閑話 trick or treat ?
ハロウィンにちなんで。
あまり関係なかったかな……。
10月31日ーー。
「そう言えば、今日はハロウィンですね」
学校からの帰り道に寄ったコンビニで、ハロウィンパッケージに包まれた定番お菓子を見て、思わずそれを口に出した。
「最近頑張ってはいるけど、クリスマスに比べてまだ一般的じゃないよね」
隣で先輩が言う。
パンプキンシチュー味のおせんべい、パンプキンプリン味のチョコ、パンプキングラタンまん、パンプキンチョコのハロウィンアイス……。
明日になったら、この商品たちは何処に行くのだろう。
そして、クリスマス一色に塗り替えられてしまうんだろうな。
「何か食べたいものあったの?」
アイスクリームストッカーを、じっと見ていたからだろうか。
一個だけ残された、パンプキンチョコ味のアイスクリーム。
どんな味なのかな。
レアだそうな、ジャックランタンの形のアイス入ってるかな。
「ハロウィンアイスが気になるけど、全部も要らないなぁ……と思って」
「半分こにしようか」
「いいんですか」
「いいよ」
冷凍ストッカーから、ハロウィンアイスを取り出してレジに並ぶ。
コンビニを出て、並んで駅に向かう。
駅の待ち合いに並んで座り、アイスクリームのパッケージを開けると、オレンジ色のチョコにコーティングされた小粒のアイスクリームが4つ並んでいた。
おお!! ランタンアイス!!
何か良いこと有りそうだね♪
「ふたつずつですね」
ピックでひとつ刺して、まず先輩に差し出す。
「お先にどうぞ」
ぱくっ
ピックごと渡すつもりだったのに、『はい、あ〜ん』になってしまった……。
真っ赤になって照れていると、声が掛かった。
「あーー!! いいな〜。理沙ちゃん、俺にもっ、俺にも」
と、改札から走り寄ってきて、膝の前にしゃがみこみ、口をあーーんと開ける優駿くん。
仕方がないなぁ……。
ひとつ刺して口に入れてあげる。
「旨ーーい♪」
満面の笑みでモグモグと頬張る。
「優駿くん、帰り遅かったね」
「担任に捕まって、修学旅行のしおりの印刷手伝わされてた」
ストンと私の隣に優駿くんが座る。
「それはお疲れ様でした」
ひとつ食べようとしたら、先輩に手首を掴まれて、横から食べられてしまった。
「涼先輩〜♪明日から俺と理沙ちゃんは修学旅行〜♪」
肩を組んできて先輩を挑発するような事を言い出す。
身動ぎして肩に乗ってる腕を外す。
優駿くん、わざとでしょ?
お願いだからやめて〜!!
私は……貝になろう。
無視して残りひとつのアイスクリームを食べよう。
最後に残しておいたランタン型のをピックに刺すと、次は優駿くんに奪われた。
…………。
むか。
スッと椅子から立ち上がると、優駿くんの前に立つ。
食べ物の恨みは恐ろしいのです!!
「トリック or トリート?」
「え? え?」
優駿くんが自分の鞄をゴソゴソして、献上するお菓子を探している。
お菓子が無かったのか、涙目になって優駿くんが、おずおず言う。
「ト……トリック?」
よく言った……。
パッケージに付いていた、かぼちゃお化けのシールを剥がして、優駿くんのおでこに貼る。
「家に付くまで剥がすの禁止!!」
ふーーんだ!!
「理沙、こっち向いて、あーーん」
?
呼ばれて先輩の方に向いた途端、口にぎゅっと何かを放り込まれた。
甘い……。
オレンジの味のキャンディ。
「これで許してあげて」
先輩に言われて、渋々おでこに貼ったシールを剥がしてやる。
「涼先輩、俺もあーーん♪」
優駿くんが、先輩にも擦り寄って口を開ける。
「はい」
にっこり笑った先輩は、袋のままのキャンディを優駿くんの手に乗せた。
「ちぇ~。 あーー!! 俺も彼女欲し~い」
「理沙はあげないからな」
「分かってますって」
その時、駅のホームに電車が滑り込んできた。
私と優駿くんは、電車に乗る。
「お土産買ってきますね」
「楽しんでおいで」
はいっ!!




