先輩楽しそうだし!!
きぃーー!!
「そうそう。理沙いい感じ」
木刀で弾きつつ、先輩が言う。
「ただでさえ腕が短いのに、小刀って、届かないっ! ズルいです!!」
最後のひと突きを、カンッと弾かれ小刀が手から離れて、飛んでいく。
先輩の木刀が首筋にピタリと当てられ止まった。
直ぐに木刀は、離れていったけど、一瞬ドキッとして身体が震えた。
「はい。理沙の負け」
悔しい〜!!
先輩が飛んでいった小刀を拾って、手渡してくれた。
小屋に向かって、二人並んで歩く。
「くの一はね、城やお屋敷に女中として潜入して、味方を引き入れたり、酒の席に侍って重要な話を聞き出したりしていたんだ。だからかな、小刀は懐剣として女性が持っていても怪しまれないし、あと、かんざしに見せた武器とかで、身を守っていたんだよ。だから、どうしても、くの一といえば小刀かクナイかになっちゃうんだよね」
「そうなんですか」
「これも使いようなんだけどね。まあ、殺陣は動きが予め打ち合わせしてやるから、あとは迫力あるように見えるように息を合わせることと、スピードだね」
「それなんですが、先輩と打ち合いしてますけど、公演でも先輩とは敵同士なんでしょうか……」
水筒に入れた温かいお茶を、こくりと飲む。
「さあ? 脚本が出来てこないと、それは分からない。今後、理沙の動きが良くなってきたら、飛燕の練習にも連れていくよ。バイトの時に顔は合わせてるだろうけど、正式に紹介もしたいし、公演のリハーサルもあるからね」
「お客さんの前でとか、緊張しそう〜!!」
「クスクス。そうだね。でも、火の乙女、堂々としてたよ。俺もいるし、大丈夫」
「そうでしょうか〜」
先輩の手が私の頭に載せられ、ナデナデされた。
「緊張してても動ける程に、仕込んであげるから大丈夫」
今、恐ろしい事をサラリと言われた気がする……。
「よ……よろしくお願いします」
「はい」
先輩、いい笑顔ですね。
その笑顔に今は別の意味でドキドキしてます。
やると決めたからにゃ、がんばりますよ!!
「さあ、始めようか」
「はいっ!!」
先輩と私は、紅葉の美しいなかで、夕焼けが輝くまで練習したのでした。




