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【外伝~カイトシェイドくんの異世界ダンジョン攻略記~】②


 ヤツの話をまとめるとこういう事である。


 どうやらシュガーさんの世界では、異世界の住人に『向こうの世界のダンジョン』を攻略させ、その様子を仔細に記録し、娯楽商品として売り出す、という能力者が居るのだそうだ。

 その様子が滑稽であればあるほど良いらしい。


「私たちはこの窓から様々な世界を覗き見できるんですよ」


 そう言ってポケットから取り出した黒光りする板を彼がつつくと、様々な世界の様子が映し出された。

 確かに。

 中には、冒険者のようなグループが大型モンスターらしき獣と戦う姿が映し出されたり、どっかの宮廷……かな? 男女の愛憎劇が展開されていたり、冴えない男が美少女ハーレムでモテモテになっていたり、有能な青年が古狸なおじさん達とバチバチしのぎを削っていたり……


 どうやら「様々な世界を覗き見れる」というのは間違いが無いようだ。


「で、ですね? こちらの世界の皆様も中々いい味を出してらっしゃるな~、と思いまして! どうでしょう? ウチのダンジョン、結構面白いですよ~? あ、常に参加者大募集イベント開催中なので、是非、一度醜態をさらしていただければありがたいんです! 一度は攻略していただけないと、穴もふさげないことですし」


 つまり、俺達はシュガーさんから「おもしろそうな変なヤツ」認定を受けた、という訳である。

 しかし……これは……


「シュガーさん、ですよね。少々お待ちいただいてよろしいですか? リヴァイアさん……ちょっと」


 ギギギギギ……思わず首から音が鳴るような雰囲気で不定形魔王を見据える。

 つい、と、目を反らすリヴァイアさん。

 おい。とぼけてんじゃねぇぞ。


「……お前さ……あのシュガーさんってヤツの能力とテメェの能力……よく似てるよなぁ?」


「う……いや、別に、ほら、私のせいじゃないわよ!? ぐーぜんよ、ぐーーぜん!! これは、全部、サタナスくんが原因なのっ!! 」


「返答次第ではテメェのその不定形の体液に大豆発酵汁(オショーユ)を混ぜる」


「すいません! 【覗き見】が原因で相手の世界の壁に穴を開けました! 色々有ってお詫びが必要と締め上げられたのでカイトシェイドくんを紹介しましたぁぁぁ!!」


 やっぱりか!!


「だって、サタナスくんが移動しちゃってから、世界の壁が薄くなったというか……ほら、見ようと思えば、他の世界も見えるようになっちゃったのよね。だったら、情報収集が命の私が見ない訳ないじゃない? まさか、あんなに薄くなってるとは思わなかったから!」


「そんなもん、ちゃっちゃと原状復帰しろよ!?」


「それがダメなの! 世界が違うと魔法の法則そのものが違うのっ!!」


 つまり、その穴を塞ぐには、そのダンジョンを一度攻略しないとダメらしいのだ。


「あはは~……まぁ、そこは、世界が違いますからねぇ。一応、全滅した場合は救済措置を取りますよ? 今回みたいに」


「今回みたいに?」


 俺はリヴァイアさんの顔をチラリと覗くと、バツが悪そうに口をモゴモゴしている。

 これは……もしかして、自力攻略を目指して失敗しているな?


「そんな訳で、どうでしょう? というか、穴をふさいでいただかないと私が先輩に怒られちゃうので、是非お願いします」


 うーん、まぁ、俺も他人の作るダンジョンと言うものに興味が無いとは言えない。

 それに、どうも今回、このシュガーさんの領域に土足で踏み込んだのはこっち側っぽいし……

 魔法法則そのものが違うというのもかなり気になるポイントだ。


 つーか、ぶっちゃけ『異世界のダンジョン』……結構、面白そうな話である。


 いや、ちょうどハポネスの成長も一区切りついたし、ここから先の改造には必要なダンジョン・ポイント数の桁が2つくらい変わる。

 つまり、しばらくは時間を潰して、ダンジョン・ポイントの増加を待たねばならない小休止のタイミングだったりしている。


 答えは最初から決まっていたようなものだ。

 俺はにっこりと微笑んで、伸ばされていたシュガーさんの手をグっと握り締める。


「そうですね、では、参加させいていただいてよろしいですか?」


「はい、喜んで!! あ、その際の注意事項ですが、ウチのダンジョン、基本的に一つの世界から受け入れられる人数は3人が上限です」


 ふーん。三人パーティで攻略する訳か。


「ええ、わかりました」


「なお、女性は必ず一人は入れてください。あ、二人入っても問題無いですよ」


 ……何、そのこだわり……? 別にいいけど。


「わかりました。ちなみに、天使や器物、昼夜で性別が変わるようなタイプは?」


「えっ……奇怪なタイプが居るんですね……まぁ、見た目が女性なら大丈夫です」


 ふむ、となると、ルシーファやオメガは一応「女子枠」に入れても構わないけど、ドエムンは「男子枠」ってところか。

 見た目判断だから、リヴァイアさんも一応「女子枠」にカウント可能なはずだ。


「ダンジョン内でプレイヤーである皆さん方が扱える『能力』や『スキル』、『魔法』は併せて3種類です」


「……ん?」


「それらはダンジョンに入った瞬間自動的に『カード化』されますので、ご自由にお選びください」


「ちょ、それは……一体? どういう意味だ?」


「それはここでお話するよりも、実際に体験された方が早いのでダンジョン入場時にご説明しますよ」


 それもそうか。

 よーし、じゃあ、誰と一緒に行こうかな~。




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