141 新生マドラを仲間にしよう!
結局、マドラの残骸を運び込んだ4人は仲良くヌルヌルのぐっちょぐちょになっていた。
「……は、鼻って、麻痺するものなのね……」
「でもねぇ、匂いで、涙が、止まらないねぇ……」
「ふ、風呂、行って来て……良いか?」
おう、是非行ってこい。
なお、流石にドラゴンの腐肉の塊をハポネスの街に運び入れることができなかったので、黒の森の中で、俺のダンジョン・エリアになっている部分に運び込んである。
「カイトシェイド様、魔法石はきちんと持ってきマシた、ご安心くだサイ」
疲れた様子のサーキュやアルファ、オメガに比べると、ネーヴェリクは割と平気な顔をしている。
この辺りは、やはり慣れの問題だろう。
伊達に魔王城で汚れ仕事をこなしていない。
「ああ、サンキュ! よし、じゃ……まずはコイツを何とかしてやるか」
確かに、目の前で見ると半端に魔力やら残留思念らしきものが残っては、いる。
しかし、魔族の命とも言える魔核、そして能力の源とも言える心臓はえぐり出されていて残っていない。
さて、鬼が出るか蛇が出るか……
「魔族進化【眷属化】!」
俺の魔力と引き換えに、小山ほどもあった腐肉の塊がみるみるうちに小さくなり、新たな魔核の輝きと同時に、そこに立っていたのは、見覚えのある男の姿だった。
「……こ、これは……」
【名前:マドラ 種族:竜人】
おー……正直、元の魔龍と比べると若干、弱体化している種族ではあるが、まぁ、あの腐肉の塊だったことを思えばマシな姿なんじゃないだろうか?
「よぅ、久しぶりだな、マドラ。気分はどうだ?」
「……か、カイトシェイド?! ……いや、我が主、か」
胸元の新たな魔核に触れて、ゆっくりと瞳を閉じては何かを考え込んでいる。
「お? もしかして、記憶があるのか?」
だが、何故か、その言葉を聞いて、自嘲気味に笑うマドラ。
「……俺様はそこまで頭が良くは無い事はお前が一番よく分かっているはず。記憶も常識もあの世に置き忘れて来たわ!! 魔族の世界は力こそパワーよ!」
そして、静かに俺の前に額づいた。
「今の俺は、ただの一兵卒にございます……魔王様。これまでの数々のご無礼、失礼いたしました。何なりとご命令を」
「い、違和感がスゲェな……」
人化している見た目が生前(?)とほぼ同じだからな……
何か、こう、目の前でかしこまられると、すこし気まずい。
いや、だって、マドラってうちのじーちゃんが魔王やってる時からそれなりに部隊長とかやってたし……お前、そんな、俺にかしずくタイプじゃなかっただろ!?
「……ちょっと、マドラ、アタシ達にも感謝して頂戴!」
サーキュの言葉に目を見開くマドラ。
どうやら、他のメンツにも見覚えがある、と気づいたらしい。
「……ふ、随分と雰囲気が変わったな、サー……いや、お初にお目にかかります、サキュバス殿」
「もうっ!! わかったわよ、そういうことにしておいてあげるわよっ!! せっかくアタシ達が連れて来てあげたのに! 馬鹿っ!! さ、皆、お風呂行きましょう! お風呂っ!!」
サーキュのヤツがプンプンしながら風呂場へと向かって歩き始める。
「あー……アルファ、マドラの面倒は頼む。マドラも、皆から話を聞いて適当にやってみてくれ。何か頼みたくなったら呼ぶわ」
俺の言葉に「ははっ!」と、了承の意を返して立ち上がるマドラ。
その姿は、一兵卒、と呼ぶには少し貫禄があり過ぎる。
「フンっ……おい、魔龍王さんよ、今度はいっぺん、サシで闘ろうぜ?」
「くくく……願っても無い事よ! 小童!」
まぁ、意外な拾い物もあったけど、これで無事に交易準備は整ったぞ!
予約投稿……日付間違えた(^^;)もう1本UPします!
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