153 VSラフィーエル②
「よし!! だったら、ウチもダンジョン・ボスに色気要素を入れてみようぜ!」
『旦那がぁ? お色気ぇ? 木石以下のときめき不全症候群の旦那に? 男のロマンが分かるのか??』
俺の提案をボーギルがすっげぇ不安そうに腕を組んで首をかしげた。
「うるせぇよ! 分かるに決まってんだろ!! 要は、衣類を弾け飛ばせた女の子の裸が必要なんだろ!?」
『テメェ……雑にまとめやがったな……』
『そのまとめ表現が出る時点で、もうすでに不安っス……』
アルファとコギッツくんが引き攣った笑みを浮かべている。
『じゃ、念のために聞くけど、誰にそれを頼むんだ?』
ボーギルの言葉に、俺は適任者を思い浮かべる。
今回は、女の子の協力が必要不可欠だ。
いくら裸とはいえ、ドエムンやマドラをひん剥いた所で、冒険者さん達は決して喜ばない!
それは俺でもわかる!!
女装だって論外だ。
衣類の崩壊が前提にある以上、女の化粧した不気味な野郎共を量産しようものならば、評価は地の底まで失墜することに間違いはない。
……となると……
ネーヴェリクならば、俺が頼めば、きっとやってくれるに違いない。
容姿は何の問題もない美少女だし、気弱そうな表情に、清楚なメイド服……絶対に需要はある。
……だが……ネーヴェリクの裸を有象無象の野郎共に見せる?
断固却下だ、そんなもの!!
シスター・ウサミンも、胸部装甲は若い男性の股間にクリティカル・ヒットを与えられるご立派な装備をお持ちの美少女だ。しかも、お料理上手だし……
シスター独自の制服も一定の支持を得ているだろう。
しかし、彼女は現在『冒険者』役としてコギッツくんに同行してもらっている。
すでに冒険者として登録もされており、顔も知られているのに、これからボスをやって貰うのは問題アリだし、第一【月魔法】では、ダメージを追うごとに衣類が弾け飛ぶ、という演出がしづらい。
カシコちゃんも『ウグイス嬢』の仕事があるし……
それに彼女、魔王・ミーカイルの顔面をフライパンでどつきまわせる程強いからなぁ……
D級推奨のダンジョンボスにしては強すぎて向かない。
しかも、カシコちゃんの属するエルフ族って婚姻にまつわる掟だか何だか……結構、他人に裸を見せる事を忌避していた種族だ、とボーギルが言っていたのを聞いたことがある。
多分、頼んだ所で拒否されるのが関の山だ。
サーキュのヤツなら喜んでやってくれるだろうし、本来、お色気系はコイツの独壇場。
だが、ぶっちゃけ……今は、脱がない方が魅力的。
それに、コギッツくんの話だと、女の子達は、脱がされて逃げ出すから逆に野郎共の興味が引けている訳だろ?
サーキュの場合、脱いだら迫って来そうで怖いもんな。
無論、急遽、高性能な風呂で若返らせる事も可能だろうが、それでもやはり美少女三人に対して戦いを挑むには荷が重すぎるだろう。
うーーーん……ケイトラさんたちの中で誰かやってくれそうな魔族が居るかな~??
でも、あっちは海上交通の要として、交易関係を一手にまかなって貰っている。
となると、奥の手だけど……ルシーファのヤツを成長させて脱がすか?
でも、アイツ……この手の依頼に対して「わたしは構いませんよ」とかって、気軽に引き受ける癖に、本心ではすッげぇ嫌がってて、どっかで涙腺崩壊するか、体調不良でぶっ倒れそうなんだよな~……
中央神殿で、ずーっと服を着せてもらえずにひたすら虐められてたのが半ばトラウマなのに、何で「嫌だ」って言わないんだろうな?
ミーカイルのヤツも隙あらばルシーファをひん剥こうとするから嫌われてる訳だし……
オメガは夜だけ女の子っていうちょっと特殊枠だし……ん?
待てよ……
「よし、適任が居るぞ! オメガだ!!」
『オラァッ!!』
どばきッ!
「うごふッ!?……あ、アルファ、てめぇ……まさか【会議空間】で魔王である俺のみぞおちに一撃入れるとは……や、やるな……!」
コイツ、いつの間にこんなにレベル上げてたんだ!?
つーか、ここの空間、ダメージ入るんだな……知らんかったわ……
思念体だからノーダメージなのかと思っていた。
そんなとまどいを知らないアルファのヤツが顔を真っ赤に染めて激怒している。
『ふざけんな、テメェ……! まだあんなガキなオメガに何をさせようって言うんだ!? ア”ァ”!!』
「オメガなら【幻覚】系の魔法が使えるだろ? しかも、アイツ、他人の記憶や思考を見ることも出来る!! つまり、俺やお前たちの思考を読んで貰って『ちょっとエッチな感じの色っぽい妄想』を具現化してもらうんだよ! なかなか良いアイディアだろ?」
『『『…………』』』
……ふいっ……
「あれ?」
なんか、全員からそっぽ向かれたんですが?
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