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142 来客を迎えよう!


 そんな訳で、ミーカイルとの交易は無事軌道に乗っている。

 こちら、ハポネス側からは主に植物性資源であるマンドラニンジン、スパイス、香料、コンブー草や妖天蚕マギ・シルキーの布等が主力製品。逆に、こちらは金属系、ミスリルやオリハルコン等の素材を中心に交換している状態だ。


 双方ともに、かなりの利益を出しているようで、あのダーイリダ殿も最近は、俺を極端に敵視しなくなっている程だ。

 もちろん、人材の交流も盛んになっている影響で、近隣の町々からも、ウチのハポネスへの来訪者が増えてくれたのは大変ありがたい。


 人口流入によるダンジョン・ポイント増加、美味しいっ!!


 なお、交易では、一番良い値段が付いたのが、ルシーファに頼んで育てて貰った『世界樹の葉』だった。


 取り木により、ガッチリと冒険者ギルドの屋上に根を張った世界樹さんは、にょっき、にょっきと成長し、あっという間に、ここ、ハポネスで一番デカい木になってしまったのだ。


 冒険者ギルドの建物? ああ、うん。半分、木に抱き込まれているね。

 ガッチリホールドで世界異種格闘技戦・石造りの建物VS植物の根! みたいになっているね。

 それでも、建物の内部はそんなに被害が無いみたいだから、ボーギルもカシコちゃんも気にしていない。


「こんな短期間で世界樹をココまで育てるなんて、やっぱり姉さんは凄いね」


 唐突に俺の後ろからミーカイルのヤツが声をかけて来た。

 どうやら、また出向して来たらしい。


「……ミーカイル、お前、何でまた突然ここに居るぅぅぅええええ!?」


 振り返ると、顔面の半分が何故かパンッパンに腫れ上がった魔王・ミーカイルがそこにいた。


「どうしたの!? お前、顔面半分満月みたいになっちゃってるけど!?」


「ウン……あの『世界樹』って姉さんの生活排水で水やりしてたら、急激に成長したって聞いたからさ。ボクも姉さんから直接生活排水を吸い出そうとしたら、あのエルフの娘にフライパンでどつかれてさぁ……」


 あー……カシコちゃんから制裁を喰らったのか。

 それにしても……


「直接、生活排水を吸い出す?」


「え? 知らないの? 尿は空気に触れる前は雑菌も他者の魔力も含まれていない奇麗なものだから直接吸い出s「【空間支配・壱式ビック・バン】!」


 ドギュォンッ!!


「ギャーーーッ!! ちょっと!? それ、ここで放つような術じゃないよね!?」


「安心しろ、みね打ちだ」


「攻撃魔法に峰もクソも無いでしょ!?」


「つーか、お前、そんな事しようとするから、ルシーファにガチで嫌がられてるんだよ! 気づけよ!」


「何で!? こんなの、姉弟間の可愛いスキンシップじゃないか!? サタナスみたいな酷い真似はしてないよ!?」


「テメェの触れ合い方が過剰にアグレッシブ過ぎて、もはや犯罪の域なんだよッ!!」


「だから姉さんを早く育ててって何度も言ってるだろ!?」


「年齢条件関係無ぇよ!! 本人の同意がなければ行為そのものが犯罪だっつってんだろ、タコッ!!」


 この魔王は……ウチに来たら、いっつも、ルシーファ泣かすまで構い倒して、ボーギルかカシコちゃんに怒られて、シスター・ウサミンのココル・プディングを盗み喰う……しか、やって無いよな!?

 

「だいたい、お前、ホントにナニしに来たんだよっ!? お前がわざわざ直接こっちに来るってことは、交易路に問題でも発生したのかと思うだろ!?」


 一応、念のため、最初の航海では防衛目的で、ドエムンに龍引船に同船してもらったのだ。

 アイツはもともと木製の扉だったから、水には強いだろう、という想定の元の人選である。


 ……別に、この変態魔王(ミーカイル)への当てつけで、ウチの筆頭変態を送り込んだ訳では無い。


 その際に、何故か、海上特化型ではない、ごく普通の魔族が襲って来たのだが、ドエムンの他に同船していたA級冒険者のパーティによって撃ち落され、海の藻屑と消えたらしい。


 ……大魔王イカとか、シチニンミサキとか、幽霊船とか……そういう海上特化型以外の魔族が龍引船を襲ってくるのは、珍しいんだが……?

 テリトリーから追い出されたはぐれ魔族だったのかな?


 目ぼしいトラブルと言えばそのくらいだ。


「ああ、うん。もちろん、姉さんと触れ合うって言うのはボクの基本スタンスなんだけど、今回は別件だよ」


 別件があるなら、それを早く言え!


「ボクの友人のラフィーエルが次の船でここに来るよ」


「ふぁっ!?」


 ラフィーエルって、確か、北の魔王……だよな!?


 ミーカイルは、懐から取り出した『世界樹の葉』……恐らく、ルシーファのところに行った時に1枚ちぎって来たのだろう……それをクルクルと回しながら半分腫れあがった顔で微笑んだ。


「なんでも、ラフィーエル……君と『ダンジョン・バトル』をしたいみたいだよ?」


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― 新着の感想 ―
[良い点] カシコちゃん。 フライパン攻撃的防衛。 カイトシェイドの正しい指摘。 アユタヤの遺跡のような世界樹&冒険者ギルド。 カシコちゃん&ボーギルに反撃はしないでいるらしい魔王ミーカイル。…
[一言] え、生活排水って比喩?
[一言] 打ち落とされた悪魔・・・サタナスかw
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