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111 第七魔王会議


 そもそも、俺が魔王就任した事を知っている者はハポネスの住人以外に存在しないはずなのだ。


 何でコイツがそんな事を? という不信感が顔に出ていたのだろう。


『ああ、突然、ゴメンね! 実はね、だいぶ昔に行方不明になった僕の姉さんに似た魔力を持つ魔族が『西』に居るって噂を聞いて、シシオウに探って貰っていたんだけど……残念ながら、僕の可愛い部下であるシシオウがサタナスに喰われてしまってね』


 あー……シシオウってコイツの部下だったのか。

 しかしミーカイルの姉が西ウチに? 聞いたことが無いな……

 女魔族を取り仕切っていたのはサーキュだから、後でヤツに聞いてみようかな?


『でも、その代わり、サタナスが一気に弱体化したのを察知出来たってワケさ』

 

「だが、それで何でウチに繋がるんだよ?」


『もちろん、サタナスご本人に直接聞いたんだよ?』


 何やら意味深に笑みを深めるミーカイル。


「へぇ? あのサタナスから?」


 あのプライドだけは天より高いアホが素直に喋るとは思えないんだが?

 ……いや、でも、もしかしたらサタナスって、意外と自分より格上だと思った奴には全力で媚びを売るタイプなんだろうか?


『ふふふ、彼、とーっても素直にキミの事を話してくれたよ? 僕の愛する姉さんを壊したのはキミの指示だって言ってたんだけど、本当かい?』


「はいぃ!? ちょ、何の話だっ!?」


 悪いが俺は魔王の遠征について行ったことが無い。

 俺の管轄は魔王城の維持管理だ。じーちゃんや先代の四天王から稽古つけて貰う以外に、攻撃魔法の出番もほぼ無い生活をしていたのだ。

 他所の魔王の姉を壊すとか、そんな物騒なことをしているはずがないではないか。

 しかも、あのサタナスのヤツが俺の指示なんて聞くなど、天地がひっくり返ってもあるとは思わない。


『うん、うん、イイネ! 魔王である僕に対して堂々とシラを切るその態度、嫌いじゃ無いよ!』


「いや、シラを切るとかじゃなくて! 俺じゃねぇよ! マジで思い当たる節が無いッ!!」


 ヤツは一体何を根拠に俺が原因だと考えているのか知らないが、あまりこちらの言葉を聞く気が無いらしい。だが、爽やかな笑みを浮かべ、バチコーン! とウィンクをしてくるあたり……

 ヤツは怒っているのか、それともこっちをからかって挑発しているだけなのか……

 なかなか喰えない男である。


『あ、あと、もう一つ確認したいんだけど……マリクルシアってキミのおばあ様なんだってね?』


「!?」


 ミーカイルのヤツが、何故か突然俺のばーちゃんの名前を上げた。

 いや、まぁ、確かにばーちゃんの名前はマリクルシアだけど……?


『キミの顔を見ればわかるよ。僕の大切な姉さんをたぶらかした卑しい人間(メスブタ)の汚い血が流れているだけあって、とっても奇麗な可愛い顔立ちだね』


 ……目が笑っていない。

 何だ? コイツ、俺のばーちゃんに妙な敵意を持っているのか?


 つーか、ウチのばーちゃん、ただの人間のはずなのに魔王(じーちゃん)やら、魔王(ミーカイル)の姉やら……高位魔族に好かれ過ぎじゃありませんかね!?


 う~ん……ばーちゃんの若い頃の武勇伝、もっと聞いておけばよかったなぁ……!

 ハーブティーと料理と掃除と回復魔法の上手い普通の優しいばーちゃんだと思ってたよ!!


『それでね? 西の魔王が新任されたお祝いに『第七魔王会議』が開催されるんだよ』


 何? その殺意100%の会……絶対、おいわいじゃなくておのろいだよね?


「第七魔王会議?」


 何でも、魔王が代替わりした際には、7席の魔王達を一堂に会し、顔合わせ会のようなモノを実施するのが通例らしい。


「俺は興味ないな」


 しかも、俺、ダンジョンの外では一般の人間並の強さだから、こんな訳の分からない性格の魔王が居る会議に、興味があっても行きたくはないし。

 ウチのダンジョン(ハポネス)で開催するならまだしも……


『ふふふ、第七魔王会議は代理出席も可能だけど、新任魔王歓迎会を兼ねるのに、本人欠席は前代未聞だよ』


「代理出席?」


『魔王本人の代わりに、副官や四天王筆頭が出席するんだよ。代理の場合は最大でも2人までだね。それでも構わないけど……本気かい? 君、おもしろい子だね……まぁいいや。そうなった場合、どんなアクシデントが起こるか分かんないけどね。……でも、会場までの案内はフジョシーヌに任せてあるから! 詳しくは彼女に聞いてね。それじゃ、第七魔王会議で会えることを楽しみにしているよ』


 そう言うと、【遠方通話モシモシ・コール】の魔法が勝手に切れた。


 俺が本気で欠席するとは考えていないような口ぶりだったな。


「カイトシェイド様、以上が、我が主からの提案ですわ。第七魔王会議の開催は10日後、それまで私、こちらで待機させていただいて構いませんかしら?」


 にっこり、と。

 拒絶されることは想定していない朗らかな笑みを浮かべるフジョシーヌちゃん。

 

「……ベータ、客人を部屋に案内してやってくれ」


「かしこまりました、旦那様」


 さて、どうしたものか……


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ミーカイル=腐天使確定かな。こちらは腐って堕ちたのだろう。
[一言] 匂う、臭うぜ…変態シスコンの臭いだ!!
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