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164 エルフ少女の好みを調査しよう!


「……で、ボーギルの何がそんなに問題だったんだ?」


 俺は、カシコちゃんに対して、それとなく調査してもらったルシーファとネーヴェリクの見解を聞く事にした。

 何故か、俺が直接彼女に確認するのだけは「絶対にやめろ」と三人から釘を刺されている。

 

 ネーヴェリクにまでやんわりと止められたのはちょっとショックだったんだが……


 だが、そんな俺の隣ではボーギルさんが真っ白な灰のように薄っすら微笑みを浮かべ、何か諦めきったような顔をしている。


 せっかく、一応、神の端くれにクラスチェンジした男がして良い顔ではないと思うのだが……


「ハイ、一応、ネーヴェリクが確認した内容だと、一番の懸案事項はやはり『種族的な寿命の違い』のようデス」


「それに関しては、わたしも聞いています」


 確かに、エルフ族は長命で、700~800年くらいは普通に生きるし、長寿な個体は1000年以上生きる者もザラらしい。


「なるほど……人間の寿命かぁ……」


 確かに、普通の人間は丁寧に育てても120年くらいで老衰を迎えてしまう。

 ただし、ボーギルくらい……俗にいうS級とかSS級みたいな『人間にしては破格の魔力量を持つ個体』に関しては、そのセオリーを打ち破ることが可能だ。

 例えば高位魔族による『眷属化の魔法』とか『世界樹の葉』みたいな高魔力の籠った素材から作る『長寿薬』の使い方によって、その寿命をエルフ並に引き延ばすことは簡単だ。


「だが、そこが最大のネックではないと思うんだよなー」


「どういうことですか?」


「いや、単に『寿命』が問題だ、って言うなら、俺だって協力できるし……ルシーファ、今のお前だってボーギルの寿命をエルフ並に伸ばす方法なんて複数思いつくだろ?」


「う……まぁ、それは……その……思い浮かびますね」


「……何でそんな自然の摂理を捻じ曲げられるほど高次元の存在が、こんな俗で低次元な相談を真剣にしてるんだろうなぁ……?」


 ボーギルのヤツが遠い目で虚空を見つめながら呟いている。


「それより、他にもっと絶望的な要素があるんじゃねーか?」


「例えば、どんなものでショウか?」


 えー? 何だろう? 女の子に嫌われる男の要素……?


「足がくさいとか?」


「え? 俺の体臭って人間としての種の寿命より絶望的要素なの?」


「それはあり得ません! ボーギルは、ネーヴェリクが作ってくれた高魔力のお湯のお風呂に、いつもわたしと一緒に世界樹の花を浮かべて入っているんですよ!?」


「あ、そっか。天使って、雑にまとめると天然の入浴剤みたいな体質だっけ……?」


「せめて浄化と表現して欲しいんですが……」


「間違ってはいないだろ?」


「うぅ……」


 釈然としない様子ながらも、小さく頷くルシーファ。


 俺とネーヴェリクの作る浴槽に、世界最高峰の入浴剤体質のルシーファと、死者すら蘇らせると謳われる『世界樹の花』を入れた風呂なら、皮膚病だって、遺伝的なハゲだって、魔力的な呪いだって、一発で全快だ。


「アノ……」


「どうした? ネーヴェリク?」


 ネーヴェリクが何故か言いにくそうに眉をハの字にして口ごもる。


「……『結婚を避けたい男性の特徴』をサーキュ様から伺ったんデスけど……」


 おお、サーキュなら俺達よりその手の経験値は豊富だ。


「結婚は本人だけデハなく『親族に問題があるヤツは止めた方が良い』そうデス……」


 なるほど? さすが、伊達に女として年喰ってねーな。

 その着眼点は無かったぜ。


「ああ、それなら、ボーギルは大丈夫ですよ」


 だが、ルシーファがあっさりとそれを否定する。

 聞けば、すでにボーギルの両親は他界し、他に親しい親族も居ないらしい。


「……むしろ、その点で言うなら、お父様がスゴピカ様なカイトシェイドの方が……?」


 ルシーファのヤツが心配そうに俺の顔を見上げて来やがった。


「……ほほう? 変態魔王ミーカイルを弟に持つ難アリ物件が言ってくれるじゃねーか」


「……!!」


「大丈夫デスよ! ルシーファ様、カイトシェイド様なら……! 『毒を以て毒を制し』マス!!」


 あれ? ネーヴェリクさん? ちょっと待って、それ、どういう意味……?


「それに、スゴピカ様とミーカイル様って気が合いそうデスし……!」


 ドシュゥゥゥゥッ!!


 うぐぅッ!!

 ネ、ネーヴェリクの言葉が心に刺さって思わず膝から崩れ落ちてしまった。


「アアッ!? カイトシェイド様っ!? ルシーファ様ッ!? どうしてお二人共同時に!? 大丈夫デスか!?」


 ネーヴェリクの指摘……! 確かになぁぁぁぁ!!

 あの二人……なんか、妙に馬が合いそうだ!!! 接触させないように注意せねば……!


「そ、それよりっ!! 今はボーギルとカシコだ! 他に思い当たらるフシはあるか?」 


「そ、そうですよ! えーと、他には……」


 俺が気力を振り絞って立ち上がると、ルシーファのヤツもハッとしたように首を振り立ち上がった。


「子供の種族の問題でしょうか? エルフ族は長命な反面、子供が生まれ辛い種族なのと、遺伝的に劣性の性質があるせいで、人間と婚姻を結ぶと、生まれる子供の5割がハーフ・エルフで、残りの4割が人間。完全なエルフとして生まれる子供が1割に満たないのが問題視されているみたいですね」


「それなら、問題は解消されてるんじゃねーか? スゴピカの所業のおかげで、亜神にクラスチェンジしてるからな。子供の種族くらい選べるだろ?」


「そ、そうなのか!?」


 ボーギルが驚愕の表情を浮かべている。


「多分、な」


 まぁ、ダメでも確率10分の1もあるならそんなに悪くないだろう。

 魚人ギルマン族の中には、出産した子供が成人する確率が3憶分の1なんていう種も居たりするらしいし。

 ボーギルの種族が亜神だから、ハーフが生まれてもきっとハイスペックになるだろう。

 エルフの長老達だって、それなら納得するはずだ。



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― 新着の感想 ―
[気になる点]  スゴピカ様とミーカイル様のフラグが立った?  いえ、腐女子的なフラグではなく。
[一言] >エルフの長老達だって、それなら納得するはずだ。 あれ? この出生率の情報をエルフの長老たちに伝えたら、 カシコ以外の女性エルフも一緒に押し付けようとする未来が見える気が(笑)
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