語らい
文章が雑になってきているような…。
こうしたほうがいいよって意見あったら、聞かせてください参考にしたいと思います。
カラ(勇者)とレオン(魔王)が再会してから、二週間が経っていた。
カリンは惜しみない愛情をカラに注ぎ、その世話を楽しそうにして過ごし、ミナとエマはそんなカリンを手伝いつつ、カラを愛でる生活を送っている。
生後一ヶ月の赤ん坊であるカラとしては体が思う通りにならず、食事から下の世話までカリンに任せっきりという状況に情けないやら恥ずかしい思いを味わっていた。その他にも心を重たくする事実があったのだが、それに関してはもうどうしようもないので諦めている。
今日も早朝から恥ずかしく申し訳ない思いをしながらカリンの乳房に口をつけ、赤ん坊の主食である母乳を喉に流し込んでいるとカラとカリンに与えられた私室の扉がノックされた。
「はーい」
カリンはベッドに腰掛け、授乳を続けたまま返事をすると扉の向こうから幼い子供の声が返される。
「おはようございましゅカリン様、レオンでしゅ。今日も朝食前で悪いのでしゅが、カラ嬢を見にきました、よろしいでしょか?」
「はい、おはようございますレオン様。鍵は開いてますから、そのままお入りください、今ちょっと手が放せないので」
「では、失礼しましゅ」
許可を得たことによってレオンが扉を開け中に入ると、授乳をするために胸をあらわにしたカリンと授乳を受け続けるカラの姿を目のあたりにしてしまい予想外の光景に全身が硬直した。
そしてレオンは妙齢の女性の裸をわざとでは無いとはいえ無許可で見たことに対する自分への怒りで顔に朱が入り、カラは自分が授乳を受けている姿をレオンに見られたことによる羞恥で身体が強張りみるみる顔が赤くなる。
カリンとしては三歳児の子供であり二週間毎日のように顔をあわせ、ある程度は気心の知れたレオンに裸を見られたからといって特に気にはならなかったので招き入れたのだが、それが二人に与えた衝撃と心の傷は中々に大きかった、
そんな無自覚で無防備のカリンにレオンの後から入ってきた男性によって断罪の斧は振り下ろされることになる。
「おはようカリン殿。今日は…!?」
「へっ?」
「父上!! 入ってきては駄目でしゅ!!」
「ひきゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
次の瞬間、我に返ったレオンが一緒に部屋を訪ねにきたアークを振り返り撤退の叫びを上げだが、それは次に上がったカリンの悲鳴によって掻き消された。そして胸を隠すために身体全体を柔らかい双丘に押し付けられる形になったカラは羞恥と涙腺が限界に達して赤ん坊のように泣いた。
朝から館中を響き渡った悲鳴は隣室で身支度を整えていたミナとエマは当然として、館で働く使用人達の耳まで届き、ハスラー達使用人が何事かと集まった時には、部屋から聞こえてくるカリンとカラの泣き声と扉の前で謝罪の言葉を言い続けるアークとレオンの姿があった。
そんなことがあり朝食前にアークとレオンが改めて頭を下げるとカリンがまだ赤い顔をしながら謝罪を受け、自分も思慮が足りなかったと反省してお互い謝罪が終わるとテーブルの上に食事が並べられ、神と精霊次に食材を作ってくれた人々に感謝して朝食が始まった。
黒麦を使ったパンは焼きたてで柔らかく噛めば噛むほど黒麦の良い香りが口の中に広がり、羊の腸詰めは皮をパリッと焼かれ噛み切れば肉の中に混ぜ込まれた香草が香り程よい肉汁が舌の上を踊る。トウモロコシを煮越したスープはコクがあり程よい塩味が食欲を増し、みずみずしいままに切られた色とりどりの野菜にはレモン汁とオイルを混ぜ合わせ塩・胡椒で軽く味付けされたドレッシングがかけられシャキシャキとした食感でいくらでも食べられた。
それは豪勢なものではなかったが手間暇がかけられたものであり、王宮での食事を経験したことがあるカリン達から見ても美味しいものだった。
