最終章「私はお金払うのに、お金もちのアイツが払わないのは不平等!」
「もう~! 武宮様はこんな素敵な方なのに、みんな勝手ですよ!」
勤務が終わり、書類作成でもしようかと指令室へ上がると、観月がなにやらプンスカ怒っている。
指令室の中は、そろそろ帰りになるためか、ラフな空気感だ。支部長はいないが、朝倉、観月などの女性職員達がいる。
「なにかあったか?」
「おわうっ!? た、武宮様!」
観月が顔を赤くする。朝倉があはは、と微笑んだ。
驚かせてしまったようだ。
「え、SNSを見たら、すごく許せないことが書いてあったので……武宮様が傷つけられるのは、すごく許せないですっ」
観月がそんなことを言ってくれる。武宮は席に座りつつ、パソコンから顔を上げた。
「SNS?」
朝倉の方がこくりとうなずいた。
「訴訟をやめてほしいとか、そんな発信がバズっていまして……同情を誘っているんだと思います」
「まためんどうな……」
武宮はため息をつきつつ、携帯を確認する。SNSのアカウントへたしかにDMが届いていた。
今どきなもので、探索者協会から公式アカウントを作るように言われているので、一応確認したのだが……騒動中ということもあり、ひどいDMが送られていた。
――すいませんでした。反省しているので、訴訟を下げてください。
――おかねもちなんだから、もういらないでしょ。
――女ばかりを悪者扱いして、恥ずかしくないんですか?
――そもそも、訴訟するほどの事態じゃないと思います。お金をまき上げようだなんて、ひどいです。
そんなようなDMが、大量に来ていた。
どうやら慰謝料の請求が怖いようである。
そもそもこの人達に関しては、訴えているのは探索者協会なので、べつにどうもできない。
「武宮さん! こんな人達の言う通りにしなくていいですからね! やっつけちゃいましょう!」
観月がしゅっ、しゅっ、となぜか拳をふるう。彼女がやるとなんとも可愛らしい仕草にしかならない。
武宮はほっこりした気分になった。そんたくのある協会とはまた違う、純粋な心配と優しさが身に染みる。
「ありがとう。大丈夫だ、訴訟を下げることはないよ。まあ、そもそも原告は協会だけどな」
「イタ電とかすごかったらしいですからね~。中々の損害賠償になりそうですよね」
「だろうね」
観月の言葉にあいづちを打っていると、朝倉が顔を赤くして、なにやら彼女も一緒に怒ってくれた。
「わ、私も、武宮さんを悪く言われて、許せないですっ。こんなひどいことを言われるような人じゃないのに!」
「朝倉もありがとうな」
健気な様子が可愛らしかった。観月が「むむっ。対抗された!」と声を上げる。
ついでなので、SNSで発信してやった。
『――DMで謝ってきて、訴訟を下げるように言われました。反省しているようなので、ぜひともそのお気持ち表明のため、慰謝料を探索者協会へ払ってください! あと、お金もちなんだからいらないでしょって書かれましたが、原告は探索者協会です』
発信はバズりにバズって、様々なコメントがついた。「イタズラ電話もあったらしいですけど、その人達もちゃんと訴えていますか?(笑)」「事実無根のモラハラを拡散しておいて、訴訟下げてくれって……反省してないんだろうなぁ」「訴えている相手もちゃんとわかっていないのか。ヤバすぎだろ。事態の大きさをわかっていないのか」「お金持ちなんだからいらないでしょって、意味わからんな。払いたくないだけだろ」「昔、武宮さんに助けてもらった探索者です。とても優しい人で、今でも感謝しています。これからも応援してます」
☆
汚嫁こと真由美は発狂していた。
「なんで私がアイツと探索者協会に慰謝料なんて払わないといけないの! おかしい!」
母親に当たりちらすも「そ、そうねぇ」「仲直りしてきたら、どうかしらぁ?」「おかしいわねぇ」とふんわりとした返事をするばかり。
帰って来た父親にも問い詰めた。
「これ、どうなっているの! 協会のことなんて、見逃してくれてもいいじゃん! むしろ被害者は私!」
「そ、そうだなぁ。けど、なんというか、こうなってしまったというか……」
「おかしいおかしいおかしいおかしい!」
真由美はじたんだを踏んだ。
「私はお金払うのに、お金もちのアイツが払わないのは不平等! だまされないんだから!」
真由美は息まいて弁護士などにかけあうも、協会・離婚共に敗戦濃厚な弁護などするわけもなく、真由美の手元には多額の慰謝料請求書だけが残った。
たんまりお金もらってのんびり過ごすつもりだった。
しかし現実は、1円たりとも貰えることはない。
「あおおおおおおおおおん!!!」
よくわからない叫び声を上げながら、自室で「日本は男尊女卑。わたしばかりがお金を払わなきゃいけないなんて、絶対にまちがっている」などと発信したが、もはや誰にも相手にされることはなかった。
ここまでの閲覧、本当にありがとうございました! 私の実力不足により、数字が伸びない状況が続き、一区切りのつくここで最終章とします。
もし読んでくださった方がいらっしゃったら、こんな形の終わりで本当に申し訳ないです!
さて! もう「次」へ行くため、連載中の作品の宣伝になります! こんなことではくじけません!
タイトル「【透視チート】会社クビになったチー牛が、ダンジョン配信でバズって人生変わった」
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もしよろしければ、今後ともよろしくお願いします!




