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第2章 その15 その過ぎた好意






陳列されている商品を眺めながら、『みどりの窓口』店長ことセーナさんと念話で色々話す。

が、長居できるほど暇ではないし、エミーに不審に思われても困るので、早めに切り上げて店を出る。今度は『一人で(・・・)』来る事を約束した。


「ほな、また来てや〜。待っとるでぇ〜」


エミーには念話での会話は気付かれていない。なにせ店内を見ていたのは10セクルほどだったから。まぁ実際、商品を見ながらどういうものが役に立つかとか聞いていたからね。


『しっかし、器用なやっちゃなぁ〜。お母さんと会話しながら、念話で私とも話しとんのやろ?傍目で見てたら不気味やで』

『ん〜才能(スキル)のお陰もあるし、慣れですかね』


当然、店を離れているのだが、未だに念話で話し掛けてくるセーナさん。そろそろ話せなくなるから止めたいんだが。


『じゃあ、念話切りますよ。また来ますから』

『あ〜、悪かったわ。楽しくてつい、な。またなぁ〜』


念話を電話みたいな使い方しないで欲しい…いや切り出したのは私の方か。一応、スマホも持っているが、この世界じゃアンテナ設備を設置するのは無理があるしなぁ。

さて、気持ちを切り替えて…今度は武器屋に行きたい。


「母様、今度は武器屋に行きたいけど…」

「武器屋?じゃあ、ヴァルドゥの店ね」


やっぱり母様の剣はこの街で購入…銘が入っているから、鍛冶屋かもしれないな。エミーと手を繋いで歩く。こういうのも考えたら、初めてなんだよな。前世で…感傷に浸ろうとしてたら、直ぐに着いてしまった様だ。看板は剣が彫って描かれてるだけの、シンプルかつ分かり易い。結構大きくて、店舗部分と鍛冶スペースが一緒になっている様だ。入ると『カラーンコローン』と鳴った。思わず、扉を振り返って見るとしっかりドアベルがあった。うん、なんか安心した。


「…らっしゃい」


商品の整理でもしているのか、武器を抱えて作業しながら背中越しに挨拶してくる。身体付きはしっかりとして筋肉隆々としている。身長は160セメルくらいか。黒髪短髪だが、もみあげから顎まで豊かに生えている髭の立派なこと。感嘆としていると、エミーが男に話し掛けた。


「ヴァルドゥ、久し振り。ウチの子、連れてきたわ」

「ん〜?エミーか?久しいの」


簡単に商品の陳列を終えて、振り向く男。詳細解析をすると、ドワーフだった。うん見た目…というか想像していたファンタジーの定番だよな。私の方を見て検分したところで、確認してきた。


「それがエミーの小倅か?まだ小い(こんまい)のにしっかり鍛えている様だの」


ヴァルドゥさんは、側に来てペタペタニギニギと私の身体を触ってくる。ちょっと痛いんですが。


「そんで、今日は何用だ?剣の手入れか?」

「其れもあるけど、この子が武器屋に来たいって…」

「解体用のナイフと、私でも使える武器が欲しくて」


「そうか」と返事をしたヴァルドゥさんは、直ぐに商品棚に向かい徐に一振りのナイフを鞘から抜いて持ち手を返し、差し出してくる。幅も刃渡りも15セメル程の片刃ナイフ。表面は薄っすらと蒼く、年輪を思わせる様な筋が入っている。ふむ、悪くないな。


「おめは、解体も筋が良さそうだ。此奴なら竜鱗も剥ぎ取れん(る)ぞ。なんせ青竜の鱗で出来てるかんな」


竜とか基本的に戦わないってか、未だ子供が立ち向かうのも無理があるだろう。其れに竜の鱗って高級品じゃないのか?そんなお金持ってないぞ。冷や汗を垂らしていると、意図している事が分かったのだろう。


「其奴は、他の武器を作った際の余んもんだ。だんら、金貨1枚にしといてやる」

「ちょっと!?ヴァルドゥ?どう見ても、金貨1000枚はするわよ?そんな…」

「儂が此奴を気に入ったんだ。そんでいい」

「だからって…」


私を気に入ったからって、いくらなんでも安過ぎる。別の意味で冷や汗出てきたわ。


「どんせ、此奴も通いになんだろ?そんでいい」


…ん〜、ま、まぁ、確かにヴァルドゥさんの店だから、いずれ通うとは思う…が、なんか後が怖くなるんだが大丈夫だろうか。せめて他の事も頼もう。うん、その方が少しは…。ウエストバッグから武器を1つ、ヴァルドゥさんに差し出した。


「あ、あと、この短槍も見て貰えたら良いのですが…」

「…スコルピオニードルの短槍か。刃は悪くないが手持ちが悪いな。どれ、使えそうなんに変えてやろう」


短槍の良し悪しを見て、店の奥に入っていくヴァルドゥさん。奥からゴソゴソ、カンカン、シュリシュリ聴こえてくるんですが、ちょっと待って。手入れして欲しいだけなんですけど、加工までしてませんか?

ほんの5ミネル(分)程で帰ってきたヴァルドゥさん。手に持った短槍が、別物になってますが…。


「おめが、使うには長過ぎんし、手持ちが中割れしてたから外して新しい手持ちん(に)した。白銅だが、矢車菊を模した棍を加工しスコルピオニードルの穂先を付けた。長さは刃先含め80セメルだんら、暫くは使えるだろ」


オカシイ。結構ボロかったのに、別物に生まれ変わっているですよ。なんばしよっと、こん人。驚き過ぎて思考まで変な日本語になりますよ。


「んじゃ、合わせって金貨2枚な」


おいおいおいおいおいおい。いくら合わせでも安いんじゃなかろうか?それに研ぎだけなら未だしも、作り変えてる時点でもっとするでしょ?エミーを見ると「もう其れで支払いなさい」と呆れ顔で溜息をついてくる。どっと疲れながら金貨を1枚と銀貨100枚を出す。どちらにしろ、これでお金はほぼすっからかんなのではあるが。いや更に借金背負った気分になってるのはどうしてだろう。



これは将来、本気の通い店にしなきゃヴァルドゥさんに申し訳無さ過ぎるよ。




誤字脱字等ありましたら、ご報告頂けると幸いです。読んで頂いた方々に感謝を。


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