朝食が終わるとカリン達は部屋に戻り、ミナとエマは街に見物に行くといって出かけていき部屋にはカラとカリン、そしてレオンが部屋に残っていた。
カリンがアークから借りたルードゥス連合国で流行ったているという恋愛本を読んでいる横でカラはベッドに横になりレオンから念話の使い方の手解きを受けていた。といっても傍から見れば寝ているカラの横にレオンが座っているだけに見えるのだが。
『念話というのはこの世界の魔法の基礎となる魂魔法の一種で今私が使っているこれがそうだ。これが出来れば会話もまともに出来ない現在のお前でも私との会話が可能だ。嬉しかろう? まず魂魔法についてだが、これは私達が元々いた世界の魔法と似ているな。魂を通じて世界に干渉し起こしたい現象を世界に認識、又は誤認させてその現象を発現させるというものだ。応用は多岐に亘るが今は念話に絞って説明しよう。念話は自分の魂の波動を相手に送るものでイメージとしては魂から波のように意思を送る感じだ。注意しないといけないのが波である以上送りたい人間との間に人や物があった場合傍受されたり、妨害されて相手に届かない場合がある。それからくれぐれも私以外に念話を飛ばさないようにしろ。念話は魂魔法の中でも難易度が高い、産まれたばかりの赤ん坊が仕えるものじゃないからな。まぁおそらくお前なら簡単にできると思うが(実際私も簡単にできた)』
カラとしても成人の思考を持つ現在、赤ん坊のままならない身体に辟易していたのでレオン限定とはいえ会話が出来るだけでもありがたい。念話の習得のために目を瞑ると、かっての世界でしていたように自分の魂を意識する。慣れ親しんだ感覚で自分の意思の深層に潜っていくとそれはあった。
真っ暗な暗闇の中に銀色に輝く恒星。女神との戦いによって大部分が削れて減ったとはいえ、人であった頃とくらべると百倍程の大きさになった球体に渦巻く力の奔流。
それを意識して近くに感じる黄昏色の魂に語りかける。
『また会えて嬉しいよ魔王殿』
と。それは上手くレオンに伝わったようで、その整った顔に微笑を浮かべて。
『ああ、そうだな。悪くない…… 悪くない再会だ。なぁ勇者』
お互いに、『勇者』『魔王』と呼びあうのは今が最後だと解っていた。
既に自分達をそう定めた女神はもういない。自分達が胸に剣を突き立て、かっての世界諸共縁は切れた。ならばお互いを呼ぶためには今生の名前しかなく。
『レオンだ。かっての勇者』
『カラだよ。かっての魔王』
それから二人は時間が経つのも忘れて語りあった。それは他愛ない内容ばかりだったが、剣を打ち合わせ魔法を避けながら語り合っていた過去と比べると、隣り合って寝転がり時には笑いを交えた語らいは万金に値すると思えたから。
どれだけ時間がたったのか――― 語らうことも少なくなってきた頃、レオンはカラについて気になっていたことを口にする。レオンとしては歯切れが悪く言い辛そうではあったが。
それはカラの心を重くする原因についてだった。
『それで確認なんだが――― その… 女として産まれたというのは…… 事実か?』
『……… 事実だよ』
そう、前世では男として生きていたカラは今生では女として産まれてきていた。確かに二分の一の確率であり、どちらかを生まれる前から選べるわけではない…… のだけれども。
それでも初めて自分の身体を見た時、あるはずのモノが無い喪失感に涙したことは許されても良いと思う。あえて目を逸らしていた事実を突きつけられ、また目尻に涙が貯まってくる。本当にどうしたら良いのか分からないのだ。
『そうか…… 気にしないことだ。まだ時間はあるからな大人になるまでにどうするか決めればいい』
などと柄にもなく優しいことを言ってくれるものだから。
『ああ、そうだねぇ』
それだけでどうにかなるかもしれないと思ってしまって、決壊寸前だった涙が頬を流れた。
やっと主人公達主体で話を造っていけそうです。




