161 精霊の愛を打ち返そう!
「え~? もう、照れなくてもいいのに~。俺はちゃんと、ウチのかーくんに一定以上の好意を抱いている子しか呼んでないよ?」
自信満々の笑顔で白い歯をより光らせるスゴピカ。
「友愛と親愛と恋愛の区別が付かない辺りが完全に旦那の血縁者だなァ、おい!」
おい、聞き捨てならない事を耳にしたぞ?
せっかくネーヴェリクの照れ顔を堪能していたのにどういう意味だそれは?
「確かに……ボーギルの言うとおりですね」
ルシーファのヤツも、うん、うん、と頷いている。
「カイトシェイドとスゴピカ様は、似ていないようでそっくりですよ」
「失礼な!! どこが、あの身勝手なノリのヤツと俺が似ているって言うんだよ!?」
「感性が同じじゃないですかっ! ……でも『寵愛枠』に男性だろうが器物だろうが、一切こだわらずにぶち込んで来るカイトシェイドよりは……一定以上の『プラスの感情』を持つ『生命体』だけを抽出している分、父親ということなんでしょうか?」
「成長の度合いがものすごく少ないっ!! 無生物が生命体に変化して、多少の感情を考慮してるだけじゃねーか!!」
だもふんっ!!
ボーギルのヤツが膝から崩れ落ちてコケむした地面を叩きながら叫んだ。
「だめだ、この父子! 何でこの恋愛音痴野郎にいきなり3人も嫁を持たせようとするんだよ!! 一人で十分すぎるだろっ!?」
「あれ? 知らないの? ホラ、『産めよ、増えよ、地に満ちよ』って聞いた事無い? やっぱり、精霊は三位一体が一番しっくり来るんだよ?」
「自分の息子にアンデッドと天使と野郎を捕まえといて、よく『産めよ・増えよ』と言えたなァ!? どんな三位一体だよ!? アンタ達に『混ぜるな危険』・『過ぎたるは及ばざるがごとし』って概念は無ぇのかっ!?」
おお……ボーギルのヤツがウチの馬鹿親父に歯向かっている。
いいぞ、ボーギル!
この馬鹿親父は、現れるたびに、何かこう……俺の周りを引っ掻き回すんだよなぁ……
前に出た時は、魔王城の管理係に就任したばっかりの頃で……このアホのせいで部下がネーヴェリク以外居なくなってしまったのだ。
「任せてよ、俺は『性なる精霊・スゴピカ』だよ!」
「『性なる』ってそっちだったんですね……」
「アンデッドだろうが、天使だろうが、同性だろうが、全部まるごと妊娠させられるようにできる【祝福】を贈ることだってできるんだから! さぁ!! かーくん、受け取って! パパの【愛】ッ!!」
「うわッ!? 危ねっ!! 【空間支配・裏式】!!」
カキーンッ!!
思わず、咄嗟に、スゴピカのヤツが放ってきた物騒な【愛】を打ち返してしまった。
ズギュゥゥゥゥゥンッ!!
「ぎゃーーーーっ!!!」
「「「あっ……」」」
俺に打ち返された【精霊の愛】は、ちょうど、スゴピカのヤツのすぐ近くに立っていたボーギルの身体に吸い込まれる。
と、同時に聞こえてはいけない天の声が響き渡った。
【魔王・カイトシェイドの四天王である冒険者・ボーギルは『精霊王の愛』を受けました!】
【『アンデッド・天使・同性』の生き物を妊娠させる能力を得ました!】
【『精霊王の愛』により、その存在のステージが上がりました!】
【ボーギルは亜神にクラスチェンジします!】
「……」「……」「……」「……」
当のボーギルはもちろん、俺やルシーファ、ネーヴェリクも目を丸くして思わず固まってしまった。
スゴピカのヤツまで「しまった!?」という顔をしたまま、完全停止を余儀なくされている。
え、えーと……その……
「……ど……どんまい?」
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